日本VS異世界国家! ー政府が、自衛隊が、奮闘する。

スライム小説家

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30話 大混乱①

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 日本政府が、自衛隊が、外務省が、混乱に陥っていた。

 防衛省庁舎A棟内 統合幕僚監部

「人が空を飛んでいるとは一体どうなっているんだ!?」

「知らん!ともかく、早急に対応せねば………」

「ミサイルを撃ってしまったのだ。もはや敵対は免れないだろうな………」

「そのミサイルを撃った相手が、それに耐えてさらに敵意はないと言ってきているのだ!」

「スクランブルをした片方のF15Jが行方不明になっているんだぞ!?先に攻撃してきたのはあちらだろうに!」

 前代未聞の事態に、普段は落ち着いて自衛隊の作戦を組み立てる彼らも混乱をしていた。その状況をなんとかしようと海自の白石が話し出す。

「皆さん、落ち着いて。ともかく、政府が対応を決めるまでは我々はヒト型の飛行体の監視をしなければなりません。現在はF15Jに交代で監視させていますが、いざとなればそれでも不味いかもしれません。そうなったときのために備える必要が………」

「御託は良いから早く決めるぞ!こっちは一機やられてるんだ!」

 そんな白石に対して、空自の佐藤がキレる。統合幕僚副長でまとめる側であるはずの彼は、スクランブルに出たF15Jと連絡が途絶したことに焦っていた。

「しかし、例の飛行体の仕業とは限りませんし………」

「じゃあ他に何があるってんだ!?スクランブルに出た後、突然レーダーから消えたんだぞ!?どう考えてもソイツがやったに決まってるだろう!」

「だいたい、もう片方のF15Jも問題があるでしょう!何故気づかなかったんです!?」

「念のために片方が前に出て、もう片方は後ろで待機してるんだ!前に出てる方が撃墜されても、もう片方がすぐ戦えるようにな!ところがその後ろに居る方が、突如消えた!それも前のが例の飛行体と緊張状態に入った直後にだ!」

「だから何なんです!?」

「分からねえのか海のバカは!例の飛行隊に完全に気が取られてたんだよ!後ろを取られて追いかけられてたんだぞ!それどころじゃねえわ!」

「馬鹿とは無礼な!やはり言葉に品のなさがにじみ出ていますね!」

 普段は冷静な白石も、動揺しているのか佐藤につられたか激昂をしていた。



「………どうしたものか」

 浜崎も、どうしたものかと決めかねている。しばらく場は収まりそうになかった。




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 外務省

「どどどどどうしましょう!?じゅ準備をしなきゃあ………」

「外務大臣はどうした!?呼べ、呼ぶんだ!」

「羽田、外務大臣はさっき首相官邸に行ったぞ!それより大田原さんにも連絡しろ!」

「大田原さんも葉名外務大臣について行ってるはずだ!」

 混乱しているのは、外務省もだった。ひょっとしたら新しい国の使者が来ているかもしれないという政府からの連絡は、元々クラートやリマ、インベルドなどとの交渉で手一杯であった外務省を大変なことにさせていた。

 おまけに、葉名や大田原などの大臣らも不在なために事態は余計不味くなっていた。

「ああもう………こんなのどうすりゃ良いんだ!?」

 羽田のそんな嘆きは、喧騒の中に消えていった。
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