緑の体だからゴブリン?花が咲いてるからドライアド?いいえ、超ミドリムシです!異世界で光合成して家族が増殖しました!

もう我慢できない

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175話 ミドリムシと勇者

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 緑のダンジョンで召喚の準備を進める各国の代表者達は、今までに一度も行った事ない協力体制での勇者召喚の準備を慎重に進めていた。

「では、各国の触媒を出していただけますか?」

 人族の代表者のジークが触媒を出し、その後に他の国の代表者にも触媒を出す様言うと、各国がそれぞれの国で使う触媒を出していく。

 それぞれの代表者達は、お互いが出し合った触媒の内容を確認すると不安をおぼえる。

「やはりこの様な事になるか……」

 各国が触媒を出し終えると1番最初に触媒を出したジークが思わず呟く。

「「……」」

 その言葉に他の国の代表者達も無言で肯定する。

 それぞれの国が出した触媒の中に最近、噂になったり騒動を起こす切っ掛けになった物や、自国で見かけた物の数段洗練された物が他の国の触媒に見られたためであった。

 特に目を見張るものでは、手足先と首から上以外を守るような、エメラルドグリーンをした全身タイツ。

 真っ黒に染あっがている、魔物の素材。

 どういった加工を施されていいるか分からない、いくつかの武器防具。

 見たことの無い木の実。

 各国の者達は一同に集められた触媒を確認すると思わずこぼした言葉が一致する。

「「緑産か……」」

 それぞれの国に未だかつてない距離、自国のほぼに突然できた国、その国は緑のダンジョン。

 そこでは、今までならあり得なかった各国合同で技術交流が行われていたが、今彼等が目の前にしているのは、その技術交流がさらに進めば開発されたであろうと想像される物や緑から提供された物がいくつか見えた。

『緑、聞いていないぞ同時スタンピードで干支緑達が一時的に使役していた魔物の素材をエルフの国にわたしたのか? あのドワーフの国の武器防具はなんだ? 獣人達は見たこともない実をだしているんだが……』

『あの、全身タイツとでも言うんでしょうか? あれって見た事ある色をしている…… もしかして、緑さんの髪で編まれているのでしょうか? 美しい……』

『緑よお前の髪を編み込んだ全身タイツ、あれはいくらで人族達にわたしたんじゃ? そんなものがあるならわしらドワーフにも売ってくれ! それに魔物の素材、あれは絶対に干支達が使役していた魔物の一部じゃろ! 木の実も何か使えるかもしれん!』

『我らの娘の旦那は、やはり色々やらかしている上におもしろいのう…… 緑達の家に招待された時に緑達の髪を持ち帰れないかと探し、徒労に終わったがあんなものを人族達に渡すとは…… 今回の件が片付いたらもらえないか聞いてみよう。後は……素材に武具防具か……』

 それぞれの国の者達が他の国の者達が出した触媒を見て、色々考えるがすぐに気を取り直す。

『『全ては、勇者召喚を成功させてからか…… なんとしても成功させる!』』

 そう考え、代表者達は勇者召喚の儀式を開始する。

 だが、代表者達は気づいていなかった。各国の触媒は、それぞれの種族の勇者が召喚される、それは自分達の種族に馴染みの深い物が触媒であるから。

 今、用意された触媒の数々には、緑に関連する触媒が多い。それは、緑に馴染みの深い者が召喚される可能性を多いに上げていた。触媒が多岐にわたれば、その中で影響力が強い物に馴染みが深い物が召喚される。

 緑に関連する物が影響力が弱いはずがない、そのことに気づくものは居なかった。


◇◆◇◆◇◆◇◆


「あの女神様……」

「どうしました?」

「実は、勇者が召喚されるんです……」

「はて? なぜ勇者召喚が必要なんでしょうか? 緑さん達が居れば問題ないと思うのですが…… ああ、まだ緑さん達がが召喚するんですね」

「いえ、そうでは…… !? 召喚がはじまりました!」

「え、緑さん達が居るのに? まさか!? 緑さん達を倒すために!?」

「い、いえ! そうではないんですが…… いや、そうなんですが!」

「ええ!? いったいどっちなんですか?」

「実は…… 」

 女神の部下らいしい者が経緯を説明する。



「そんな馬鹿な話があるんですか!? 緑さん達が魔王と戦うと勘違いして応援に数国合同で勇者召喚をするなんて! 緑さんが魔王なのに!? しかも緑さんに関係するものが多いから緑さん自身が召喚されるかもしれないなんて!?」

