日本VS異世界国家! ー政府が、自衛隊が、奮闘する。

スライム小説家

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28話 サンドーラ

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「なるほど………リマ国の重要人物が居たというわけか」

 佐藤が納得した様子を見せながら、そう発言する。

「ええ。彼女の協力者などとソラーロに隠れて、クラート王国と連絡を取り合っていたそうで………」

 白石が反応すると、サンドーラがそれに補足説明をし始める。

「はい。そんな中で、クラート王国の方から私たちの国を取り戻そうと二ホン国の皆様が動いてくださると聞きました。それならまずソラーロに居る私たちを助けてもらえないか、とクラート王国を通じて二ホン国へ連絡したのです」

「なるほど………しかし、あなた以外のリマ国の上層部は今はどこにいらっしゃるのですか?」

 その話を聞いて佐藤がそう質問をする。
 それに対してサンドーラは肩を震わせ、目もだんだん潤んでいき………

「うっ、うっ」

 泣き出してしまった。

「まさか………」

「と、とりあえず、会議を中断する」

 浜崎が慌てて会議を止める。しばらくすると、サンドーラは防衛省の職員に連れられて退室していった。












 沈黙が場を支配する。

「リマ国の上層部は、インベルド王国に占領された際にほぼ全員が捕らえられ、処刑されたそうです。勿論サンバー公爵家も含めてです。彼女の場合は戦争が起きた直後に部下と共に町へ隠れられましたが、他は逃げずに残ったか、逃げても見つかってしまったのでしょう。捕まった中でも特に若い女性の場合は………」

「分かった、もう良い」

 白石が話し出した説明を佐藤が制止する。だが、浜崎がそれに口をはさむ。

「まてよ、お偉いが彼女以外全員死んだということは、今は彼女がリマ国の代表者な訳か?」

「ええ。おまけに協力者もほぼ全員が亡くなっており、自衛隊が発見した時には彼女と、彼女の召使数名のみしか居なかったそうです」

 白石が浜崎の疑問へ答えるべくまた話し出す。

「おまけに、我が国は今回の支援のリターンとしてかなりの要求をリマ国へしているそうですよ?相手は少女一人ですし、自衛隊の支援がなければリマは復活できないでしょうからね。外務省も足元を見ているのでしょう」

「なんと言うべきか………」

 浜崎も佐藤も、彼女のあんまりな境遇に、動揺を隠せない。

「ともかく、次の攻略目標はインベリアーロだ。敵の中枢を軒並み捕らえて、機能不全にすれば後は勝手に崩れていくはずだ」

 浜崎が先ほどの件での動揺を抑えつつ、なんとか話す。

「それで、今回の作戦はだな………」

 こうして、インベリア―ロ攻略の段取りは決定した。
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