上 下
2 / 221

02. 前世の記憶

しおりを挟む
 目が覚めてしばらくベッドの中でボーッとして、何がなんだか分からないまま起こってしまったことを考え整理する。

 まず思い出したことは、わたしの『前世の記憶』

 それも自分の名前やどうして死んだのかなどは思い出せないのに、今よりもっと大人の思考が自分の中に芽生えていた。

 絶対 三歳ではない。


 前世は今とはどうもぜんぜん違う世界なようだ。

 ずいぶん進んだ文明で、今のお屋敷よりもずっと高い建物に馬車とは違う馬のいない乗り物や空を飛ぶ乗り物まである……


 映像で知ったのか誰かに語ってもらったのか、それとも本を読んで知り得た情報なのか分からないけれど前世の事柄が頭の中に渦巻いていた。

 わたしは水に囲まれた小さな島に最低でも祖母だと思う人と一緒に住んでいたようで、他の家族がいたのかも分からない。

 モヤがかかったようになっていて、その時の自分の顔も祖母だと思う人の顔もぼやけて分からなかった。

 ただ歳がいった女性がそばにいる……
 そう感じとった。


 わたしの暮らしていた島は、昔の暮らしを大切にする数少ない変わった島らしく『宇っ宙人』に知られないよう、ひっそりと食材を水中や山で採取し料理して食べていたようだ。

 今はそれが普通だけれど、前世では食事はサップリメントと言う固形の粒状の物が主流で、料理を作る時間を無駄なことと惜しんでいた。

 料理を作ること。
 そしてそれらを食べることは、野蛮な行為として推奨されない。

 料理を作って食べるそんな暇や時間があるのなら、栄養のあるサップリメントを サッと食べてもっと働くか、自分を磨いて国に貢献する人になれっと『宇っ宙人』が強制していた。

 そう、前世には今の世界でも存在している『魔物』
 わたしは見たことがないけど(三歳だし)

 その『魔物』のような少し爬虫類に似た顔をしていて、しっぽがあり 二足歩行の魔法が使える知能の高い、人とは別の生き物。

『宇っ宙人』が存在していた。

 前世のわたしや周りの人たちは、誰も魔法が使えない。
 そんな人たちは『地っ球人』と呼ばれ、区別されていたように思う。

 今世、今は大なり小なり魔法が使える人たちがいるし『魔物』は討伐される存在だ。

『宇っ宙人』と『魔物』は別の生き物で、ぜんぜん関係ない。

 あーっ、頭が混乱してしまいそうになる。

 けれど前世には『地っ球人』と『宇っ宙人』と呼ばれている 二つの異なった人? 生物? が、存在していたのだ。


 そして……

『地っ球人』は 弱く『宇っ宙人』は とても強かった。




しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!

神桜
ファンタジー
小学生の子を事故から救った華倉愛里。本当は死ぬ予定じゃなかった華倉愛里を神が転生させて、愛し子にし家族や精霊、神に愛されて楽しく過ごす話! 『私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!』の番外編を『私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!番外編』においています!良かったら見てください! 投稿は1日おきか、毎日更新です。不規則です!宜しくお願いします!

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

異世界の片隅で引き篭りたい少女。

月芝
ファンタジー
玄関開けたら一分で異世界!  見知らぬオッサンに雑に扱われただけでも腹立たしいのに 初っ端から詰んでいる状況下に放り出されて、 さすがにこれは無理じゃないかな? という出オチ感漂う能力で過ごす新生活。 生態系の最下層から成り上がらずに、こっそりと世界の片隅で心穏やかに過ごしたい。 世界が私を見捨てるのならば、私も世界を見捨ててやろうと森の奥に引き篭った少女。 なのに世界が私を放っておいてくれない。 自分にかまうな、近寄るな、勝手に幻想を押しつけるな。 それから私を聖女と呼ぶんじゃねぇ! 己の平穏のために、ふざけた能力でわりと真面目に頑張る少女の物語。 ※本作主人公は極端に他者との関わりを避けます。あとトキメキLOVEもハーレムもありません。 ですので濃厚なヒューマンドラマとか、心の葛藤とか、胸の成長なんかは期待しないで下さい。  

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

処理中です...