アトランティス

たみえ

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序章 理想と創造

大陸創造6

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 ――さて、残るは幻の大陸と本丸のみである。

 この大陸については望郷の念に浸れるように、なんちゃって日本風にする予定である。そこに住む予定の種族は古来から言い伝えられる鬼人族。大陸の名前は『ゴルドルト』。
 設定では常に鎖国中である。

 日本風の独自の文化を築いており、各地に将軍が在中し、天帝を長として治められていく予定だ。室町から江戸時代、平安時代も混ざったみんな大好きなんちゃって日本である。
 独自の文化の中には巫女や侍、忍者に至るまで創造予定である。

 ちなみに群雄割拠! 戦乱! とはならない予定である。なにせ「アトランティス」のスローガンは「みんななかよくしよう」なのだから。
 故に、オリンピックのような競い合える場を用意し、権力闘争の代わりにしてもらうつもりである。初代天帝にそうした風な天啓が降りたという形にして国をまとめあげるのだ。
 生前の都道府県等を参考とした国造りである。

 いずれ各地に特産品が出来れば、アトラにとっては創造後の旅行で楽しさ百倍だ。どのくらいの領地に別れるかは今は不明だが、それも創造後のお楽しみということで気にしない。
 ――これで大まかな外周の大陸創造は決定した。

 後は世界の中止に座す真なる理想郷。『アトランタ』の創造。いよいよ待ちかねた本丸だ。

 『アトランタ』はどの大陸よりも広大であり、壮大。大陸と見紛うほどの巨大な建築物とする予定である。

 楽園であり、幻想郷。

 そこに住まう種族は雑多であり、しかし誰もが等しく祈りによって加護を得られる神の国。
 求められるのは真摯な祈りと敬虔さ。
 与えられるは安息と安寧。
 全ての種族に等しく、分け隔てなく与えられる祈りの加護は三つ。

 『愛』と『勇気』と『力』。

 どこぞで聞いたような陳腐な言葉だが、その加護内容はそこまで陳腐ではない……と、アトラは自問自答した。
 大丈夫。何を始めるにしても、この三つの要素は重要だ。何事にも不可欠と言ってもいい。間違っていないはずである。おそらく。

 思いついたのがこれだから仕方がないのだ。一度思いついてしまえば他が暫く思い浮かばないのは悪い癖だが、ぶれないことは名作への第一歩である。
 名作から拝借してるのだからなおさらだ。愛と勇気はお友達! ビバ力業! 自信を持って! と誰ともに確認出来ない孤独をアトラは享受する。
 ……さっさと設定を創り込もう。

 主な理念はそれとして、次は建築物の形だ。

 神の国としてファンタジーにあるまじきファンタジーにしなければならない。
 そこで、建築物としては異質ともいえるだろう、同心円状に広がる基礎に、基礎の中心を起点に上下にネジのように伸びる捻じれた塔、という形を創造する。
 うむ、実にアバンギャルド。

 下層に伸びる捻じれには階層ごとに様々な地形を形成。海底にて数多創りし種族の坩堝とならん。
 上層に伸びる捻じれには階層ごとに様々な試練を形成。天へと導く神へと至る道しるべとならん。

 まあ、つまり、下に行けば海と魚等が泳ぐ様子を真横にて幻想的に見られる生活圏、上には高所恐怖症も真っ青な夜景を一望できる神秘のダンジョン、という構成である。

 最上階はもちろん、神の間とする。
 到達者には使徒と成れるプレゼント(詐欺)付きである。
 また、それとは別になんでも一つ叶うる限りの願いを叶えることも特典にする。

 基礎の部分は平面なだけで上に伸びる等以外は何もなし。
 根幹の謎素材が単色なため、ゴミが落ちたら一気に台無しになりそうだ。
 ……もう少し、なんか、なんかしよう。

 ――そうして暫く、最後の仕上げも終わった。
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