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12歳と薔薇色の…
誠実と不誠実3
しおりを挟むマリアンヌの堂々とした浮気宣言を聞き、狼姿のノエルが器用にも面食らった表情になった。それもそのはず。ノエルが血を引く種族はどちらも番には愛情深いのが当たり前。それも魂まで永遠に縛りたいと、契約魔術で誓いを相手に強要するのも当たり前なほどに独占欲の強い種族なのだ。
すでに夫になったため、ノエルはマリアンヌに生涯を縛られるが、マリアンヌは生涯にわたって永遠にノエルに縛られることはない。それが義務であるからだ。
――故に、この事実を後出ししたマリアンヌは実に不誠実であったのだ。
「――ああでも安心して。昨夜の行為で気付いたのだけど……おそらくこれから先、私が閨にノエルを呼ばなくなることは在位中は特に無いと思うわ」
『……?』
あまりに二転三転する内容に話が見えないのか、ノエルが器用にも首を傾げて鼻をふんす、とひくひくさせた。マリアンヌはそんなノエルを撫でながらも気にすることなく自分勝手に言葉を紡いでいく。
「吸血鬼は血を好み、神狼は体液を好む、だったかしら?」
『……!!』
昨夜の行為はまさにソレであった。大半は意識が朦朧としていたが、あのなんともいえない感覚は覚えていた。完全に忘れていたが、そもそもはノエルの容姿を知る前から種族特有の能力に魅力を感じていたのだ。
……それがたまたま自分好みの美少年に変化したから勢い余って夫にしてしまっただけで。
「――高位の吸血鬼は、処女すらも快感に導くという噂があるの」
『…………』
「同じく、高位の神狼は無意識に癒しを与えるという噂もあるの」
『…………』
「――ノエル。あなた、先祖返り? そうでないなら、高位の吸血鬼と高位の神狼が番ったことになるのだけど……」
どちらであってもとんでもないスキャンダルであった。
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