日本VS異世界国家! ー政府が、自衛隊が、奮闘する。

スライム小説家

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10話 日ア国交樹立交渉➁

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 キーマのその発言を聞いて、大田原ははっきりとした非難をする。

「………本気で言っているのですか?肌の色が違う、それだけで人間の価値など決まるわけがありません。今の貴方の言動の方がよっぽど不快です」

「な、なに!?」

「キーマ代表。先ほどの発言の撤回を求めます。貴方の発言は非常に不適切です」

 大田原の態度がはっきりと変わったのを見て、キーマは少し焦っていた。

(これはいったいどういうことだ?二ホンの奴らはなぜここまで怒っている!?)

 怒っているのは大田原だけではないかとキーマは二ホン側を見てみるが、大田原以外も先ほどから厳しい目線を向けてきているように思える。

(むむむ。だが、肌の黒い獣に何を慮る必要が………)

 そんな風にキーマが悶々としていると、鋭く、高い声が部屋中に響いた。

「有り得ません!肌黒の獣と私たち貴き白の者たちが同格と言いたいのですか!?」

 そう言い出したのは副代表のシャーリーである。

「先ほどのキーマ代表もそうでしたが、あなた方は肌の色で人間を判断するということで宜しいのですか?」

 大田原がそうシャーリーに問いかける。シャーリーの答えは………

「当然です。二ホンの方々は何故肌黒の獣を甘やかすのですか?信じられません!」

 他の帝国側もそれに追随する。

「その通りです。肌黒の獣など皆殺しにしてしまえばいい!」

「そうだ。性根が薄汚い奴らは肌にもその色が出るんだ。だからこそ奴らをのさばらせてはいけない」

「二ホンもそうした方が良いのではありませんか?」



「ふむ、成る程………」




 場が静まる。




(ま、不味いぞ!このままでは国交を樹立し情報を探るどころか敵対しかねないのでは………)

「あなた方の話はよく分かりました。本国で相談の上、お返事いたします。おそらくすぐに………それこそ数時間足らずで結論が出ると思いますので、少しこの国でお待ちいただけませんか?」

「わ、分かった。良いだろう」

 にこやかに話す大田原の笑みは、どこか少し冷たいものであった。


 ー----------
 インべリアーロ城 小会議場

 二ホンとの交渉が終わった後、アグレシーズ帝国の交渉団は案内された一室で待機をしていた。

「全く、二ホンの者たちは何を考えているのかしら?」

「さぁ………」

「あそこまで黒い者たちを擁護するとは思いませんでしたなあ」

 交渉団のメンバーの大半が先ほどの愚痴を漏らしている中で、キーマは考え事をしていた。

(もし二ホンと国交樹立が出来なければ、我々が彼らの情報を探るのは不可能に近い………国の位置すら分からない状態ではどれほどの国なのか見当をつけることも出来ないな)

 そんな中で、一人の黒人の男が入ってくる。

「失礼いたします。先ほどの交渉の結論についてですが………」

 だが。

「獣が!この部屋に入ってくるな!汚れるだろう」

「近寄らないでください。気持ち悪い」

「別の方に代わってもらえんかな?それも、肌が白いものに」

 帝国がの反応はそれぞれ違えど皆拒否に近い。

「いえ、大田原様から絶対に貴方が報告するようにと厳命されまして………」

(わざわざ肌黒を差し向けてくるだと?こんな嫌がらせをするといことはまさか)

「まあ仕方あるまい。それで、結論はどうなったのだ?」

 キーマがやや不安ながらもそう問いかけると。

「はい。言われた通りにそのままお伝えしますね?大田原さん曰く、『二ホン国は代表者の差別的な言動、他国への度重なる侵略などの要因からアグレシーズ帝国を国家承認はできず、国交樹立はしない。また、あなた方の侵略による植民地支配や人種差別に抗議し、取りやめるように要請する』………だそうです。」

 まさかの結論に交渉団の一同は言葉が出ない。帝国が列強と呼ばれるようになってからこんな対応をされたことは一度もないのだから当然である。

「な、何かの間違いではありませんか?」

 シャーリーが怒りで声を震わせながらそう言うが、それを伝えに来た彼はこう返す。

「いえ、間違いないと思いますが………では、これで失礼しますね?」

 それがすむと彼はそそくさと部屋から退出しようとする。




 その瞬間ー
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