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第二章後半【いざ東方へ】
2-42.ラグシウム最後の1日(4)
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職人が言うには、最近開発された魔道具があるという。手に乗るサイズの寄木造りの小箱で、魔術の術式が組み込まれていて特殊な開け方をするのだそうだ。ただしこの工房では作っておらず、他所の工房に行かなければならないという。
クレアがそれに興味を示したので、アルベルトはそれを作っている工房を教えてもらって彼女と行ってみることにした。
そうして訪れた工房で出てきたのは、細長い木のブロックを幾重にも複雑に組み合わせて紋様を作り出してある小箱だった。
「こちらが、我がゴルニエ工房で開発致しました特製の“組木箱”でございます」
「これ、どうやって開けるんですか?」
アルベルトが応対に出た職人に問う。綺麗な模様の飾り箱なのは分かるが、どこを触っても全く開かない。まるで箱ではなく組木の塊としか思えない。
「かかっておるのは[施錠]の術式ですが、詠唱ではなく触れる手順がトリガーになっておりましてな。ほれ、このように」
職人は慣れた様子で細い組木の一本だけをスライドさせる。するとそれがずれ、そのずれて空いた少しの隙間にまた別の組木がスライドする。そうして何回もずらしていって、あるところで職人が上面全体を横にずらす。
「開いた…!」
組木の塊ではなく確かに“箱”であった。蓋がスライドして開いた中身はフェルトが裏打ちされた小さな空間。アクセサリーなどの小物を収納するのにピッタリな感じだ。
解錠の手順を知っていなければ開けられないので隠したいものも入れておけ、しかも飾り組木なので閉めたままでも箱自体が目を楽しませる。
「今お見せしているのが“赤の組木箱”になります」
「…赤の?」
「お客様にお喜び頂けるよう、五属性それぞれに対応したものを作りましてね。こちらが“黒”、それから“青”、“黄”、そして“白”でございます」
なんと職人は次々と新しい箱を持ち出してきた。確かに最初の箱は組木の色合いが赤っぽく、後で出してきた箱はそれぞれの属性の色合いに合わせて染めてある。それに組木の形も模様もそれぞれ全く違う。
「すべて開け方の手順が違いましてな。文字通り『自分だけの箱』になるというわけです」
「へえ、これは面白いなあ。ねえクレアちゃ…」
同意を求めるまでもなく、彼女の目が好奇心に輝いている。
「そんなに気に入ったなら、買ってあげようか?」
「…いいの?」
「もちろん」
というわけでお買上げ。そしてプレゼントされたクレアは静かに、だが全身を喜びに震わせている。珍しいものが手に入ったというだけでなく、アルベルトからのプレゼントというのが効いているのだろう。
「ありがとう」
喜ぶだけでなく、きちんとお礼を言えるあたりが良い子であった。
そして彼女は早速開け方のレクチャーを受けている。これを覚えなければ買って帰っても開けられないため、一生懸命職人の説明に食いついていた。
「これ、各属性ごとにあるのなら、レギーナさんたちにもひとつずつ買って行った方がいいかな?」
「んと、喜ぶと思う…」
実はクレアの同意がなくとも買って行くつもりだったアルベルトである。ただ4つの箱の開け方を覚えるのが大変で、取扱説明書みたいなものはないのかと聞いてもないと言われてしまったので、やむなく自分で一生懸命メモに書き留めたのだった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
その後、いくつか本屋も巡ったがクレアの気に入るような本はなかなか見つからず、陽神が西に傾き始める時間帯になって早々に宿に戻ることにしたアルベルトとクレアである。
まあクレアが欲しがる本なんて魔術書の類なので、普通の本屋に置いてあるはずもないのだが。それでも道中の暇つぶしにでもなればと、ふたりは何冊かの物語や詩集などを買い込んでいた。
雨はいつの間にか上がっていたので、ふたりとももう雨具を身に着けてはいない。
観光街の方を見ると、さほど離れていない位置に人だかりができている。きっとレギーナたちも宿へ戻ろうとしているのだろう。
せっかくなので合流することにして、ふたりはそちらの方へと足を向けた。
案の定、人だかりの中心にいたのは彼女たちだった。
「あら、あなたたちも出かけてたの?」
「うん。実は魔道具の工房でちょっと面白いものを見つけてね」
そう言いつつアルベルトは例の組木箱を取り出して全員に配る。
「あら、綺麗な組木の小箱ねえ」
「なんこれ開かんやん」
黒い小箱を渡されたヴィオレが目を細め、青い小箱を渡されたミカエラがビクともしない小箱に訝しむ。
