背神のミルローズ

たみえ

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|急《まくあけ》

背神のミルローズ

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 ――バンッ!

「……随分と舐めた出迎えしてくれやがるじゃねェか」

 を終えて戻ってきた瞬間、銃撃を受ける。
 主導は未だに取り押さえられたままのクソガキだろうが、実行はわらわらと引っ付いていたクソ人間ザコどもだ。

「もっと正確に撃ちなさいよ役立たずども!」
「……椿様。的の広い胴体の急所を、狙い撃ちました。その背後や周囲にも、あるべき弾の痕跡は全く見当たりません。――確実に、当たっているはずです」

 噛み締めるように、しかしどうにか淡々と冷静に状況結果を報告する人間ザコだったが、本能からの恐怖なのか、その身体は抑えきれずに小刻みに震え、一点を注視したまま歯はカチカチと鳴らされていた。
 ――まァ、こちらの手の位置と形を見て察すれば、魔女でもねェクソ人間ザコどもはビビるだろうよ。

「でもぴんぴんしてるじゃない、あの化け物ッ! どういうことよ!」
「あァ、これのことかよ?」

 さらさらさら……。

「「…………」」

 手の内側から零れ落ちる砂のような残骸に、クソ人間ザコどもの息を呑む音がした。

「――音速程度の攻撃がオレ様に通じるかよ」

 ずさ、と一斉に図ったタイミングで無言のまま後退るクソ人間ザコども。

「何ボケっとしてんのよ! あんな化け物、全員で同時に撃って掛かればいいじゃない! そのくらいの機転も利かせられないの!?」

 きゃんきゃん喚くクソガキの発破に、暫し唖然としていた代表らしき女がいち早く気を取り直し、恐怖で震えながらも再び銃を構え、発狂してるような表情のまま腹の底からの大声を出して指示を出した。
 ……どこかやけくそに見えるのは気のせいだろうか。

「――構えッ! 撃て、撃て、撃てぇぇぇええええええ!」
「ああああああああああああッッ」
「ばけものっ! しねっ! ばけものっ!」

 バンバンッ、バンバンッ、バンバンバンバンバン――ッッッ!!!!

「――くっそくだらねェ」

 空間を撫でるように手を動かし、――弾を
 カチ、カチ、とあっという間に弾切れになっても、半狂乱したままでいつまでもカチャカチャとうるさいクソ人間ザコどもを見やってそのままパチン、と指を鳴らして弾をする。

 ――ィンッ!

「ひ……」

 ちゃんとお返しが分かるようにと、肌スレスレを撫でるようにそれぞれへを届かせた。
 チリチリと、遅れて全身が傷だらけになったことに気付いたのか、それを認識した人間ザコから次から次へと大した傷でもないのに情けなくも大袈裟にバタバタと泡を吹いて倒れ伏していく。

「大人しく待ってろ、テメェらは殺すには値しねェからよ」
「ひぐ……」

 限界を迎えて一足先に気を遠くしていた部下らに続き、最後までなんとか意識を保っていたはずの代表の女が、最後はぽろぽろと涙を零しながら笑顔で気絶した。
 鈴蘭の知る能力ではクソガキがいくら扇動しようとも、操れない条件の人間ザコどもだったのだから攻撃を強制出来ていたわけではないはずだ。
 つまり自分たちの意思でこちらを攻撃したことになるが……突然何がしたかったんだよ、こいつら。

「茶番は終わりましたか」

 いつの間に退避していたのか、ひょこ、と物陰から顔を出しながら鈴蘭が問う。

「……あァ。こいつらは何がしたかったんだ?」
「さあ? 出番が欲しかったとか」
「意味分かんねェよ」
「私もです」

 適当言いやがって。

「そんなことより、回収はちゃんと出来ましたか」
「あァ……これでいいかよ」

 懐からぽいっとソレを放り投げて鈴蘭に渡す。

「――上出来です」

 頬を上気させ、いかにも嬉しそうな顔でソレに恭しく頬擦りしながら受け取る鈴蘭に、思わず反射的に「うげぇ」となって視線を逸らした。
 ……思わず同情したくなるぜ、クソ危ねェ。