「はい、そうなんです…… そんな事になれば緑さんが勇者と魔王の称号両方持つことに……」

「勇者と魔王の称号を同時に持つなんて…… それって世界の理にはんするから、緑さんが爆散してしまいません?」

「は、はい…… 私達もついさっき気がづきまして……」

「私には、緑さん達の事を見てないで仕事をしろと言うのに!?」

「緑さん達を見続けて、女神様の遅れた仕事を私達が分散して処理していたんですが……」

 まくし立てた女神の言葉を聞いた部下と思われる者は、こめかみに青筋を立てながら女神の言葉に返事をする。

「「……」」

 その返事で女神と部下と思われる者は無言になる。

「そ、そうでしたか。まくし立ててすいません」

「いえ、お気になさらず……」

 そう言いながら、青筋を立て続ける部下の様子に女神は若干弱気になるがすぐに話を進める。

「それで、緑さん以外に召喚に応じさせることはできますか?」

「そ、それは可能なのですが……」

「何か問題があるのですか?」

「緑さんの世界の人ならなんとか……」

「緑さんの世界の人ですか……」

 2人が話すの緑の世界とは緑が転移する前の世界ことであった。

「ではあの人にしましょう。私はすぐにに交渉しに行ってきます」

 そう言うと女神はその場から姿を消すのであった。



◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「さぁ、勇者が現れるぞ!」

 ジークがそう言うと魔法陣の中心部に人の姿が現れる。

「ふむ、話通り年齢は20代半ばといったところかな、技術はそのままだし、それを操る体力も一番申し分ない頃だわ…… しかもこの世界には緑ちゃんがいるのよね……」

 現れた人物の呟きは、周りの物たちには聞き取れなかった。それがさらに状況を悪くする。

「勇者様ですか」

 現れた勇者にジークが恐る恐る声をかける。

「ああ、そうよ。女神様にこの世界で勇者になって欲しいと言われてね…… しかし、勇者になって何をすればいいのやら……」

 ここでも最悪なのは女神が言い忘れた、緑の姿が異世界に渡る際に変わっている事と、緑が魔王になっている事。

 現れた勇者は、ジークと淡々と会話を進める。

「我々が勇者様をお呼びした理由は魔王を倒してほしいのです」

「なるほど…… 普通に考えれば勇者が召喚されるのはやっぱり魔王を倒すためよね…… でも、いきなり魔王のすぐ近くに召喚するの? 結構近くに居るのね…… ここに来た時からすごく大きな力を感じてたわ……」

「は? 魔王が近くに? まずは説明を……なっ!? クソッ! どこに行った!? 説明すらしていないのに!」

 勇者の呟きを聞いたジークがまずは説明をしようとしたが勇者の姿を突然と見失う。ジークがすぐに勇者が移動したことに気づけたのは、移動する瞬間に蹴られた地面の陥没とそれで舞った土と草のおかげであった。

 勇者が移動したその先には、龍種達と最後の戦いをすべく準備が終わり約束の明日まで疲れを残さない様に生活する緑達がいた。

「ねぇ、まーちゃん気づいた? なんか突然強い人がでてきたよね」

「ああ、強いも何もこの気配だと明日戦う龍種達が可愛くおもえるな」

「うん、確かに……」

 そう言った2人は浸かっていたタライか飛び出す。ダンジョンの中では【超光合成】は発動しないのだがそこは、ミドリムシ水の中が落ち着くらしい。

 2人がタライから飛び出し気配の方に向かって身構えるとその2人に声をかける者が集まって来る。

「「おにぃちゃーん!」」

「2人共いる!?」

 2人が身構えた直後に異変を察知した干支緑達と腐緑が現れる。

「皆、気を付けて! とんでもなく強い人がダンジョンの中に現れた!」

 緑が叫んだ直後、今度は魔緑が叫ぶ。

「来るぞ!」

 誰よりも察知に優れた魔緑が動きに気づき、すぐさま声を上げるがそれすらも遅かったと思わせる状況に気づく。

 魔緑が叫んだ瞬間、緑の目の前に【水野 緑】が知る、人によく似た女性が抜刀するような姿勢で手刀を振りぬこうとする状態で現れた。

「「!?」」

 その状況とその女性を見て【水野 緑】全員がギョッとし、動きをとめてしまう。緑は、その振りぬかれた手刀に吹き飛ばされる。

「ぐあっ!」

 吹き飛ばされた緑は幾度も地面を跳ねながら、その後ろにあった木を何本もへし折り地面に転がる。

「ぐえぇぇぇっ!」

 ダメージが内臓にまで届いたのか緑は転がった状態から片膝で立ち上がろうとするも大量に吐血する。吐血が終わりすぐさま相手を探そうとし顔を上げた瞬間、緑の目の前に足のすねが迫っていた。

 緑は、またもや何もできず、すねでの蹴りを顔面でうける。

 バキバキと自分の鼻が砕ける音を聞きながら、緑は気絶しそうになるがその意識を繋ぎとめたのは魔緑の声であった。緑が吹き飛ばされながら見た魔緑は、いくつもの白い火の玉を身の周りに浮かばせながら女性に向かっていた。

