緑の体だからゴブリン?花が咲いてるからドライアド?いいえ、超ミドリムシです!異世界で光合成して家族が増殖しました!

もう我慢できない

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118話 ミドリムシの弟と妹 3

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 人族、エルフ、ドワーフの国の各王と宰相がそれぞれ席に着く。緑達が褒賞の相談をしたいと各王から連絡を受け、それならばダンジョンに来て欲しいと返事をしたために各国の王と宰相は緑のダンジョンに集まる事になった。

「皆さんお集り頂いてありがとうございます!」

「緑、礼を言うのは我らの方だ、重ねて言うが今回のスタンピード本当に助かった」

 人族の国、サークル王国の王が緑に礼を言い頭を下げる。それに続く様にエルフとドワーフの国の王も頭を下げる。

「それでだ、今回の褒賞として我らは何を送ればいい?」

 各国の王は今回の褒賞を与えるに至って何を送れば緑達が喜ぶか考えたがどの国も答えを出すことが出来なかった。それならいっその事、緑に聞けばいいという結論に至った。

「はい、それについては僕達も話あった結果、僕達が今度ダンジョンに作る学校の先生になれるような人を紹介してほしいと決まりました」

「ほう学校とはなんだ?」

 ドワーフの国の王が尋ねる。

「はい、僕達が目指すのは小さな子供達を対象にした教育機関です」

「「ほほう」」

 各国の王は緑の言葉を聞き興味を持つ。

「冒険者ギルドの講習の様な物ではないのか?」

 エルフの国の王が尋ねる。

「はい、冒険者ギルドの講習とは違い数年がかりの教育になると思われます……」

「なんと、その間その学校通う者達はどうやって生活をするのだ?」

「はい、その学校ではまず初めに文字、算数、農業、魔物との戦闘、魔法、鍛冶、音楽など様々なを教育しようかと考えていて、はじめは今ダンジョンの中で働いている子供達を対象にするつもりです」

「ふむ、確か緑のダンジョンでは人族の孤児をたくさん保護していたな……」

 ドワーフの国の王が思い出したように呟く。

「はい、更には学校で習った事を生かしてダンジョンの外にでても生活をしていけるようになれれば良いと考えています」

「「なるほどな…… 緑のダンジョンで知識や技術を教えていくのか……」」

「だが、今現在サークル王国で教鞭を振るっている者達を直ぐにこちらに向かわせるのは厳しいな……」

「そうだな、うちの国からも鍛冶を教える者を直ぐに向かわせるとなると厳しいな……」

「うちの国民は長寿のために何か新しい事をするとなると喜ぶ者は多そうだが」

 人族とドワーフの王は難色をしめし、エルフの国の王はすぐに人材を派遣できそうだと答える。

「ああ、今現役の人は、いいんです」

「「現役でなくてもいいのか?」」

「はい、子供達相手なのでむしろ現役を引退した人達のほうが都合がいいんです、何人かはもうダンジョンで働いてくれていますし」

「確かにピエールもここで世話になっていたな」

「うちの国だとビルとゴードンか」

「はい、それに【達人】の2つ名をもつ流さんもいます」

「何! あやつここで働いているのか!?」「「あの【達人】がか!?」

 緑の口から流の名前が出て驚く各国の王達。

「はい、僕の家族やダンジョンで働いてる子供達の中の一部が戦闘訓練を受けています。それに今回のスタンピードで家族が増えたので、その子達にも学校でいろんな事を学んで欲しいので」

「何? 家族とは蟲人か?」

「いや、確か弟や妹だったか……」

 人族の王の質問にエルフの国の王が呟く。

「今、呼ぶので紹介してもいいですか?」

「「ああ、構わない。むしろ見ておきたい」」

 緑の弟妹と聞き興味がわいた各国の王は緑が紹介する事を促す。

「皆出ておいで~」

 緑がそう言うと小さな緑達と魔緑が緑の元に集まってくる。

 小さな緑達が1列に並ぶ、その列の途中に魔緑が立っていることに不思議に思うが緑は続ける。

「さぁ、みんな挨拶をして」

「子!」「丑!」「寅!」「卯!」「辰・・・・」「巳!」「午!」「未!」「申!」「酉!」「戌!」「亥!」

「「12人そろってミドリムシ鮮隊干支セトラです!」」

 ドーン! 

 12人がそう言うと魔緑が魔法を使い後方で爆発が起こる。

 緑も弟、妹達に挨拶をするように言っていたがこのような準備をしていたとは知らず絶句する。

 そんな中、魔緑が口を開く。

「俺はもういいか……?」

 そう言ってその場から去ろうとする魔緑の目は死んだ魚の様になっている。

「「おにいちゃんがりゅうでリーダーだよ! どこにいくの」!?」

「誰もいない所だ……」

 魔緑は、弟妹達の質問にぼそりと呟くとふらふらと歩いて行こうとする。

「あははははははははは!!!」

 そんなやり取りを見ていた緑が腹を抱えて笑い始める。

「「あははははは!!」」

 普段の魔緑を知る各国の王と宰相達も緑につられ笑い始める。

 皆が笑っていると魔緑の顔がみるみる赤くなり叫ぶ。

「俺はもう行く! お前達、後はちゃんと挨拶をしておけ!」

「「ああ! おにいちゃん!」」 


 
「というわけで、この子達が僕達の新しい家族です。皆、挨拶をして」

「「よろしくおねがいします!」」

「よろしく」「ふむ、よろしくね」「がははは、よろしくな」

 人族、エルフ、ドワーフの国王達は好々爺となり挨拶をするが、エルフの国の王が思い出し呟いた言葉に人族とドワーフの国王は驚き声を上げる。

「こんな可愛いのにうちの国のスタンピードの魔物の多くを倒したらしいね」

「「え!?」」

 その驚きの声を聞いた緑が話始める。

「そうなんですよ、先ほどから見てもらってわかるように、この子達はまだ子供なんですが戦闘力はかなり高いんです。なので学校を作って他の子達と一緒に一般常識を学んで欲しいのです」

『『それは緑を見ると無理な気がするが……』』

 各国の王は同じ思いをするが黙って緑の話を聞く。

「なので、現役を引退した元、教育機関の関係者を紹介して欲しいんです」

「紹介でいいのか?」

 ドワーフの王が緑に質問する。

「はい、強制的に教えに来てもらっても良い結果にはならないと思うので、僕達が直接会って話をしたいと思います」

 緑の言葉を聞いた各国の王と宰相はリストを作って届けると伝える。

「では、よろしくお願いします」

 そう言って緑は深々と頭を下げる。

 そう言って話し合いは終わるが不意にエルフの王が手を上げ質問する。

「話は変わるが何故子供達と魔緑は全員同じかっこをしているのだ?」

 小さな緑と魔緑達は全員がエメラルドグリーンの全身タイツとマフラーをしている。

「「皆、緑色が好きなの~」」

「ぶは! あはははは!」

 そのやり取りを聞き思わず吹き出す緑であった。

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