「――鈴蘭様」

 神域結界の向こう側より、諦め悪く喚いて暴れているクソガキを抑えたままでクレマチスがこちらへ声を掛けてきた。

。ご協力感謝します」
「感謝は私ではなく、この子にあげるべきです。私はこの後もから」
「……感謝します、ミルローズ
「心底どうでもいいぜ」

 心にもねェことを。

「では――やっていいんですよね、お姉ちゃん」
『……………………うん。いいよ』

 たっぷり間があったものの、神が鈴蘭の念押しに対して最終許可を出した。

「クレマチス――をこちらに」
「はい」
「嫌ああああああああああああああッッッ!!??」

 激しく喚かれ、暴れられ、抵抗されながらもずるずると、クソガキを引きずって結界の境界ギリギリへと容赦なく問答無用で連れてくるクレマチス。
 嫌だ嫌だと泣き叫ぶクソガキは神へと「助けて」「嫌だ」と要求し続けていたが――じっと成り行きを見守ることはあっても、神が動くことはなかった。

「お姉ちゃんが動くわけがありません。お望み通りんですから」
『……そうだね』
「嫌よ嫌よッ! 私は嫌なのよッ!」

 話を聞く気も、理解する気もない。ただ嫌だから嫌だ。
 ――分別のつかない、ただのクソガキだ。

「おば様っ、おばさまぁ! たすけ、ぅごふっ!?」
「はい、ごっくんして下さい」
「ゔうぅぅぅ゛っ!?」

 先ほど渡した禍々しい玉を大口開けて喚いていたクソガキの口の中へ放り込む。
 すかさずクレマチスが顎を掴み、クソガキの口を閉じさせた。

「――美味しいでしょう? ちやほやされることに関して執念するアナタには特に」
「ゔぅぅぅ……ッ!」
「ほぉらほら、もっとしっかり味わって下さいよ。あなたの下僕たちでしょう?」
「うううゔんぐッ!?」

 涙目でイヤイヤと顔を振り回そうとして、しかしがっつり掴まれた顎が動かせないせいで呻くことしか出来ないクソガキ
 それもとうとう――ごく、と抵抗虚しく飲み込んでしまい蒼褪めながら気絶した。

「……あぁ、もう少し抵抗してくれれば」

 心底残念そうに、名残惜しそうにため息を零しながら鈴蘭がのたまう。

「せっかくこの後に用意していた数々のお楽しみたちが全部ボツですよ、はぁ」

 どんだけだよ、こぇーよ。

「どうやら相変わらず、自分を守ることに関してだけは異常に勘が良さそうなのが非常に残念です。――まあそうこなくては、後の面白味が全く無くなるというものです。やる気が漲ってきますね」

 目を爛々と開けんな! こぇーって!

「――お姉ちゃん。そんなに気になるなら、根本に置いておきますよ」

 と、若干我を忘れて興奮していた鈴蘭が、飲み込ませる一部始終の間ずっとチクチク刺さってきていた視線に応えるように提案する。
 待ってました、と言わんばかりの反応速度ですぐに神が頷いた。

『うん。お願い』
「クレマチス」

 鈴蘭が名前を呼べば、心得たように魔女が再びずるずると引き摺るようにして神木の根元へとクソガキを連れて行った。
 根本に適当に置いたところで、どこかそわそわと見守っていた神がやっと落ち着く。

 ――やっと、これで本題が始められる。

「――クレマチス。では、出て来てください」
「……かしこまりました」

 ザシュッ!

