103 / 178
103話 ミドリムシは人の国を守る
しおりを挟む◇◆◇◆◇◆◇◆
人の国サークル王国
王都の城門前には騎士と冒険者達が集まっていた。
その集まる者達の前には騎士団の団長と王都の東のギルドマスターのジークの姿があった。
「しかし、俺は東のギルドマスターなんだが今回の指揮にかかわっていいのか?」
「緑さんと知り合いの者が指揮する立場にいる方が彼が力を発揮しやすいでしょう」
「といっても俺は本当に知り合い程度だがな…… その意味じゃピエールが団長と指揮をとった方がいい気がするが」
そう言ってジークの視線の先でピエールがため息をつきながら話始める。
「たしかに緑と縁はありますが今は雇い主と雇われている者ですよ…… それに正直、指揮を任されてもあいつの能力はいままだ未知数です。やったらできたと言って戦闘能力がどんどん上がっていくんですから戦略に組み込んでも内側から瓦解することの方が多いと思いますよ」
「「やったらできたか……」」
ピエールの言葉に団長とジークがあきれてつぶやく。
「それにね今はあいつのダンジョンで働いているからわかりますがあいつが世界征服を言い始めたら人、エルフ、ドワーフ、獣人どこの国もあいつの国を止める事はできないですよ」
「「それは雇い主だから言っていないよな……」」
「もちろんです。私はダンジョンの中ではたらいていますが緑達がダンジョンの外でしたことなどはあまり情報としてはいってきません。こちらが聞いた事には包み隠さずはなしてくれますが何か起こしたことなどは聞かなければ話してくれません。そういえばと話されたことで聞いたことはありますが……」
ピエールの話を聞き団長が質問する。
「そう言えば獣人の冒険者からの噂話なのだが、魔緑が龍種に変異したと聞いたが本当か?」
そんな団量の言葉にピエールは驚き言葉をこぼす。
「え? 龍種に変異ですか?」
「ああ、それなら俺も聞いたぞ。出所は獣人の国のSランクチームのメンバーが話していたのを聞いたと冒険者が話していたな……」
そんな2人の話しをきいたピエールは考え込むがすぐに頭を振り話始める。
「まぁ、緑の兄弟の魔緑ならあり得ない話ではないでしょう……」
3人は少しの間だまり考え込むがやはり実物を見るのが1番だと思い話を続ける。
「まぁ、話していても仕方がない。初めの攻撃は緑と魔緑がすると言っていたからもし龍種になれるのであればそこで変異するだろう」
そうジークは言うがすかさず団長が言葉をこぼす。
「だが仮に龍種になってブレスでも吐こうものなら地形がかわらないか?」
「まぁ! 魔物と一緒にその後ろにあった村や町を一緒に消し飛ばす事はないでしょう! ここで我々が想像や推測で話していてもその斜め上を進んで行きますし」
悩んでいても仕方ないとジークが明るい声で話すがピエールがぼそりと呟く。
「以前シャークが言っていた言葉を思い出しました…… いかれた冒険者と……」
再び3人は黙り込むが思いついた言葉を発すると意見が一致した。
「「敵じゃく味方ならならいいか」」
3人が話している間、緑と魔緑も話し合いをしていた。
「う~ん、気になるな~」
「何がだ?」
「今回、人、エルフ、ドワーフと少しだけ早かったけど獣人のそれぞれの国で同時にスタンピードが起こった事がね……」
「ああ、たしかにスタンピードの原因はわからないが示し合わせた様に同時というのは気になるな。だが俺達なら黒幕が居たとしてもそう負けないだろう」
「……そうだね! 僕もまーちゃんみたいに龍種になれたらいいんだけどな~」
「龍種がいたら戦って魔石をもらって取り込むか?」
「う~ん、自分から戦う様な事はしたくないかな…… 襲われたら別だけどね」
「と、おいでなすったようだな……」
「だね、まだ遠いけど砂煙が見えるね」
2人はそこから会話はせずただ魔物の群れが近づくのを見ていた。
「おい! お前達が初め攻撃するんだろ!? いつまで見ているつもりだ!」
同じように城壁の上から遠距離で攻撃する冒険者や騎士たちが緑達の様子を見ていたが動かない2人をみて声を荒げる。
冒険者の剣幕をよそに魔緑が冷静に返事をする。
「まぁ、そんな焦らなくて大丈夫だもう少し引き付けた方が良い」
「そこまで言うからには任せるが下手なものだったら城壁から落としてやるからな!」
そう言って冒険者は緑達に倣って魔物たちの動きを見る事に集中する。
「そろそろ始めようかまーちゃん」
「ああ、そろそろだな」
魔緑がそう言うと変異を始める。以前はミドリムシを経由してクリアグリーンの龍に変異したが今回は直接龍種に変異する。その姿を見た周りの冒険者や騎士達が騒ぎ始める。
「おいおい! どうなってんだ! なんで龍種がいるだよ!」
