緑の体だからゴブリン?花が咲いてるからドライアド?いいえ、超ミドリムシです!異世界で光合成して家族が増殖しました!

もう我慢できない

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140話 ミドリムシの最速の家族2

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「さ~ みなさ~ん そろそろ王都に向かってくださ~い」

 青い顔をしてヒカリの子供達の空襲を見て震えていた冒険者達にレイが声をかける。

「あ、ああ…… そうだな……」

 声をかけられた冒険者達は我に返り自分達が今、魔物達から逃げるように王都に向かっていたことを思い出す。

「あ、あの~ 盗賊はたおせましたか?」

 その時、商隊のなかに1つだけあった豪華な馬車の扉が開き中から商人と思われる一家がでてきた。

 盗賊が襲ってきたときに商人の一家は護衛の冒険者達に決して馬車から出ないように言われ、一家は言われたとおりに馬車の中で護衛達が盗賊に勝つように祈りながら待っていた。

 盗賊達と戦っていると思われる音がある時を境になくなり、馬車の外が静かになったために決着がついたと思った一家であったが、護衛の冒険者がいつまでたっても戦いが終わったことを言いに来ないためにおそるおそる馬車の外に出て確認をする。 

「そうだった…… すまないね、私達も今まで起こったことが大きすぎて連絡をわすれちまってた。レイすまないがもう少しだけ時間をくれ!」

 そう言ってリーダーの女冒険者が商人の一家に事情を説明する。

 商人の一家は父親、母親、息子、娘の4人家族で護衛達から現状の説明をうけ驚いていた。あらためて商人の一家は自分達の周りを見渡し、自分達の商隊がデッドマンティスに守られている事に驚愕する。

「いや、しかし本当にデッドマンティス達が私達を守ってくれているとは……」

 商人の父親はこんな事は生まれてからはじめての経験だと少しばかり興奮し、本来なら近寄ることもできないデッドマンティス達を眺めていた。

「父様、その【軍団レギオン】の方にお礼を言わなければならないのでは?」

 父親は息子にそう言われて、お礼を言う事をを忘れていたことに気づき、慌ててレイを探す。レイはリーダーの冒険者達が商人と話している間に商隊の者達に状態異常回復の実を配っていた。商人は慌ててレイの元に駆け寄り口を開く。

「お礼が遅くなり申し訳ありません。このたびは我々商隊を助けていただきありがとうございました」

 そう言ってレイに礼を言った商人は冒険者達に向きなおる。

「皆さんも全員無事で良かった。今回は非常事態だったのでしょう。よくぞ全員生き残ってくれました。次の護衛もよろしくお願いします」

 商人は危機におちいった冒険者達が逃げ出さずに最後まで自分達の事を守ろうとしていたことに礼を言い、次のも護衛の依頼を頼むことを伝える。

「皆さん良い信頼関係をきずいているんですね~ いい事です~」

 冒険者と商人の信頼関係に思わず言葉をこぼしていたレイの前に商人の息子が近づいてくる。

「はじめまして、この度は助けていただきありがとうございました」

 子供にもかかわらず礼儀正しくあいさつする商人の息子にレイはおもわず頭をなでる。

「礼儀正しいですね~ 私は礼儀正しくて賢い子が大好きです~」

「あ、あ、そんなになでないでください」

 レイはニコニコしながら商人の息子の頭ををなでていた。

「あ、あの」

 しばらくなでられ続けた少年は思わず声を上げる。

「ふふふ 充電できました! そろそろ私は行くとします」

 レイは少年にそう言って商人やリーダーの冒険者達の元に向かう。

「では皆さ~ん、王都に入る前にこの実を食べておいてください。その実を食べたら王都にむかってくださ~い、私も出発しようかと思います~」

「おう! あんたも気を付けてな! 今度はこっちがあんたの力になるよ!」

「本当にありがとうございました。レイさんもお気をつけて」

「では~ 失礼しま~す」

 そう挨拶するとレイはゆっくりと走り出す。冒険者達がその様子を見ているとその後を追って大量のデッドマンティス達が一糸乱れずその後ろを付いていく。

「気をつけろなんて言ったがいらぬ世話だったな」

「どんなに強い人でも心配する気持ちを伝える事は大事だと思います」

「父様の言う通りだと思います」

 そう言ってうるんだ目でレイの姿を見る息子を見て苦笑いする商人であった。



 クウ、兜、レイが王都の周りで魔物達に襲われている者達を守っていたころ2匹の龍種は猛スピードで王都から離れた街に向かっていた。

「むう、ついてきてるかサラマンダー?」

「ああ、ついてきているな」

「で、強さはどんなものだ?」

「我らはもちろんの事、緑達や家族の蟲人達にも遠く及ばん…… だが気になることがある」

「気になる事?」

「ああ、今追ってきているものが今回の首謀者とすると邪念が皆無なのだ」

「ふむ気になるな…… だが今は先に目的地に着くことを優先する。予定通り酉の坊主に任せるとしよう」

「そうだのう、では合図を送るとするか」

 そう言ってサラマンダーは小さな子供の姿のまま口を大きく開くと空に向かって1発の火の玉をはく。その火の玉は空に向かって上がっていくと爆発すると大きな火の花となる。

 ドーン!

 その様子をみた酉緑つぶやく。

「ノームとサラマンダーのおじちゃんの合図だ♪ むむむむ…… いた♪ あの人達にばれないように見張らないと」

 酉緑は空の上からノームとサラマンダーの後を着ける者達を見つけると合図を送る。

「ふむ、見つけたようだな私達の後を着いてきていた酉緑の魔物が離れていったな…… ならとばすぞ。サラマンダー振り落とされるなよ」

「わかっている」

 それまでノームとサラマンダーの後を酉緑が操る魔物が付いてきていたがそれが離れていく。それが取り決めていた合図でノームが本気で走り始める。

「「!?」」

 そのあまりの速さに2人を追っていた者達が見失うのにそう時間がかからないのであった。
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