アトランティス

たみえ

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序章 理想と創造

大陸創造3

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 これで四つの大陸『リベリア』『ドルデア』『サルゴン』『ファタフェメニ』の創造計画は立てた。残りの二大陸は生前最も難儀した大陸であったため、アトラも事ここに至って気を引き締め直した。
 どちらから計画を立てるべきか、少々迷ったものの、比較的分かりやすい大陸『ストルチェフォルン』の創造計画を立てることにした。

 名の由来は「朽ちた誇り」である。あんまりな名づけであるが、これにはアトラなりに考え抜いた設定があるのだ。それは生前完成させた理想郷の設定ではあるため、この「アトランティス」には適用されないが、それはそれ、これはこれ、である。
 その設定というのが、かつて世界を支配していたのは龍神や竜である、というものである。勿論、この世界の創造主はいわばアトラそのものの為、実際にそんなことを言い出そうものなら一捻りであるが、そんなことを言っては生前考え抜いた設定に申し訳ない。
 それに、まだ起きていないことを罰するわけにもいかない。つまりこの世界ではただの迷信ともいえる。

 そういう設定を基にすると、かつて世界を支配し栄えていた龍神の一族はやがて傲慢になり、弱肉強食に偏るようになり、弱者が淘汰されていくとやがて強者だけが残り、己を脅かす存在に日々怯え暮らすことになってから後悔した、というちんけな物語があるのだ。
 そうして後悔により隠れるように引っ込んだ大陸にその子孫が『ストルチェフォルン』――朽ちた誇り――という、かつては栄えた己の一族を揶揄し皮肉った名前をつけた、という設定なのである。

 過去の過ちを繰り返さぬようにと子々孫々と語り継がれている、という設定だったのをアトラは名前と意味だけ貰うことにした。なぜならアトラが創造予定の龍族というのはファンタジー仕様で強いほうがいいな、でも世界征服欲があるようなのは嫌だな、という理由からであった。
 故に、龍や竜族にはとある細工予定である。といっても、種族の本能ともいうべきもので、本能的に大陸から出るのを嫌がるようにするつもりであった。

 そしてそれに抗う個が出た場合は、もしものIFストーリーを天啓として悪夢で追体験させるのである。それでも外に出たがる奴はよほどの個体なので、適宜対処しよう、とアトラは計画を立てる。

 実のところ、どうせなら閉鎖的な部分だけエルフに似せないものかと考えたりもしたが、それでは自由に羽ばたく龍や竜というファンタジーへの冒涜だと思い直し、試練といえるか分からないが、とにかく偽物語や本能を無視してなおも羽ばたくものには外への渡航を許可しよう、とアトラは計画を立てて行くのだった。

 ――『ストルチェフォルン』、そこは主に五種属に分かたれた不可思議な地形となった。砂漠剣山エリアの土龍(竜)、活火山マグマエリアの火龍(竜)、荒地高原エリアの雷龍(竜)、実り豊かな森林資源エリアの風龍(竜)、そして底なしの巨大な湖エリアの水龍(竜)。
 偽物の伝承を信じて疑わない彼らは後にアトラを少々困らせるが、それはまた別の話であった。
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