「あいつは本当に味方なのか!?」
そんな騒ぎを他所に魔緑はブレスを吐く準備を始める。
交代するために部隊を分割していたため直接緑達を見る事の出来ない後方で待機していた者達で魔力を感じれる者達はその圧縮されていく魔力量に顔を青くしていた。
そんな冒険者達の様子を見た他の者達が煽ろうと顔を青くした冒険者達に話しかける。
「おいおい随分顔色が悪いじゃねぇか!? まさかビビってるのか?」
「……ああ、正直話すとビビってるよ。今、1番前で魔法の準備に入ったやつは誰か知らないが圧縮している魔力が桁違いだ…… それこそ龍種じゃないかと疑うほどの魔力量だ。正直、こんな魔力を圧縮して撃った魔法の着弾点が近くであれば城壁が壊れるんじゃないかと思う」
近くで煽ろうとした冒険者はいつもなら反論が返ってくる相手からの返事に驚く。
「そんなにか!? ……まてよ、今回噂のIランク冒険者が出張ってきていると聞いたがそいつか? 味方なら心強いが聞いた話によるとイカレタ冒険者って噂だ。何がおこるかわからねぇな」
先の獣人国でのスタンピードの時と違い今、家族は緑と魔緑の2人だけであった。そのため先日の様にブレスを撃った後を子供達に任せる事が出来ないために必然的にその後の戦闘のために魔力を残さなければならない。
「とりあえず様子見でこれくらいでいいか……」
魔緑のその言葉の後ブレスが放たれる。その放たれたブレスは進行方向に居た魔物達を消し飛ばして進んで行き地面に着弾すると巨大な爆発を起こす。
城壁の上からその様子を見ていた者、見る事は出来ないが索敵能力で敵や魔力を感じれる者達は、思わずこぼした。
「魔物の群れが1/3ほど消し飛んだ……」
「何を馬鹿な事を言っ……」
1部のもの達の呟きに周りで聞いた者達が小馬鹿にしていたがその言葉は突然遮られた。
その遮られた原因はブレスで起こった爆風とそれに飛ばされて飛んできた石や木、魔物の1部などであった。
魔緑のブレスが着弾した場所は大きなクレータになっていた。そのクレータを駆け下りそのまま向かってくる魔物、クレータを避けて回り込んでくる魔物、1/3が消し飛んだと言えまだまだ魔物の数は多いがそれを見る事が出来た城壁の上に居た者達は思わず叫び声を上げる。
「「うおおおおお!!!!」」
場所は変わり城門の内側の最前列にシャーク達【海の守護者】がいた。
「くくくく、またあのイカレタ王様が何かやったんだろうよ」
シャークがそう言うと他のチームメンバーもくすくすと笑う。そんな様子を見た周りの冒険者達が尋ねる。
「あんたら【海の守護者】だろう?さっきの衝撃は誰かの攻撃なのか?」
そんな言葉に笑っていたシャークのチームはぴたりと笑うのをやめその冒険者の方を向くと再び笑い始めた。
「がはははは! ああ、そうだお前達もここに配備された冒険者だ噂は聞いたことがあるだろうIランク冒険者の噂を!」
そう返事を聞いた冒険者は眉をひそめる。
「ああ、噂話は聞いた。だがどれも信用できる内容ではなかったが…… まさか本当の話なのか?」
「俺は噂は知らんが本人と顔見知りでな! 噂以上の斜め上を行く奴とだけいっておくぜ! ぷっ! がははははは!」
緑達とは違い長年の実績があり名前を聞くことが多かったシャークの言葉に驚きを隠せずにいるのであった。
城壁の上では緑が他の冒険者や騎士達をまとめる者に話しかけていた。
「あの~ 僕達の攻撃はすんだので皆さんもどうぞ攻撃を開始してください」
その言葉を聞いた指揮官の男は意識を取り戻し城壁の上で待機していた者達に攻撃を開始する様に支持を出す。
「こ、攻撃を開始する! 皆の者攻撃せよ!」
その言葉で茫然としていた者達も我に返り攻撃を開始するのであった。
0
お気に入りに追加
91
あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
余りモノ異世界人の自由生活~勇者じゃないので勝手にやらせてもらいます~
藤森フクロウ
ファンタジー
相良真一(サガラシンイチ)は社畜ブラックの企業戦士だった。
悪夢のような連勤を乗り越え、漸く帰れるとバスに乗り込んだらまさかの異世界転移。
そこには土下座する幼女女神がいた。
『ごめんなさあああい!!!』
最初っからギャン泣きクライマックス。
社畜が呼び出した国からサクッと逃げ出し、自由を求めて旅立ちます。
真一からシンに名前を改め、別の国に移り住みスローライフ……と思ったら馬鹿王子の世話をする羽目になったり、狩りや採取に精を出したり、馬鹿王子に暴言を吐いたり、冒険者ランクを上げたり、女神の愚痴を聞いたり、馬鹿王子を躾けたり、社会貢献したり……
そんなまったり異世界生活がはじまる――かも?
