緑の体だからゴブリン?花が咲いてるからドライアド?いいえ、超ミドリムシです!異世界で光合成して家族が増殖しました!

もう我慢できない

文字の大きさ
上 下
159 / 178

159話 ミドリムシは怒り狂う

しおりを挟む

「クソがぁ!」

 そう言って近くの壁を殴りつける魔緑。周りにいた者達も魔緑の行動にその身を強張らせる。

 魔緑が振るった拳は壁を突き破り穴をあけるが、緑達が居るのは劣勢とは言え国で機密事項を話す場所で部屋の造りは、国の威信をかけて頑強に作られ相対する敵戦力の干渉を防ぐ場所であり、簡単に壊れない様に作ってある。

 もちろん外側からだけでなく内側からの干渉に対しても強固な部屋である。

 そんな部屋の壁を魔緑は怒りのまま殴りつけその壁を突き破る。それと同時に魔緑は、これまで出したことが無い様な大きな声で叫ぶ。

「おい! 俺はここに居るぞ! 今、この時からお前達が戦いたいと思ったらいくらでも相手になってやる! 簡単に殺せると思うなよ! 俺を殺せなけばお前達は滅ぶと思え!」

 そう言って魔緑は、龍種のブレスと同等の炎の魔法を空に向かって放つ。

 その魔法が同等なのはその威力と速度で本来なら強力な魔法の動きは直線的なものであるが魔緑の放った魔法は幾何学模様をえがき、放った方向の空を埋め尽くす。

 その空はこの世界では理解できない高温の魔法で白く染め上げられ、今まで誰も見たことが無い白い空となった。

 緑の家族の中、むしろ【水野 緑】の中で思想や考えで1番の常識を持つ魔緑。そんな彼が蟲毒の戦士の風習を聞き怒りを抑える事も出来ず空に向かって魔法を放つ。

 それに呼応するかのように魔法を放つ者がいた。

 それは、腐緑。

 彼女は魔緑より後ではあったがその怒りを魔緑と同じように魔法に込めた。

 だが、魔緑と違い腐緑の放った魔法は、自分達が居る国を覆うものであり、その効果は魔緑とは違い守るための物であった。緑達が幸せにすると言った国で緑の言葉を馬鹿にすることもなく、その言葉に感謝を述べた聖属性の龍種が蟲人達とおさめる国が光の壁に覆われる。

「ちょっと! 魔法の被害がこの国にまで届くとおもったよ!」

 怒りで感情が高ぶった腐緑が魔緑に向かって文句を言う。

「だがここに居る奴全員の代弁をしただろう!」

 敵の本拠地からもその存在を確認できたと思われるほどの魔法を放った魔緑は、腐緑の文句にすぐさま言葉を返すと敵がいると思われる方角をにらみつける。

 そんな、魔緑を見た腐緑は、自分自身を落ち着けるために深いため息をはく。

 緑の家族の中でも高い戦闘力を持つ魔緑の怒りが和らいだかと思った矢先、今度は緑が叫び始める。

 普段冷静な魔緑が感情を露わにし、敵に対して自分の位置を知らせるような行為に走るほどの怒りを行動にした。その話を同じように聞いたのに緑が無反応なはずがない。

「うぅああああああ!」

 緑も家族が驚くような声を上げる。

「馬鹿!緑落ち着け!」

 自分の事を棚に上げて魔緑は緑に落ち着く様に叫ぶがすぐさま緑が反論する。 

「こんな話落ち着いてきいてられないよ! うぎぃいいいい!」

 落ち着かせようと魔緑が叫ぶも緑は、感情を抑えることができずになおも叫び続ける。魔緑の次に緑が半狂乱になる中、腐緑があることに気づき緑の声に負けない大きさで叫ぶ。

「ちょっと! 魔力が溢れていない!?」

 緑が【超光合成】で作り出すエネルギーはいつもであれば、実にしてアイテムボックスに保管したり、配ったりするのだが緑の意志につられてかそのエネルギーが攻撃的な魔力に変換されていく。