「うおぉおおおおおっ!」

 魔緑は叫び声ともにありったけの魔力を使い、自分の周りに浮いた白い火の玉から白い熱線を女性に放ちながら同時に、髪も使い女性の全方面から攻撃をしかけた。

「湖上流抜指術、三日月!」

 だが、女性がそう言って振った腕の先にある魔緑の攻撃すべてが切り裂かれる。

 女性の見えない攻撃は、魔緑の放った真っ白な熱線や周りに広がる白い火の玉を切り裂いていく事でその軌跡が視認される。その見えない攻撃の軌跡が魔緑に直撃すると思われた瞬間、魔緑の目の前に光の壁が現れ弾く。

 光の壁は軌跡を弾くと同時にガラスを割ったような音を立て割れた。

「助かった、腐緑」

「この事は忘れないでね。しかし、彼女の攻撃ってだよね?」

「ああ、だ。だが、その情報は全員がもっているんだろうか?」

「……わからん。だがお前とは俺は持っているんだな…… 緑や干支緑達はもっているんだろうか?」

「わからない、湖上さんの事を知っているのかすら、この状況じゃ確認できないよ」

「しかし、ダンジョンの入り口の方、施設がある場所の近くでなくてよかったな……」

「だね、この辺りで助かったよ、でもこのままダンジョンの中で戦いたくはないね」

 2人がそんな事を話している間に勇者は緑に向かおうとしたが、緑を見てその動きを止めていた。

「「なんでおにちゃんをいじめるの! やめてよ!」」

 勇者は緑を観察していた。

『魔王という事は、魔族の長なのよね…… ただ悪い奴なら子供が守ろうとする? 同じ肌の色しているし同じ種族よね……』

 勇者の疑問の原因は、傷ついた緑を守ろうとする干支緑達の姿。

『もしかして、魔族とそれ以外が戦っているのかな? 緑ちゃんに会えると思ってさっさと魔王を倒そうと思って動いちゃったけどよく考えれば話を聞くべきだったわね……』

 干支緑達が反応を見せない勇者に向かってさらに叫ぶ。

「「みかづきちゃん、きいてるの?」」

「え!?」

 干支緑達が自分の名前を呼んだことに思わず声を上げる勇者。

「なんで私の名前をしっているの?」

「「……あれ? なんでだろう?」」

 勇者が尋ねるとなんで知っているのか分からないと返事が返ってきてさらに困惑する。

 そんな、やり取りを見て思わず吹き出すものが2人。

「「っぷ! あははははは!」」

 魔緑と腐緑が笑いはじめる。

「ちょっと話を聞いてもいいかな?」

 そう勇者が事情を知ってそうな笑った2人に尋ねるが返事は帰ってこず、2人が距離を取るように動くと寸劇をはじめる。

「緑ちゃん、今日も花の水やりお疲れ様~」

 と、腐緑。

「うん、毎日の日課だからね。今から部活?」

 と魔緑。

「そう、私も今から部活だよ!」

 と腐緑。

 【水野 緑】と【湖上こじょう 三日月みかづき】がかわした最後の会話、それを三日月役を女性の腐緑が緑役を魔緑が行う。

「え? なんでそれを?」

「あ~ いきなり酷いよ三日月ちゃん!」

 僅かな時間の間に、ようやく内臓や折れた鼻が治り、思わず声を上げる吐血により血まみれの緑。

「え? え? え?」

「勇者様! 話を!」 「話を! 話を聞いてください!」 「なぜ緑と戦いはじめるのですか!」

 騒動に気づき慌て駆けて来たジーク達が叫ぶ。

「え? え? え?」

「「なんでおなまえしってるんだろう?」」

 勇者の名前を何故しっているか分からない干支緑。

「ちょっとなんで三日月さんと緑さんが戦っているんですか!?」

 天空から光が差し込み顕現する女神が叫ぶ。

「「女神様!?」」

 女神の顕現に思わず叫ぶジーク達。

「え? 私が緑ちゃんと戦う?」

 女神の言葉を聞き、そう呟いて今まで戦った緑を見つめる。

「僕がわからない?」

 自分の姿が変わっていることを忘れている緑がなぜわからないと首を傾げながら三日月を見つめる。

「私が戦っていたのは魔王でしょう?」

 思わず呟いた三日月。

「はぁ!? 緑が魔王!?」「魔緑の聞き間違い!?」「緑! 何をやった!?」

 勇者の言葉に騒ぎ始めるジーク達。

「「なんでしってるんだろう?」」

「なんだ!? 何がおこっているんだ!?」「緑よ大丈夫か!?」「緑! 大丈夫?」「緑さん一体なにが?」

「緑様一体なにが!?」「大将! 敵襲ですか!?」「緑さ~ん 大丈夫ですか~?」「緑、様汚物はどこですか?」

 騒動に気づいた4人の龍種にクウを除く蟲人達もあつまってくる。

「「はじめてみるおねぇちゃん?」」

 その場に居た者達の全員が今の状況を把握できずにいたのであった。

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