「ええとね、開けるための手順があってね…」
「ああ、細工箱なのね」
「何なんもう面倒くさかあ!」
「なにこれ意味分かんない。もっと簡単に開けられる方が楽じゃない」
口々に文句を言いながらも、レギーナとミカエラは開けるのに夢中になっている。だがヴィオレは以前にも似たようなものを見たことがあるのか、少し説明を聞いただけで開け方をマスターしてしまったようだ。
それを見て若いふたりもアルベルトに手順を聞き直し、そして次々に箱を開けた。
「おー。中は良かごと綺麗か作りになっとるんやね」
「アクセサリーボックスにするのにちょうどいい感じね」
ミカエラの青い小箱の中は上下二段に分けられたトレーの仕様、ヴィオレの黒い小箱の中は小さく仕切られたピルケースになっている。どうやら箱の中仕切りも様々に種類があるようだ。
なるほど、外箱と中の仕切りが自由に組み合わせられるのなら、確かに『自分だけの小箱』が出来上がるだろう。
「レギーナさんのはどうだった?」
「…まあ、可もなく不可もなくってところね」
彼女の手の中の黄色い小箱は、長辺に沿って4つの細長い小部屋が並んでいた。ネックレスを収納する専用箱に出来そうだ。
「まあ、せっかく買ってきてくれたし、ありがたく頂いておくわね」
「こら嬉しかねえ。ちょうどアクセサリーば買い足してきたとこやけん、タイミングの良かったばい」
「見た目にも綺麗だし、眺めるだけでも楽しめるわね」
確かに彼女たちの手には各々小ぶりな紙袋が下がっている。服を買ったにしては小さすぎるし、上質紙の仕立てのいい紙袋なので宝飾品の店で買い物をしたのだとすぐ分かる。
組木箱はどうやら概ね好評のようで、ホッと胸をなでおろすアルベルトである。
そうして一行は揃って宿へ戻り、豪勢でなおかつ量控えめの海の幸を堪能し、雨が上がって星空の見え始めたバルコニーで露天風呂も堪能した。当然ながら彼女たちの入浴時はアルベルトは部屋を追い出されていて、彼はその時間を利用して宿の大浴場で自分も入浴を済ませた。
その後は風呂上がりの運動とばかりに彼女たちは広い宿内や庭園を散策して火照った身体を冷まし、部屋でひとしきり談笑したあとそれぞれの床につく。
こうして、ラグシウム最後の夜は更けていったのだった。
ー ー ー ー ー ー ー ー ー
スラヴィアを出るまでずいぶんかかりましたが、ここで二章完結です。旅はまだまだ続きますが、次からは幕間を挟んで三章(イリシャ編)、四章(アナトリア編)と続いてその先がいよいよ東方世界です。
まだまだ先は長いですが、じっくり物語を進めて参りますのでよろしくお付き合い下されば幸いです。
クレアがそれに興味を示したので、アルベルトはそれを作っている工房を教えてもらって彼女と行ってみることにした。
そうして訪れた工房で出てきたのは、細長い木のブロックを幾重にも複雑に組み合わせて紋様を作り出してある小箱だった。
「こちらが、我がゴルニエ工房で開発致しました特製の“組木箱”でございます」
「これ、どうやって開けるんですか?」
アルベルトが応対に出た職人に問う。綺麗な模様の飾り箱なのは分かるが、どこを触っても全く開かない。まるで箱ではなく組木の塊としか思えない。
「かかっておるのは[施錠]の術式ですが、詠唱ではなく触れる手順がトリガーになっておりましてな。ほれ、このように」
職人は慣れた様子で細い組木の一本だけをスライドさせる。するとそれがずれ、そのずれて空いた少しの隙間にまた別の組木がスライドする。そうして何回もずらしていって、あるところで職人が上面全体を横にずらす。
「開いた…!」
組木の塊ではなく確かに“箱”であった。蓋がスライドして開いた中身はフェルトが裏打ちされた小さな空間。アクセサリーなどの小物を収納するのにピッタリな感じだ。
解錠の手順を知っていなければ開けられないので隠したいものも入れておけ、しかも飾り組木なので閉めたままでも箱自体が目を楽しませる。
「今お見せしているのが“赤の組木箱”になります」
「…赤の?」
「お客様にお喜び頂けるよう、五属性それぞれに対応したものを作りましてね。こちらが“黒”、それから“青”、“黄”、そして“白”でございます」
なんと職人は次々と新しい箱を持ち出してきた。確かに最初の箱は組木の色合いが赤っぽく、後で出してきた箱はそれぞれの属性の色合いに合わせて染めてある。それに組木の形も模様もそれぞれ全く違う。
「すべて開け方の手順が違いましてな。文字通り『自分だけの箱』になるというわけです」
「へえ、これは面白いなあ。ねえクレアちゃ…」
同意を求めるまでもなく、彼女の目が好奇心に輝いている。
「そんなに気に入ったなら、買ってあげようか?」
「…いいの?」
「もちろん」
