55 / 104
14話 『無敵艦隊』出航!
しおりを挟む
戦列艦エルラウド 甲板
アグレシーズ帝国の中でも最大級の軍艦であるエルラウド。その甲板上で帝国軍人の中でも最上位に位置するディメダ一等将官は海を眺めていた。
(この海をずっと進んでいけば、シルフィアラにもラファーにも、今回攻撃を加える二ホンにだって行ける。海とは不思議なものだ………)
そんな風に彼が感傷にひたっていると、一人の帝国兵が駆け寄ってくる。
「一等将官閣下、全艦隊の準備が完了いたしました!旗艦エルラウド以下640隻、何時でも出撃可能です!」
「ふむ。各艦、魔法結晶・食糧・弾薬・船員が全て揃っているのだな?予定している航路も問題はないだろうな?」
「はい!既に三回確認を行いましたが不備はありません。航路に関してもセラバダ海付近は何の異常気象もなく、極めて波が低いため安全だそうです。また、例・の・新・型・艦・も問題はないとのことです」
「そうか……二ホンの軍艦に乗せられた砲は、射程や威力が我が国のものよりはるかに高いと聞いている。だが、奴らのチナークなる飛行機は我々のアークドラゴンより性能は劣る。軍艦の性能が劣っている中だからこそ航空戦力の意味は大きい。そういう意味でも例・の・新・型・艦・は大事に扱うのだぞ」
ディメダがそんな風に持論を展開するが、それを聞いている帝国兵はあまり納得していないようだ。
「僭越ながら申し上げさせていただきます。二ホンの艦は強力な砲を有していてもたったの一門なのですよね?一門の砲では、当たる可能性は非常に低くそこまで優れた艦とは思えないのですが……」
そんな帝国兵の疑問に、ディメダは丁寧に答える。
「軍艦の砲が少ないなら、もう何個か搭載すれば良いなど、一兵卒にでも分かる話だ。なのに二ホンがそれをしないということは、あれ一門で事足りるということの裏返しとも取れる。……つまり二ホンの砲が我々の予想以上に高性能なのか、それとも二ホンの艦には他の兵器も搭載しているから砲は一門で十分なのかのどちらかが当てはまる可能性が高いという訳だ」
「な、成る程……流石一等将官閣下です。自分にはそこまで想像も及びませんでした」
帝国兵がそう賞賛の意を表しながらそう言うと、ディメダは苦笑いする。
「まあ、全部勘違いで二ホンは大したことがない可能性もあるのだがね、はっはっは!さて、ではそろそろ出撃しようか。魔法通信で全艦隊に出撃命令を下してくれ!」
「はっ!了解いたしました!」
アグレシーズ帝国海軍、総勢640隻の戦列艦で構成された日本侵攻艦隊。後の世で皮肉も込めて『無敵艦隊』と名付けられるその艦隊が日本へ向かって動き始めた。
アグレシーズ帝国の中でも最大級の軍艦であるエルラウド。その甲板上で帝国軍人の中でも最上位に位置するディメダ一等将官は海を眺めていた。
(この海をずっと進んでいけば、シルフィアラにもラファーにも、今回攻撃を加える二ホンにだって行ける。海とは不思議なものだ………)
そんな風に彼が感傷にひたっていると、一人の帝国兵が駆け寄ってくる。
「一等将官閣下、全艦隊の準備が完了いたしました!旗艦エルラウド以下640隻、何時でも出撃可能です!」
「ふむ。各艦、魔法結晶・食糧・弾薬・船員が全て揃っているのだな?予定している航路も問題はないだろうな?」
「はい!既に三回確認を行いましたが不備はありません。航路に関してもセラバダ海付近は何の異常気象もなく、極めて波が低いため安全だそうです。また、例・の・新・型・艦・も問題はないとのことです」
「そうか……二ホンの軍艦に乗せられた砲は、射程や威力が我が国のものよりはるかに高いと聞いている。だが、奴らのチナークなる飛行機は我々のアークドラゴンより性能は劣る。軍艦の性能が劣っている中だからこそ航空戦力の意味は大きい。そういう意味でも例・の・新・型・艦・は大事に扱うのだぞ」
ディメダがそんな風に持論を展開するが、それを聞いている帝国兵はあまり納得していないようだ。
「僭越ながら申し上げさせていただきます。二ホンの艦は強力な砲を有していてもたったの一門なのですよね?一門の砲では、当たる可能性は非常に低くそこまで優れた艦とは思えないのですが……」
そんな帝国兵の疑問に、ディメダは丁寧に答える。
