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13歳と白百合の…
お風呂3
しおりを挟む「――もう気は済んだかしら」
より難問を突き付けられたような空気を纏いながらもこくり、とルネが頷く。どうやら女体の神秘は迷宮入りになったらしい。この謎の時間からの解放に安堵したせいか、マリアンヌはくしゅん、とくしゃみを溢してしまう。さすがに長時間真っ裸で膝立ちは加護があっても良くなかったらしい。
ルネがハッ! と今気づいたかのようにすぐさまマリアンヌの泡を素早く流し、ガシッと腰をわし掴んで軽々持ち上げたままお湯に降ろして浸からせた。……正気に戻って本来の仕事を思い出したようでなにより。
じー……。
「「…………」」
ルネからの視線が痛い。
「……お風呂上りには調香した油でマッサージしてもらうのだけど、出来るかしら」
「……はい」
一見無表情ながらも、よーく見ると眉間に皺が寄っていた。目の前に絶世の美女が無防備に裸でいるのに、そういった空気にならないのは何故なのか。マリアンヌは真っ裸になって直接触らせるまでしたのに、こうも殆ど何の反応も得られないともはや女としての自信を無くしそうだった。
――こうなったら他の作戦を考えないと……。
お湯のせいか、思考がほわほわし始めるマリアンヌ。緩む思考のまま何が良くなかったかを考えて、一番は仕事人間を甘く見過ぎていたと反省する。暗殺者にこんなことを言うのはおかしいかもしれないが、ルネは生真面目すぎるのではなかろうか。
依頼人は拷問でも吐かないし、刃を防ぐ胸の神秘を揉んで確かめているときも、後ろから刺すような視線で観察している今も、どこかマリアンヌの弱点を探している様子である。まだ暗殺を諦めたわけではないらしい。結局マリアンヌは加護のせいで殺せないので意味はないが。
……もしマリアンヌに弱点があるとすれば、前世基準の美形には甘い……ということではなかろうか。
ざばーん……。
そろそろのぼせてしまう、とマリアンヌはお湯から上がることにした。
「――この後はマッサージと着替えをお願いね」
「かしこまりました」
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