「おい! マジでやばい! 緑、魔力に変換するな!」

 緑が魔力に変換した量があまりに膨大なために魔緑も叫ぶが緑に届かず、大量の魔力が緑よりあふれ出す。そんな中、蟲人達は歓喜しながら叫ぶ。

「さすが緑様! 膨大な魔力が溢れています!」「緑さんの魔力は世界一です♪」

「さすが大将!」「すごい魔力です~」

 蟲人のヒカリ、クウ、兜、レイは緑から溢れる魔力に関心して声を上げる。

「緑様! 落ち着いてください!」

 ただ、1人冷静なファントムは緑に落ち着く様に叫ぶ。

「緑! 落ち着け!」「そうだ! お前らしくない!」

「ちょっと! 他の皆が緑の魔力に当てられて死んでしまうわ!」

 サラマンダー、ノーム、ウンディーネの龍種達も思わず叫ぶ。そんな龍種達の叫びもむなしく、緑達の部屋を中心としその周りで緑の魔力に当てられた蟲人達が気絶し倒れていくのであった。





「えっ!? この魔力は?」

 緑達が居る場所から遠く離れた場所、次元が違う場所、明確な表現ができない場所にいる彼女。その彼女は、緑がこらえ切れずあふれ出した魔力に反応して思わず声を上げる。

「どうして!?」

 彼女が上げた声に驚いた彼女の部下達は尋ねる。

「ど、どうされたんですか? 女神様……」

 女神の部下たちは自分達の上司に恐る恐る尋ねるが返ってきたのは一言であった。

「すいません! 席を外します!」

 そう言った女神は部下達の前から姿を消すのであった。

 
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

引退賢者はのんびり開拓生活をおくりたい

鈴木竜一
ファンタジー
旧題:引退賢者はのんびり開拓生活をおくりたい ~不正がはびこる大国の賢者を辞めて離島へと移住したら、なぜか優秀な元教え子たちが集まってきました~ 【書籍化決定!】 本作の書籍化がアルファポリスにて正式決定いたしました! 第1巻は10月下旬発売! よろしくお願いします!  賢者オーリンは大陸でもっと栄えているギアディス王国の魔剣学園で教鞭をとり、これまで多くの優秀な学生を育てあげて王国の繁栄を陰から支えてきた。しかし、先代に代わって新たに就任したローズ学園長は、「次期騎士団長に相応しい優秀な私の息子を贔屓しろ」と不正を強要してきた挙句、オーリン以外の教師は息子を高く評価しており、同じようにできないなら学園を去れと告げられる。どうやら、他の教員は王家とのつながりが深いローズ学園長に逆らえず、我がままで自分勝手なうえ、あらゆる能力が最低クラスである彼女の息子に最高評価を与えていたらしい。抗議するオーリンだが、一切聞き入れてもらえず、ついに「そこまでおっしゃられるのなら、私は一線から身を引きましょう」と引退宣言をし、大国ギアディスをあとにした。  その後、オーリンは以前世話になったエストラーダという小国へ向かうが、そこへ彼を慕う教え子の少女パトリシアが追いかけてくる。かつてオーリンに命を助けられ、彼を生涯の師と仰ぐ彼女を人生最後の教え子にしようと決め、かねてより依頼をされていた離島開拓の仕事を引き受けると、パトリシアとともにそこへ移り住み、現地の人々と交流をしたり、畑を耕したり、家畜の世話をしたり、修行をしたり、時に離島の調査をしたりとのんびりした生活を始めた。  一方、立派に成長し、あらゆるジャンルで国内の重要な役職に就いていた《黄金世代》と呼ばれるオーリンの元教え子たちは、恩師であるオーリンが学園から不当解雇された可能性があると知り、激怒。さらに、他にも複数の不正が発覚し、さらに国王は近隣諸国へ侵略戦争を仕掛けると宣言。そんな危ういギアディス王国に見切りをつけた元教え子たちは、オーリンの後を追って続々と国外へ脱出していく。  こうして、小国の離島でのんびりとした開拓生活を希望するオーリンのもとに、王国きっての優秀な人材が集まりつつあった……

転生貴族の異世界無双生活

guju
ファンタジー
神の手違いで死んでしまったと、突如知らされる主人公。 彼は、神から貰った力で生きていくものの、そうそう幸せは続かない。 その世界でできる色々な出来事が、主人公をどう変えて行くのか! ハーレム弱めです。

小型オンリーテイマーの辺境開拓スローライフ 小さいからって何もできないわけじゃない!

