アトランティス

たみえ

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序章 理想と創造

大陸創造

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 自由な生命の息吹を創造して名付けた最初の大陸『リベリア』を創造出来たことで僅かな安堵を得たアトラは、次なる大陸を創造することにした。『リベリア』は人族の大陸。ならば次はファンタジーにつきものの種族、獣人族の大陸を創造しよう、とアトラは計画する。
 犬、猫、狼、牛、馬、兎などなど、多種多様な獣人の住む大陸である。獣人族は人族より基礎的な身体能力は高く設定しておく。それが定番というものだからである。

 それと大陸の名は……そうだ、『ドルデア』なんてどうだろうか。由来は木の精霊「ドリアード」、月の精霊「ルナティア」、死の精霊「デスアビス」、命の精霊「アヴィダ」にして、精霊として創造しよう。

 「ドリアード」は地脈を管理し、「ルナティア」は獣人族に加える予定の種族特性の象徴としての君臨、そしてその監視、管理に当て、「デスアビス」は死の循環を管理させようか。そして「アヴィダ」にはそのサポートをお願いしておけば、ほら、完璧! これで『ドルデア』大陸はいっちょあがりである。

 問題は『リベリア』にいわゆる管理する精霊という存在が無いことになるわけだが、代わりに魔力や気という不可思議を扱える器官を人族に与えることで相殺にしよう。獣人族には不思議器官は与えられないが、代わりに「ルナティア」の加護的なアレが与えられるし、これでお相子ではなかろうか。

 よし、これで二つの大陸は問題なし! 後は問題があれば四大精霊として創造した彼らが随時申告してくれることだろう。そう、プログラムされている。
 ……残念ながら、今のところ精霊に自己は無い。少し期待したものの当てが外れてアトラは暫し落ち込んだ。しかし、くよくよしても始まらない。稼働前のため、何の反応も無い精霊は放っておき、とりあえず他の大陸を創造せねばならない。


 次はファンタジー特有の種族から創造していこう。まずは敵キャラになりやすい魔族からである。正直、アトラとしては生前の魔族という種族の扱いに思うところがあったのだ。だからせめて己の世界ではただのひとつの種族として存在して欲しい。
 だが、万が一ということもある。人族や獣人族の大陸からは近くて遠い微妙な位置に配置しておこうとアトラは考えた。さらに『リベリア』や『ドルデア』側からは魔族の大陸に到達しても険しい山脈を配置することにした。大気圏を超えてまで魔族に会いに来るバカなどいないだろうという予想である。

 さらに山脈には最後の仕上げで強力無比な魔物という生物を配置予定なので、超えようとする手前で死ぬはずである。人類の敵! だなんてことになったらせっかくの理想郷の計画がおじゃんになるので、なんとしてもそんな展開は阻止したい。ファンタジーあるある許すまじ。
 そんなこんなで象られた魔族大陸には『サルゴン』とアトラは名付けた。由来は「去れ」と「厳し」の融合という単純明快なものであった。通じるかはともかく。

 魔族は特殊な種族として、魔力の塊で出来た種族としてアトラは創造する予定だった。つまり、魔力がある限り寿命は長いのである。ファンタジーの定番はアトラもしっかりと抑えていた。
 種族も悪魔から獣人に近い種族まで多種多様である。ちなみに獣人族と獣人族に近い魔族の違いは明確で、見た目である。魔族は兎なら本当に兎の頭になるが、獣人族は耳と尻尾だけで後は人族と一緒というご都合主義予定である。やはりこうでなくてはとアトラは創造の前段階の計画で満足する。

 魔族の食事は様々で、人族と同じ食事でも良いがそれぞれの種固有の食事方法もある。代表として挙げるなら吸血鬼やサキュバスなどが分かりやすい。そういう予定である。アトラはファンタジーの再現に余念が無いのであった。
 人族や獣人族と敵対しないように地形的にも閉ざされてはいるが初めての創造の為に何が起こるかはアトラにも分からない。全てが創造出来たら出来るだけ監視、もとい注意して見守ることとしようとアトラは決意した。

 そして少々の懸念を残しつつも、いよいよファンタジー定番であるエルフの大陸をアトラは創造開始するのである。
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