緑の体だからゴブリン?花が咲いてるからドライアド?いいえ、超ミドリムシです!異世界で光合成して家族が増殖しました!

もう我慢できない

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112話 ミドリムシの後かたずけ

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 翌日緑達は、それぞれ救援に向かった国に後かたずけにいくのであった。

サークル王国

 サークル王国に来た緑はシャーク達を探す。

「シャークさんおはようございます」

「おお、緑昨日は戻ってこなかったから心配していたんだぞ」

「あれからエルフの国に向かったんですがそこでも龍種と戦ったので疲れて昨日はダンジョンで休んだんです」

「何、もう1匹龍種と戦ったのか!? ここに居るという事は2匹目の龍種も倒したのか?」

「はい、今人の姿になった龍種が3人僕についてきています」

 緑の言葉にシャークはしばらくの間言葉を失うも突然笑い始める。

「くくくく、がははははは!! 日に2匹も龍種と戦うか。これは各国の王達の今後の対応が見ものだ」

「そうなんですか?」

「やっぱりお前はわかっていないな、お前のダンジョンは【緑の王国グリーンキングダム】として発表されている」

「ですね……」

「これは、緑のダンジョンを1個の国として認めていたわけだがその国が日に2匹の龍種を倒す軍事力を持っていることになるんだ」

「兜達も倒していたので3匹ですね」

「何!? お前達だけで3匹もたおしたのか!? がははははは!!」

 思わず呟いた緑の言葉を聞いたシャークは再び笑い始める。

「くくくく、1国で3匹の龍種を倒す!? もうお前達だけで人もエルフもドワーフ、獣人の国も掌握しちまうか!?」

 一際シャークが大きな声で緑に尋ねる。

「そんな事するわけないじゃないですか!」

 緑は声を大きくしたシャークの質問に驚きそれに負けない大きさで言い返す。

「だろうな、くくくく」

 会話がひと段落したところで緑は突然大きくなったシャークの声に文句をつける。

「僕がそんな事を思うはずないじゃないですか…… しかもあんな大きな声で話すし……」

 そんな緑の言葉にシャークが突然真面目な顔になる。

「さっきの言葉は大きな声で言っとくべきなんだ」

「え?」

 急に真面目な顔になったシャークの口から出た言葉に驚く緑。

「シャークさんどういう事ですか!?」

「まぁ、すぐに分かる事だ今はかたずけを進めるぞ」

「ちょっとシャークさんどういう事かおしえてくださいよ~」

 質問に答えないシャークの後を追い緑はかたずけの手伝いを始めるのであった。



「おいこの迷路は壊せるのか!?」

 城門前でかたずけをしていた冒険者の1人が叫ぶ。冒険者も返事が返って来るとは思っていなかったが思わず叫けんでしまった。

「こわして良いんじゃなねぇか?」

 その叫びを聞いた他の冒険者が答える。

 緑達が関わった今回のスタンピードでも被害は少なく、防衛のために緑が作った迷路を突破できた魔物はおらず、緑が龍種を倒す際に開けた穴から溢れた大量の水の処理と倒した魔物の処理に今回集められた人たちが追われていた。

 1日たった今だが、国が亡びるかもしれないために集められた人員は多く、冒険者、国の騎士、街の警備に当たる者達がせっせと戦いの後の処理をしていたが迷路の中には大量の魔物の死骸があり、それらを効率よく運ぶのにも使い終わった迷路が邪魔になっていた。

 そのために先ほどの冒険者の様に迷路自体を壊してもいいのか思わず叫び声をあげる者もいた。

 特に荒くれ物の多い冒険者達は迷路自体を壊して作業をする方が良いと考える者が多かった。必然的に冒険者達が腕試しをするかの様に迷路に攻撃をし始めた。

「見とけよ! 俺が壁に穴をあけて作業しやすいようにしてやる!」

 そう言って意気揚々と迷路の壁に攻撃をした冒険者であったが迷路の壁はほんの小さな傷を作ることしかできなかった。その様子を見た他の冒険者達は自分こそが壁に穴をあけてやると攻撃をするが一向に壁に穴をあけるどころか大きな傷を作れない。