 緊張した面持ちのまま、神域結界から出て来たクレマチスを――即、狩る。
 ――問答無用だ。もう言い残したいこともねェだろうが。

「お姉ちゃん……」

 ――ひら、ひら……。
 魔女が変質し、ゆったり落ちてきたそれをぱしっ! と宙で捉えて首を傾げた。

「……なんだこの布切れ」
「覆面ですよ。……これは目元を隠すタイプのようですね」

 神妙な顔で鈴蘭がそう解説する。
 ……その顔をしてた時は大抵こちらにとって、あまりよろしくなかった時だ。

「……まァ、どうでもいいぜ。ちゃんと使えりゃァな」

 深堀りせずに流す。知らなくても問題にならないのなら、全く知る必要はない。
 気にせず適当に装着していると――神域結界と神に背を向けた鈴蘭が問うてきた。

「――の言葉は分かりますか?」

 ……オレ様の存在をなんだと思ってやがる。――、知ってる。

「ふ、やるぜ――『滅して滅して滅ぼして、絶滅こそ我が役目』」

 ――ギィィィィィィィイイイイッッッ!!

 言葉に呼応し、軋むような響きが迸る。
 そして収縮。神をに。――これが、神を滅すための最短ルートだ。

「――『須らく堕落せよ、夢幻の生命のものどもよ』」

 ぎゅいんっ!

 ――世界ほし

 ◇◆◇◆◇

『懐かしい、世界。大好きな、綺麗で美しい世界』

 きらきらと色とりどりに輝く神秘を眺めながら、神が呟いた。

『もう、戻れない』

 哀愁も、郷愁も無い。ただの事実確認。

『だから大切だったもの全部、忘れたいの。――そうしたら、もう痛くない?』

 あまりに痛々しい。

 ――あなたには大役があります。神を無へ導く、その役割が。
 ――出来ません! そんなこと……!
 ――いいえ。私がお願いせずとも、いずれ自ら導こうとしますよ。
 ――ありえません!
 ――どこまで出来るか、見物です。あなたはそういう子ですから。

「……承知、致しました」

 屈した。ただただ、それだけの理由だった。
 この惨劇に痛みを感じられない神に、なのに神に、その姿にまるで耐えられなかった。
 覚悟も考えも甘く、足りていなかった……ただ、それだけのこと。

『ありがとう』

 感情の全く籠らない、感謝の言葉。
 ――あ、ぁ……苦、しい……悍ま、しい……ッ!
 こんなものの為に、私は――ッ!

『……あなたたちを愛せなくって、ごめんね』

 愛せない? ――当然だ。
 謝る必要なんて全く無い。どれほど貶して蔑み、憎まれても足りぬ程なのだから。
 むしろ、
 ――これが愛でないのならば、なにをもって愛だといえるのか。

「――夢、を」

 傍観なんて、出来ない。していられない。
 思惑通り――終わらせてやる。何が何でも。絶対に。

「幸せな夢を、望むままに捧げましょう」

 せめてもの慰めを、神に捧げて――。

『……ああそれは、なんて楽しそう。お願いしていい?』
「! 勿論です」

 こちらの感情を理解し、の答えを下さる神。
 予定調和? そんなもの、どうだっていい。私はただ――。

「目覚めを――いつまでもお待ちしております」

 ――神を終わらせる、その為の目覚め。それだけを求め、『無』へと導くだけだ。































 ・


 ・


 ・

 ・

 ・
 ・
 ・

 コツ、コツ、コツ、――に存在を誇示するよう響く、音。

「――はじめまして、

 …………。

です」

 …………。

「――

 ……ふ。

、あるいは神を騙す為だけに味方から、そして味方を騙す為に、そんなあなたの――私の望みのそのちっぽけなお望み、叶えて差し上げますから」
「――いい度胸だ、気に入った」

 声を出したせいか、酷くくぐもった音が出た。

「テメェ、死ぬ気で死ぬ覚悟はあるかよ」
「――神を程度には」

 ……の導入にしては、上等だぜ。
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