渡琉兎
ファンタジー
◆『第4回次世代ファンタジーカップ』にて優秀賞受賞! ◇2025年02月18日頃に1巻出荷予定! ◆05/22 18:00 ~ 05/28 09:00 HOTランキングで1位になりました!5日間と15時間の維持、皆様の応援のおかげです!ありがとうございます!! 誰もが神から授かったスキルを活かして生活する世界。 スキルを尊重する、という教えなのだが、年々その教えは損なわれていき、いつしかスキルの強弱でその人を判断する者が多くなってきた。 テイマー一家のリドル・ブリードに転生した元日本人の六井吾郎(むついごろう)は、領主として名を馳せているブリード家の嫡男だった。 リドルもブリード家の例に漏れることなくテイマーのスキルを授かったのだが、その特性に問題があった。 小型オンリーテイム。 大型の魔獣が強い、役に立つと言われる時代となり、小型魔獣しかテイムできないリドルは、家族からも、領民からも、侮られる存在になってしまう。 嫡男でありながら次期当主にはなれないと宣言されたリドルは、それだけではなくブリード家の領地の中でも開拓が進んでいない辺境の地を開拓するよう言い渡されてしまう。 しかしリドルに不安はなかった。 「いこうか。レオ、ルナ」 「ガウ!」 「ミー!」 アイスフェンリルの赤ちゃん、レオ。 フレイムパンサーの赤ちゃん、ルナ。 実は伝説級の存在である二匹の赤ちゃん魔獣と共に、リドルは様々な小型魔獣と、前世で得た知識を駆使して、辺境の地を開拓していく!

ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

にくなまず
ファンタジー
今年から冒険者生活を開始した主人公で【ソロ】と言う適正のノア(15才)。 その適正の為、戦闘・日々の行動を基本的に1人で行わなければなりません。 そこで元上級冒険者の両親と猛特訓を行い、チート級の戦闘力と数々のスキルを持つ事になります。 『悠々自適にぶらり旅』 を目指す″つもり″の彼でしたが、開始早々から波乱に満ちた冒険者生活が待っていました。

元34才独身営業マンの転生日記 〜もらい物のチートスキルと鍛え抜いた処世術が大いに役立ちそうです〜

ちゃぶ台
ファンタジー
彼女いない歴=年齢=34年の近藤涼介は、プライベートでは超奥手だが、ビジネスの世界では無類の強さを発揮するスーパーセールスマンだった。 社内の人間からも取引先の人間からも一目置かれる彼だったが、不運な事故に巻き込まれあっけなく死亡してしまう。 せめて「男」になって死にたかった…… そんなあまりに不憫な近藤に神様らしき男が手を差し伸べ、近藤は異世界にて人生をやり直すことになった! もらい物のチートスキルと持ち前のビジネスセンスで仲間を増やし、今度こそ彼女を作って幸せな人生を送ることを目指した一人の男の挑戦の日々を綴ったお話です!

私は、忠告を致しましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私マリエスは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢ロマーヌ様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  ロマーヌ様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は常に最愛の方に護っていただいているので、貴方様には悪意があると気付けるのですよ。  ロマーヌ様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ?

惣菜パン無双 〜固いパンしかない異世界で美味しいパンを作りたい〜

甲殻類パエリア
ファンタジー
 どこにでもいる普通のサラリーマンだった深海玲司は仕事帰りに雷に打たれて命を落とし、異世界に転生してしまう。  秀でた能力もなく前世と同じ平凡な男、「レイ」としてのんびり生きるつもりが、彼には一つだけ我慢ならないことがあった。  ——パンである。  異世界のパンは固くて味気のない、スープに浸さなければ食べられないものばかりで、それを主食として食べなければならない生活にうんざりしていた。  というのも、レイの前世は平凡ながら無類のパン好きだったのである。パン好きと言っても高級なパンを買って食べるわけではなく、さまざまな「菓子パン」や「惣菜パン」を自ら作り上げ、一人ひっそりとそれを食べることが至上の喜びだったのである。  そんな前世を持つレイが固くて味気ないパンしかない世界に耐えられるはずもなく、美味しいパンを求めて生まれ育った村から旅立つことに——。

処理中です...