というわけでお買上げ。そしてプレゼントされたクレアは静かに、だが全身を喜びに震わせている。珍しいものが手に入ったというだけでなく、アルベルトからのプレゼントというのが効いているのだろう。
「ありがとう」
喜ぶだけでなく、きちんとお礼を言えるあたりが良い子であった。
そして彼女は早速開け方のレクチャーを受けている。これを覚えなければ買って帰っても開けられないため、一生懸命職人の説明に食いついていた。
「これ、各属性ごとにあるのなら、レギーナさんたちにもひとつずつ買って行った方がいいかな?」
「んと、喜ぶと思う…」
実はクレアの同意がなくとも買って行くつもりだったアルベルトである。ただ4つの箱の開け方を覚えるのが大変で、取扱説明書みたいなものはないのかと聞いてもないと言われてしまったので、やむなく自分で一生懸命メモに書き留めたのだった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
その後、いくつか本屋も巡ったがクレアの気に入るような本はなかなか見つからず、陽神が西に傾き始める時間帯になって早々に宿に戻ることにしたアルベルトとクレアである。
まあクレアが欲しがる本なんて魔術書の類なので、普通の本屋に置いてあるはずもないのだが。それでも道中の暇つぶしにでもなればと、ふたりは何冊かの物語や詩集などを買い込んでいた。
雨はいつの間にか上がっていたので、ふたりとももう雨具を身に着けてはいない。
観光街の方を見ると、さほど離れていない位置に人だかりができている。きっとレギーナたちも宿へ戻ろうとしているのだろう。
せっかくなので合流することにして、ふたりはそちらの方へと足を向けた。
案の定、人だかりの中心にいたのは彼女たちだった。
「あら、あなたたちも出かけてたの?」
「うん。実は魔道具の工房でちょっと面白いものを見つけてね」
そう言いつつアルベルトは例の組木箱を取り出して全員に配る。
「あら、綺麗な組木の小箱ねえ」
「なんこれ開かんやん」
黒い小箱を渡されたヴィオレが目を細め、青い小箱を渡されたミカエラがビクともしない小箱に訝しむ。
「ええとね、開けるための手順があってね…」
「ああ、細工箱なのね」
「何なんもう面倒くさかあ!」
「なにこれ意味分かんない。もっと簡単に開けられる方が楽じゃない」
口々に文句を言いながらも、レギーナとミカエラは開けるのに夢中になっている。だがヴィオレは以前にも似たようなものを見たことがあるのか、少し説明を聞いただけで開け方をマスターしてしまったようだ。
それを見て若いふたりもアルベルトに手順を聞き直し、そして次々に箱を開けた。
「おー。中は良かごと綺麗か作りになっとるんやね」
「アクセサリーボックスにするのにちょうどいい感じね」
ミカエラの青い小箱の中は上下二段に分けられたトレーの仕様、ヴィオレの黒い小箱の中は小さく仕切られたピルケースになっている。どうやら箱の中仕切りも様々に種類があるようだ。
なるほど、外箱と中の仕切りが自由に組み合わせられるのなら、確かに『自分だけの小箱』が出来上がるだろう。
「レギーナさんのはどうだった?」
「…まあ、可もなく不可もなくってところね」
彼女の手の中の黄色い小箱は、長辺に沿って4つの細長い小部屋が並んでいた。ネックレスを収納する専用箱に出来そうだ。
「まあ、せっかく買ってきてくれたし、ありがたく頂いておくわね」
「こら嬉しかねえ。ちょうどアクセサリーば買い足してきたとこやけん、タイミングの良かったばい」
「見た目にも綺麗だし、眺めるだけでも楽しめるわね」
確かに彼女たちの手には各々小ぶりな紙袋が下がっている。服を買ったにしては小さすぎるし、上質紙の仕立てのいい紙袋なので宝飾品の店で買い物をしたのだとすぐ分かる。
組木箱はどうやら概ね好評のようで、ホッと胸をなでおろすアルベルトである。
そうして一行は揃って宿へ戻り、豪勢でなおかつ量控えめの海の幸を堪能し、雨が上がって星空の見え始めたバルコニーで露天風呂も堪能した。当然ながら彼女たちの入浴時はアルベルトは部屋を追い出されていて、彼はその時間を利用して宿の大浴場で自分も入浴を済ませた。
その後は風呂上がりの運動とばかりに彼女たちは広い宿内や庭園を散策して火照った身体を冷まし、部屋でひとしきり談笑したあとそれぞれの床につく。
こうして、ラグシウム最後の夜は更けていったのだった。
ー ー ー ー ー ー ー ー ー
スラヴィアを出るまでずいぶんかかりましたが、ここで二章完結です。旅はまだまだ続きますが、次からは幕間を挟んで三章(イリシャ編)、四章(アナトリア編)と続いてその先がいよいよ東方世界です。
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