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ネロのはなし
女神との姦淫24
しおりを挟む興味は無かった、が。――女王に関しては興味があった。
前公爵は嬉々としてある儀式について話した。よほど何かの鬱憤でも溜まっていたのか。何かに取り憑かれたがごとく饒舌に話した。
ネロは儀式の詳細を聞かされて、ある噂を思い出した。
その噂の中では、前公爵が語った通りの儀式をして、結局は効果の無い子供騙しの儀式であった、と結論付けられていたはず。前公爵は騙されたのではなかろうか、とネロは考えた。
噂の真偽はともかく、実際に大勢が儀式を行い、失敗したのは事実。特に害は無いようである。それを確認して、ネロは調べるためにと切り取っておいた血のついたシーツの一部を前公爵の前に無造作に放り出した。
「……お? おぉ……おおお!! これは!」
急なネロの行動に一瞬不信な表情を浮かべた前公爵だったが、無造作に机上に放り出された布切れを確認すると、表情を一変させた。それは、歓喜である。
「流石は裏社会で凄腕と言われるだけはあったな! こうも早く我が手に念願の品が至るとは!」
女王の血であることを説明する前に理解した前公爵にネロは怪訝に思ったが、伝わったのならば問題ないと気を取り直した。これで依頼は完了である。
「――ああ、待ちきれん! 今すぐ儀式を行うのだ! ……そうだ。貴様も見届けるがいい。わしとマリアンヌ様の永久なる強固な結びをな!」
興奮したように告げた前公爵は重いだろう身体を引きずってどすん、どすん、と移動を開始した。
結果の分かっていたネロはもう帰っても良かったのだが……女王関連はやはりどこか気になるのか、条件反射で自然と体が勝手に前公爵の後に続いていた。邸の地下へと――。
後日、ネロはこの依頼を受けたことを盛大に後悔することとなった。
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