「軍艦の砲が少ないなら、もう何個か搭載すれば良いなど、一兵卒にでも分かる話だ。なのに二ホンがそれをしないということは、あれ一門で事足りるということの裏返しとも取れる。……つまり二ホンの砲が我々の予想以上に高性能なのか、それとも二ホンの艦には他の兵器も搭載しているから砲は一門で十分なのかのどちらかが当てはまる可能性が高いという訳だ」
「な、成る程……流石一等将官閣下です。自分にはそこまで想像も及びませんでした」
帝国兵がそう賞賛の意を表しながらそう言うと、ディメダは苦笑いする。
「まあ、全部勘違いで二ホンは大したことがない可能性もあるのだがね、はっはっは!さて、ではそろそろ出撃しようか。魔法通信で全艦隊に出撃命令を下してくれ!」
「はっ!了解いたしました!」
アグレシーズ帝国海軍、総勢640隻の戦列艦で構成された日本侵攻艦隊。後の世で皮肉も込めて『無敵艦隊』と名付けられるその艦隊が日本へ向かって動き始めた。
14
お気に入りに追加
151
あなたにおすすめの小説

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅
聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。
―異質― 激突の編/日本国の〝隊〟 その異世界を掻き回す重金奏――
EPIC
SF
日本国の戦闘団、護衛隊群、そして戦闘機と飛行場基地。続々異世界へ――
とある別の歴史を歩んだ世界。
その世界の日本には、日本軍とも自衛隊とも似て非なる、〝日本国隊〟という名の有事組織が存在した。
第二次世界大戦以降も幾度もの戦いを潜り抜けて来た〝日本国隊〟は、異質な未知の世界を新たな戦いの場とする事になる――
大規模な演習の最中に異常現象に巻き込まれ、未知なる世界へと飛ばされてしまった、日本国陸隊の有事官〝制刻 自由(ぜいこく じゆう)〟と、各職種混成の約1個中隊。
そこは、剣と魔法が力の象徴とされ、モンスターが跋扈する世界であった。
そんな世界で手探りでの調査に乗り出した日本国隊。時に異世界の人々と交流し、時に救い、時には脅威となる存在と苛烈な戦いを繰り広げ、潜り抜けて来た。
そんな彼らの元へ、陸隊の戦闘団。海隊の護衛艦船。航空隊の戦闘機から果ては航空基地までもが、続々と転移合流して来る。
そしてそれを狙い図ったかのように、異世界の各地で不穏な動きが見え始める。
果たして日本国隊は、そして異世界はいかなる道をたどるのか。
未知なる地で、日本国隊と、未知なる力が激突する――
注意事項(1 当お話は第2部となります。ですがここから読み始めても差して支障は無いかと思います、きっと、たぶん、メイビー。
注意事項(2 このお話には、オリジナル及び架空設定を多数含みます。
注意事項(3 部隊単位で続々転移して来る形式の転移物となります。
注意事項(4 主人公を始めとする一部隊員キャラクターが、超常的な行動を取ります。かなりなんでも有りです。
注意事項(5 小説家になろう、カクヨムでも投稿しています。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり
柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日――
東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。
中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。
彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。
無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。
政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。
「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」
ただ、一人を除いて――
これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、
たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる