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158話 ミドリムシの勧誘
しおりを挟む「腐緑様、2重スパイとは?」
ファントムが聞きなれない言葉に腐緑に質問する。
「じゃあ、まずはスパイの説明からしようか」
ファントムに質問を受けると腐緑は見せびらかす様に眼鏡を懐から取り出し、眼鏡の美人教師スタイルでスパイの説明をし始める。
その姿に全員が疑問を問いただすと負けだと思い、そのまま黙って腐緑の話を聞く。
「なるほど…… 諜報活動をする者をスパイと呼び、2重スパイとは敵対相手のスパイをこちら側に引き込み相手の情報を聞き出すのですね」
腐緑の説明を聞いたファントムは何度も頷き呟く。ファントムは顔を上げて緑達に視線を向けると口を開く。
「では、ヤスデの蟲人が拠点に戻るのであれば私も付いていきましょう。サラマンダー様達ほどの龍種でもなければ見破られる事はないと思われますので」
「それなら私も一緒にいきます~」
ヤスデの蟲人の意志を聞かずにファントムとレイが拠点に戻るのについていくと言うがそれに緑が待ったをかける。
「待って2人共、まだ彼女の返事を聞いてないよ。どうかな僕達の方についてくれないかな?」
そう言った緑であったがヒカリやクウ、武者修行をしていた兜やレイ、強い者を探していた龍種の3人とは違いヤスデの蟲人は戦争をしている国の戦士の1人であり、しかも諜報活動をする者が簡単に寝返るなどありえない事に気づかない。
蟲毒の戦士という相対する敵国の名を轟かせている戦士の1人を簡単に捕まえ、すぐに寝返らないかと尋ねる緑の行動に微妙な表情をしていたウィスプと司令官の蟲人は思わず口を開く。
「緑さん、それは難しいと思われます」
「そんな簡単に寝返るはずがないですよ」
「……どうしてですか?」
2人の言葉にすぐさま緑が不思議そうな顔をして2人に尋ねる。それを聞き2人は少し困った顔をするがウィスプが司令官を抑え話はじめる。
「緑さん達の話を聞きましたが緑様の家族は、あくまでも個人で活動、または生活をしていた者達でこのヤスデの戦士の様に国の重要な戦力の戦士は、自分が所属している集団や国やそこにいる仲間や家族などの絆もあり簡単に敵に寝返るなどありえません」
ウィスプの言葉を聞き思わず魔緑がつぶやく。
「そうだ、俺達は今、戦争しているんだ……」
魔緑の言葉を聞き緑達の家族は難しい顔になるがヤスデの蟲人が手を上げ答える。
「あの条件付きでその2重スパイになっても……」
「「えっ!?」」
その場に居る全員が勧誘しても無理だなと思い始めた時にヤスデの蟲人の言葉に全員が驚きの声を上げる。
「じゃあ、その条件とは何かな?」
皆が驚きの声を上げる中、腐緑が気が変わらないうちにと間髪入れずに条件を尋ねる。
「蟲毒の戦士を…… いや、蟲毒の戦士を作る風習を潰してほしいんです」
「蟲毒の戦士を作る風習? それは、もしかして……」
ヤスデの蟲人の口からでた【蟲毒の戦士を作る風習】という言葉の意味に気づいた緑が呟き思わず苦い顔をする。
さらに、緑は予想した事があっているのかをヤスデの蟲人に尋ねる。
「もしかして…… 蟲毒の戦士は強い戦士の事をさす言葉じゃなくて、殺し合いをさせて生き残った戦士の事を言うの?」
「……はい、そうです……」
そう言ってヤスデの蟲人は、蟲毒の戦士を作る風習を話はじめるのであった。
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