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13歳と白百合の…

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「ふぅ……」

 悪夢の中で前公爵を憎しみに任せて消し飛ばしたあの日から、マリアンヌは再び夢を見なくなっていた。おかげで悪夢を見る前の心の平穏を取り戻していた。女王としての仕事を怠ることはなかったが、それでも顔色が良くなかったせいで余計な事を勘ぐる輩が一時湧いていたのだ。
 案外と早くに顔色が戻ったおかげでそいつらは墓穴を掘っただけで終わったが。マリアンヌは未だに何故あの時に動けるようになったのか考えていた。

 普通に考えれば呪いの効力が弱まったとしたほうが分かりやすいが、それにしては悪夢の中の前公爵の様子は異常であった。――いや、終始理性が飛んで励んでいた様子を正常とするのもおかしな話だが。
 マリアンヌは確かに耐えながらもどうにか出来ないかと足掻いていたが、結局それもどうやっても身体が言うことを聞かなければ何も為せなかった。何のきっかけで解放されたのか。

 マリアンヌは、また今回のような呪いに掛けられない保証もなく、加護に頼りきりだからとて完全に安全とも限らない、と反省してかなり真剣に原因を考えていたのだ。いったい何がトリガーだったのか……。
 あの瞬間まで変わったことをした覚えもなく、いつも通りだったのは間違いない。では、あの瞬間は偶然、もしくは奇跡だったとでもいうのか。もう、他に何が考えられるというのか、とマリアンヌは自室のベッドに沈んだ。

「はぁぁ……」

 分からん。と、マリアンヌはとりあえず平穏な睡眠の有難さを感謝しながら目を閉ざした――。

 ◇◆◇◆◇

 ――ちゃ、ぬちゃ……。

「……んぅ?」

 最近よく聞いていた嫌な音がして、マリアンヌは閉じていた目をおぼろげに開いた。まさか――と嫌な予感を覚えながらも周囲の確認をした。時間帯はまだ夜中。次に恐る恐る音の発生源を確認した。そこには――

「(――えっ!?)」

 マリアンヌはその光景に思わず声を上げてしまいそうになったが、我慢する。そしてちょっと意味が分からなくて愕然とした。何故なら……。

「(どこかで見たような光景ね……)」

 ……そこには、マリアンヌの両足を抱えたまま己の陰茎をしっかりと挟み、必死に腰を前後に動かしているルネが居た。まだこちらの目覚めには気付いていない――。
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