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13歳と白百合の…

マッサージ

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 ――考えてみたのだが。マリアンヌは今回の夫への勧誘、かなり抑えていたと思われる。なぜなら、ノエルの時のように時期的にあまり切羽詰まっていないというのもあろうが、積極的に攻めすぎてせっかくの夫候補に拒否されてはたまったものではない、と考えていたからだ。
 ノエルの時は多少強引に言質を取ったが、ルネの場合、最初からそう簡単に頷くような様子ではなかった。そもそも夫婦の契りを交わして夫として認められる――縛る――には、お互いの合意が大前提なのだ。行為だけでは術が発動しないのは歴代の女王によって確認済みである。
 ……故に、ゆっくりじわじわと色仕掛けで篭絡して落とす、……という実に遠回しで姑息……こほん。ある意味とても素直な計画を企てたのだ。

「うーん……」

 力加減が分からないのか、ただただ油を塗りたくってるだけでくすぐったいルネの手つきを肌に感じながら、色気の皆無な雰囲気を悟って心なしか目が遠くを見つめていた。マリアンヌはまるでバターを隅々まで均等に塗られている食パンの気分であった。まだレンチンはされていない。
 仰向けで全裸のマリアンヌにも何か反応を示すでもなく、淡々と仕事をこなすルネを侮っていた、とマリアンヌは悔いた。仕事人間なんてちょっと色仕掛けすればちょろい、なんて安易に考えていた過去の自分をどつきたいほどである。

 美人な上司に迫られてるシチュエーションを軽く躱すとは、理性が固すぎる。それともこれは駆け引きなのか? いや、それにしては仕事に真面目で忠実過ぎる、とマリアンヌは思考の坩堝にハマっていた。
 ――いったい何が正解なのか。

 マリアンヌの中でぷつり、何かの糸が切れた。

 スッと手を伸ばしてルネの腕を掴んで止める。

「……もういいわ」

 全裸のまま上半身を起こして告げたマリアンヌの言葉に、ルネが不思議そうにどこか無垢な顔つきで瞬きをした。……気のせいでも何でもなく、やはり性的な反応はどこにも見受けられない。

「あなたいくつ?」
「……22です」
「そうよね。そう申告してるものね」

 ――マリアンヌは元々短気だ。だから当初の篭絡方法を大幅に変えることにした。そのため念のため年齢を先に確認した。そして――歴戦の猛者がごとく目が据わる。

「――ルネ、今すぐ全部脱ぎなさい。そして横になるのよ。私が直接、本物のマッサージのなんたるかを教えてあげるわ」

 と、ドスの効いた低めの声で命令を下した。
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