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10. 教会へ行く
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マークのお休みに合わせて教会へやってきた。
小さな町なのでお屋敷から二人で歩いて行く。
わたしの歩調でも 一時間弱ぐらいで着いた。
教会はとんがり屋根のこじんまりした木造の建築物。
教会の中は静寂な雰囲気につつまれていて少しだけ張りつめた感じがするかな。
マークが前もって神父様に伝えてくれていたのでスムーズに『スキルの確認』ができる。
「お待ちしておりました。あなたは…… 初めてお会いしますね」
真っ白い髪の毛に白くて長いワンピースのような服を着たおじいさんが、微笑みながらわたしに握手を求めてきた。
「初めまして、神父様」
緊張する……
あえて、短く挨拶しておく。
ちょっと 人見知り風に?
「よろしく お願いいたします。 この子のスキル確認です」
わたしの保護者であるマークが頭を下げて、恭しく答えていた。
「はい、お話しは伺っております。では…… こちらにどうぞ」
奥の個室に案内される。
これといって、なにもない……
ドアを開けた正面の壁には、木の台と女神様の像。
あとはテーブルと椅子が四脚だけのシンプルな、どちらかというと簡素な部屋だった。
神父様とはテーブルを挟み、マークと並んで椅子に座る。
テーブルの上には豪華な蔦の彫り物が施された木箱が一つ置いてあった。
蓋を開けるとその中から、大人の手のひら一つ半ぐらいの大きさの水晶玉のような透明で傷ひとつない丸い玉が顔をだす。
驚いたことにその丸い玉は、木箱から出されないまま、箱から丸い玉が半分でている状態で『スキルの確認』が行われるようだった。
こんな状態で いいのかな?
なんだか、ちょっとだけ モヤっとする。
そんなことを考えていると神父様が尋ねてきた。
「それでは、今からこの宝玉に触れていただきますが、あなたは文字が読めますか?」
「はい、読めましゅー 」
あっ、かんだ! こんなときに限って、いつも上手く言えない…… グスッ
神父様は ニコッと笑うと軽くうなずき、右手を宝玉の前に差し出した。
「では、こちらに。そっと触れてください」
宝玉が……
遠い……
マークを チラッと見ると、右眉を ピクリと動かし 軽くうなずく。
それを合図に、わたしも軽くうなずき返えす。
行儀が悪いけれど、靴を脱いできちんと揃え、椅子に膝立ちして少し前かがみになり宝玉に両手で優しく触れた。
真っ白な光が ピカーッとなって、わたしの体ごと包み込む。
時間にして 五秒もなかったと思う。
スッと光が消えたあと、半透明のボードが現れた。
「これかぁ…… 」
つい、声がでてしまった。
…………………………………………………………
名前 : パール Lv . (50) / 前世の記憶
スマッホ更新待機中
…………………………………………………………
しばらく黙って、半透明のボードを眺めていると。
「どうだ、ちゃんと見えているのか?」
しびれを切らしたマークが、不安そうに尋ねてくる。
「……見えた。 もういい、 ありがとう」
椅子から降りて揃えていた靴を丁寧に履き、神父様をゆっくり覗き見る。
神父様はわたしを見て軽くうなずき、宝玉に触れて 何かを呟き木箱の蓋を恭しく、そっと閉じた。
慣れたもので、神父様は多くを語らず微笑んで、頭を少し下げ右手を心臓の上におき 一言。
「幸多かれと 願っています」
それだけ言うと、その右手でドアを示して部屋を退出するように導く。
マークと二人、顔を見合わせて 一度お礼をし、教会をあとにした。
「あっけなかったね?」
「あんなもんだろう」
もう少し、儀式めいたものがあるのかと想像していたんだけど……
どうも、違うようだった。
ふぅっ はやく 帰ろ……
小さな町なのでお屋敷から二人で歩いて行く。
わたしの歩調でも 一時間弱ぐらいで着いた。
教会はとんがり屋根のこじんまりした木造の建築物。
教会の中は静寂な雰囲気につつまれていて少しだけ張りつめた感じがするかな。
マークが前もって神父様に伝えてくれていたのでスムーズに『スキルの確認』ができる。
「お待ちしておりました。あなたは…… 初めてお会いしますね」
真っ白い髪の毛に白くて長いワンピースのような服を着たおじいさんが、微笑みながらわたしに握手を求めてきた。
「初めまして、神父様」
緊張する……
あえて、短く挨拶しておく。
ちょっと 人見知り風に?
「よろしく お願いいたします。 この子のスキル確認です」
わたしの保護者であるマークが頭を下げて、恭しく答えていた。
「はい、お話しは伺っております。では…… こちらにどうぞ」
奥の個室に案内される。
これといって、なにもない……
ドアを開けた正面の壁には、木の台と女神様の像。
あとはテーブルと椅子が四脚だけのシンプルな、どちらかというと簡素な部屋だった。
神父様とはテーブルを挟み、マークと並んで椅子に座る。
テーブルの上には豪華な蔦の彫り物が施された木箱が一つ置いてあった。
蓋を開けるとその中から、大人の手のひら一つ半ぐらいの大きさの水晶玉のような透明で傷ひとつない丸い玉が顔をだす。
驚いたことにその丸い玉は、木箱から出されないまま、箱から丸い玉が半分でている状態で『スキルの確認』が行われるようだった。
こんな状態で いいのかな?
なんだか、ちょっとだけ モヤっとする。
そんなことを考えていると神父様が尋ねてきた。
「それでは、今からこの宝玉に触れていただきますが、あなたは文字が読めますか?」
「はい、読めましゅー 」
あっ、かんだ! こんなときに限って、いつも上手く言えない…… グスッ
神父様は ニコッと笑うと軽くうなずき、右手を宝玉の前に差し出した。
「では、こちらに。そっと触れてください」
宝玉が……
遠い……
マークを チラッと見ると、右眉を ピクリと動かし 軽くうなずく。
それを合図に、わたしも軽くうなずき返えす。
行儀が悪いけれど、靴を脱いできちんと揃え、椅子に膝立ちして少し前かがみになり宝玉に両手で優しく触れた。
真っ白な光が ピカーッとなって、わたしの体ごと包み込む。
時間にして 五秒もなかったと思う。
スッと光が消えたあと、半透明のボードが現れた。
「これかぁ…… 」
つい、声がでてしまった。
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しばらく黙って、半透明のボードを眺めていると。
「どうだ、ちゃんと見えているのか?」
しびれを切らしたマークが、不安そうに尋ねてくる。
「……見えた。 もういい、 ありがとう」
椅子から降りて揃えていた靴を丁寧に履き、神父様をゆっくり覗き見る。
神父様はわたしを見て軽くうなずき、宝玉に触れて 何かを呟き木箱の蓋を恭しく、そっと閉じた。
慣れたもので、神父様は多くを語らず微笑んで、頭を少し下げ右手を心臓の上におき 一言。
「幸多かれと 願っています」
それだけ言うと、その右手でドアを示して部屋を退出するように導く。
マークと二人、顔を見合わせて 一度お礼をし、教会をあとにした。
「あっけなかったね?」
「あんなもんだろう」
もう少し、儀式めいたものがあるのかと想像していたんだけど……
どうも、違うようだった。
ふぅっ はやく 帰ろ……
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