 それを見て次に動き出したのは魔法を使える冒険者達であった。

 一部ではあるが物理攻撃主体の冒険者と魔法攻撃主体の冒険者達は中が悪くお互いに脳筋や虚弱と罵り合う者達もおり、物理攻撃主体の冒険者を脳筋と馬鹿にする魔法攻撃主体の冒険者達が魔法をつかって壁を壊すと言い始める。

 しかし、これも上手くいかなかった。それまで1人で魔法を使い壁を壊そうとしていた冒険者達であったが1人では火力が足りないと分かったのか同じ様な魔法を使う冒険者を集め集団で壁に向かって攻撃をし始めた。

 それでも緑が作った迷路の壁は壊せずに物理攻撃と魔法攻撃主体の冒険者が協力し始める。

「おいおいどうなってるんだ! 全然壊れる気がしねぇ!」

「どうやってこんな大規模でかてぇ迷路をつくったんだ!」

 冒険者達は次々に迷路の壁が硬すぎると話始める。ついにはチームで壊しにかかる者達まで出始める。そんなチームは非常にバランスが取れているチームが多かった。

 壁役、火力、支援、回復と役割がしっかりとしており火力の役を担う者達への支援もぬかりない。そんなチームが複数集まり火力の役割の冒険者達が集まり物理攻撃、魔法攻撃を集中する。もちろん支援をする者達も集まり攻撃をする者達に支援魔法で火力を大幅に増幅する。

「はぁ、はぁ、はぁ、ダメだもう動けねぇ……」

「くっ! これ以上魔法を撃てば魔力が底をついてしまう……」

 個人、チーム、複数のチームと集まり火力を上げていく冒険者達であったが時間が進んでも壁は壊れず火力要員の冒険者達がギブアップの声を次々に上げていく。

 そんな中1人の冒険者がぽつりと呟いた。

「この迷路を作ったのって噂のIランク冒険者だよな……」

「ああ、しかも1人でと聞いた……」

「「……」」

 その何気ない言葉に辺りは静まり返る。その一言で冒険者達は緑の異常性に気づく。この広大な迷路を作った冒険者は1人。そしてその迷路の壁を壊そうと今や数十人の冒険者が集まり力を合わせるが壁に穴をあける事が出来ていない。

「イカレタ冒険者……」

 その言葉には畏怖や尊敬も込められていた。冒険者達が押し黙る中、笑いながら歩いてい来る冒険者がいた。

「「シャークさん!」」

「がはははは! どうした? 作業が進んでないじゃないか?」

 シャークの言葉に苦悶の表情を浮かべた冒険者達が状況を説明する。

「壁がこわせない? 話では運搬の準備と溢れた水の処理をするって話じゃなかったか?」

 冒険者達の話を聞いたシャークが思わず問いかける。

「はい、壁を壊してそれらを運ぶと聞いていたので作業が思った以上にすすんだんで自分達で壁を壊そうとしたんですが……」

「くくくく、まぁしかたねぇ。なんせチームを分割した上で1日で3匹の龍種を倒すチームのリーダが作った迷路だ」

「「はぁ?」」

 それを聞いた冒険者達が騒ぎ始める。龍種となると国で対応をしても倒せない可能性もある魔物の頂点であり、それをチームを分けたうえで3匹も倒すなど信じれずにいた。

 もともと、Iランク冒険者の話はギルド経由で伝わっているはずなのだが内容がそれこそ絵空事のような出鱈目の話ばかりであり冒険者の殆どが信じなかった。いや、信じれないのであった。

 冒険者達の騒ぎを見たシャークであったが気にせづ話を続ける。

「まぁ安心しろ。その壁を壊せる奴を連れてきた」

 シャークの言葉を聞いた冒険者達は黙ってシャークの後ろに居る緑と魔緑に視線を移すのであった。

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