ブックマーク30000件突破ありがとうございます!!
第13回ファンタジー小説大賞にて、特別賞を頂き書籍化しております。
♦お知らせ♦
余りモノ異世界人の自由生活、コミックス1~4巻が発売中!
漫画は村松麻由先生が担当してくださっています。
よかったらお手に取っていただければ幸いです。
書籍1~7巻発売中。イラストは万冬しま先生が担当してくださっています。
第8巻は12月16日に発売予定です! 今回は天狼祭編です!
コミカライズの連載は毎月第二水曜に更新となります。
漫画は村松麻由先生が担当してくださいます。
※基本予約投稿が多いです。
たまに失敗してトチ狂ったことになっています。
原稿作業中は、不規則になったり更新が遅れる可能性があります。
現在原稿作業と、私生活のいろいろで感想にはお返事しておりません。

いずれ殺される悪役モブに転生した俺、死ぬのが嫌で努力したら規格外の強さを手に入れたので、下克上してラスボスを葬ってやります!
果 一
ファンタジー
二人の勇者を主人公に、ブルガス王国のアリクレース公国の大戦を描いた超大作ノベルゲーム『国家大戦・クライシス』。ブラック企業に勤務する久我哲也は、日々の疲労が溜まっている中、そのゲームをやり込んだことにより過労死してしまう。
次に目が覚めたとき、彼はゲーム世界のカイム=ローウェンという名の少年に生まれ変わっていた。ところが、彼が生まれ変わったのは、勇者でもラスボスでもなく、本編に名前すら登場しない悪役サイドのモブキャラだった!
しかも、本編で配下達はラスボスに利用されたあげく、見限られて殺されるという運命で……?
「ちくしょう! 死んでたまるか!」
カイムは、殺されないために努力することを決める。
そんな努力の甲斐あってか、カイムは規格外の魔力と実力を手にすることとなり、さらには原作知識で次々と殺される運命だった者達を助け出して、一大勢力の頭へと駆け上る!
これは、死ぬ運命だった悪役モブが、最凶へと成り上がる物語だ。
本作は小説家になろう、カクヨムでも公開しています
他サイトでのタイトルは、『いずれ殺される悪役モブに転生した俺、死ぬのが嫌で努力したら規格外の強さを手に入れたので、下克上してラスボスを葬ってやります!~チート魔法で無双してたら、一大勢力を築き上げてしまったんだが~』となります
婚約破棄してたった今処刑した悪役令嬢が前世の幼馴染兼恋人だと気づいてしまった。
風和ふわ
恋愛
タイトル通り。連載の気分転換に執筆しました。
※なろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、pixivに投稿しています。

スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす
Gai
ファンタジー
人を助けた代わりにバイクに轢かれた男、工藤 英二
その魂は異世界へと送られ、第二の人生を送ることになった。
侯爵家の三男として生まれ、順風満帆な人生を過ごせる……とは限らない。
裕福な家庭に生まれたとしても、生きていいく中で面倒な壁とぶつかることはある。
そこで先天性スキル、糸を手に入れた。
だが、その糸はただの糸ではなく、英二が生きていく上で大いに役立つスキルとなる。
「おいおい、あんまり糸を嘗めるんじゃねぇぞ」
少々強気な性格を崩さず、英二は己が生きたい道を行く。

絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
うちの冷蔵庫がダンジョンになった
空志戸レミ
ファンタジー
一二三大賞3:コミカライズ賞受賞
ある日の事、突然世界中にモンスターの跋扈するダンジョンが現れたことで人々は戦慄。
そんななかしがないサラリーマンの住むアパートに置かれた古びた2ドア冷蔵庫もまた、なぜかダンジョンと繋がってしまう。部屋の借主である男は酷く困惑しつつもその魔性に惹かれ、このひとりしか知らないダンジョンの攻略に乗り出すのだった…。
元聖女だった少女は我が道を往く
春の小径
ファンタジー
突然入ってきた王子や取り巻きたちに聖室を荒らされた。
彼らは先代聖女様の棺を蹴り倒し、聖石まで蹴り倒した。
「聖女は必要がない」と言われた新たな聖女になるはずだったわたし。
その言葉は取り返しのつかない事態を招く。
でも、もうわたしには関係ない。
だって神に見捨てられたこの世界に聖女は二度と現れない。
わたしが聖女となることもない。
─── それは誓約だったから
☆これは聖女物ではありません
☆他社でも公開はじめました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる