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31. ヒールは効かない?

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 ヒールの話しをするのかと思ったら、アース様はなぜか、お貴族様のポーションの使い方について説明しだした。

 ポーション(お金)に余裕のあるお貴族様たちは確実に怪我を治すため、ポーションを 二本 使うそうだ。

 怪我を治すのに必要な等級のポーションと、一つ下の等級のポーション。
 まず 一つ下の等級のポーションを 傷口に 一本すべて掛けて、傷を小さくする。
 それから本来 必要な等級のポーションを 一本すべて飲む。
 この方法だと 手足がちぎれかけのような大怪我でも、つながっている状態からなら、上質な 二本のポーションで治せるようだ。
 中級ポーションと上級ポーションで 見た目の傷はすべて治る。
 神経まで完全に治るときもあれば、後遺症が少し残ってしまう場合もある。

 すごく贅沢な飲み方だけど、命には換えられない。
 これは大事、覚えておこう!

「中級と上級ポーション 二本使っても治らなかった場合は、お金を払って 治療師様にお願いし ヒールをかけてもらいます」

「やっとか! どこで ヒールを かけてもらえるのだ? 」

「そうですね、優秀な治療師様は 教会に所属されていることが多いのですが、流れの治療師様もいらっしゃいますし、いろいろですね。 場所も来ていただいたり、教会まで行ったり その時々で違います」

「そうか では、一番すごい治療師様は どこの誰なのか わかっているのか? 」

 ルート様!? ほんっと、いいこと 聞くよ!

「はい、我が国で 一番すごい治療師様は 教会の法王様です。 レベルが 40 以上あるのではないかと いわれています」

「どこまで治せるのだ? 」

「手足を生やすことは無理ですが、取れた部位があればその状態によっては、繋げられると いわれています。 病気も 老衰 以外は治せるとか、無理なときもあるとか……  高貴なお方ですので詳しいことは、わかっておりません」

「そうだな、気安く頼めないな……  次は? 」

「あとは、皆さん同等ぐらいで、ずば抜けた治療師様は おられません」

 へー そうなんだ……

「ヒールはレベル 20 ないと発動せず、レベル 23 以上ないと効き目のあるヒールがかけられないといわれています。 しかし 我が国の上級ポーションがレベル 25 相当あるとされてますので 実際は レベル 26 以上の治療師様でないと 貴族の方たちは頼まれません」

「レベル 26 以上とは、なかなか厳しいな」

「はい、いらしゃらないこともないのですが、教会でも 数人ですね」

「では、そんな数人に頼めるのは 限られた人になるな? 」

「 …… そうなります」

「ですから、平民の人たちは 街の自称 治療師の人たちにみてもらいます。治療費も実力も 運 次第となりますが、それでも 一縷の望みにかけて、頼むのです」

「無謀だな」

 たまにいる冒険者のヒールができる人は、軽い擦り傷や切り傷が治せる人がほとんどで、レベル23前後の人が多いようだ。
 それ以上のレベルだと危険な冒険者より治療師をしたほうが 安全で儲かるからね。
 ヒールが少し使える。
 それだけで、冒険者は生き延びる確率が ぐんと上がる。
 だから重宝される。
 

 ヒールは治療師様に 何回かけられても 大丈夫だった。
 お金持ちのお貴族様は ウワサ や ツテ で なん人もの治療師様にヒールをかけてもらって 傷 や 病 を癒そうとする。

「やはりまずは、ポーションが基本で そのあと、ヒールがベストだな」

 うん、そうだよね。

「五十年は経っていると思いますが、我が国に 伝説の魔女薬師様がいたようなのです」

「なんだ、すごくあいまいだな 」

 魔女薬師様!? すごい呼ばれ方だなっ。

「はい、伝説ですから……  その魔女薬師様のポーションなら手足を生やすことも、死にかけた人を生き返えらせることもできたと伝えられています。あと我が国のポーションの基準を作ったのも、この魔女薬師様だと聞いたことがあります」

「なにっ!? その魔女薬師様は、今どこにいるのだ」

「あまり大きな声では言えませんが、この国の王様に愛想が尽きて他の国に渡ったという ウワサ があります。 今はどこにいるのか、生きているのかも わかりません」

 この魔女薬師様はいろいろな伝説を残しているようで、レベル 50 あったのではないかと伝えられているけど、真実を知る人はいない。

 生きているなら 会ってみたいものだ。 

 現実にマークとアース様の怪我を治すのは、幻に近いS級ポーションか レベル 26 以上の ヒールの持ち主になる。
 実際は レベル 30 を超えないとあまり意味がないらしい。
 レベル 25 相当の上級ポーションと 違いがそんなに、わからないからだ。
 街には 自称 レベル 26 以上の治療師様も多いようだ。

 おそらくアース様も 街のレベル 26 以上の治療師様で、ヒールを試したのではないかと思う。
 聞いてはないけど、マークも試していそうだ。
 
 レベルの くらい が上がると全然違う。
 それはなんとなく、わたしには わかる……

 今のわたしのレベル (20台) ではまだ役立たずで無理だけど、マークの怪我は絶対に治してあげようと思っている……


 待っててね、マーク。

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