緑の体だからゴブリン?花が咲いてるからドライアド?いいえ、超ミドリムシです!異世界で光合成して家族が増殖しました!

もう我慢できない

文字の大きさ
上 下
101 / 178

101話 ミドリムシの家族ははドワーフの国を守る

しおりを挟む
緑達は冒険者達と作戦を練りそれぞれ決めた国への扉をくぐっていく。



◇◆◇◆◇◆◇◆



ドワーフの王国ウエン

 ドワーフの国は1番強固な城壁を持つために籠城戦をする事となった。

「ヒカリ、クウ、兜こっちは準備できたぞ!」

 魔物の群れが来る方向を見ていた3人がビルの声を聞いて振り返る。

「しかし、本当にお前達は城から出て龍種にむかうのか?」

「はい、そうしなければ龍種のブレスが城壁に当たればどうなるかわかりません」

「だな魔緑の旦那のブレスもやばかったが龍種のブレスがどの程度かわからないうちにいきなり食らうのは避けたいからな」

「兜さんが防げたら良いんですけどね♪」

「正直なところ魔緑の旦那のブレスと威力が変わらなければ防ぐのは難しいな・・・・ できて土の壁を作り出してそらして方向を変えるくらいしかできないと思う」

「なら、ヒカリさんとクウでかく乱して街の方にブレスを吐かせない様にするしかないですね♪」

「そうですね、それでも吐かれた場合は兜とクウで土の壁を作ってそらしてください」

「ああ、死んでも食い止めるぜ!」

「兜さん死んじゃったら緑さんに怒られますよ♪」

「そうです兜! 死んだらどうやって緑様にお詫びをするのですか!」

 そんなヒカリとクウの言葉に兜は気づく。

『知らない間に弱気になっていたのだろうか・・・・? 2人は微塵も死ぬかもしれないなんて思っていないんだろうな・・・・ 俺も負けてられないな!』

「という事なので城壁からの攻撃が始まったら俺達は龍種に向かいます」

「そうか・・・・ 3人共死ぬなよ。 お前達に生きてもらわないと俺が退屈してしまう。それに若い者が先に死ぬのは許されねぇ」

「「はい!」」

 ビルの言葉にヒカリ、クウ、兜は返事をする。そんな中、鐘の音が鳴り響く。

カーン! カーン! カーン!

「む! 魔物群れの先頭が見れるとこまで来たようだ。野郎どもドワーフの技術を詰め込んだバリスタの威力を見せてやれ!」

 そう鐘の音を聞いたビルが叫ぶ。

 兜達の視界には魔物の群れがはっきりと見えていたがビル達ドワーフには支援魔法がかかってもまだ先頭の一部しか見えていなかった。

 そのドワーフ達の視界にも徐々に魔物たちが走ることによって起こる砂煙が見え始めていた。

「先走るなよ! ある程度引き付けてから矢を撃つぞ!」

 ドワーフ達の指揮を執る者が叫ぶ。バリスタの有効射程に魔物の群れが入り群れが中ほどまではいった瞬間合図される。

「今だ!」

 城壁に所狭しと並べられたバリスタから一斉に矢が放たれる。その矢は国を守るために作られた矢であり国からの補助もあり技術のある者達は国から材料を渡されていたために矢じりに魔石が埋め込まれたものを使っていた。

 その一斉に放たれた矢は魔物に刺さった瞬間にその矢じりに埋め込まれた魔石によって様々な効果が発揮される。魔物は焼き尽くされ、凍り付かせられ、風の刃でバラバラになり、体の内側から岩の針山を生やすなどして死に絶える。

 魔物の群れの先頭が次々と倒れていくその様子を見た兜達とヒカリの子供達に抱えられた冒険者達が魔物の群れの上空を通過しその最後尾にいる龍種の元へと向かう。

 その空を飛ぶ中、兜が叫ぶ。

「レッド! 本当にお前達もいくのか!?」

「何言ってんだ!俺隊はチーム【ドラゴンスレイヤー】だぞ! ここで引いたらなんのためのチーム名だ! それにお前は一緒に死地を乗り越えた俺達を信用できないのか!? たとえここで死んだとしても俺達が選んだ選択肢だ! 他人にとやかく言われる筋合いはない! だから俺達はお前達と共に戦う!』

 そう言われた兜は思った。

『ああ、俺はレッド達を守ラなければならない者と思っていたが大きな間違いだったな……。あいつ達は冒険者だ自分達の行動は自分達できめる…… 後で謝らないとな……」

 そんな事を思い龍種に向かって飛ぶ兜達、そんな中レッド達は自分達が向かっていく方向に小さな光が輝くのを見た。

「クウ!」「兜さん!」

 咄嗟に2人はお互いの名を呼ぶ。 

 その輝きに気づいたレッド達の視線の先には突如兜とクウの背中が現れる。レッド達が見た小さな光は遥か先で龍種が吐いたブレスであった。

 兜とクウは2人で協力して空中に岩の盾を出現させる。その岩の盾は兜達に対して真直ぐに進んでくる光に対してわずかに傾斜をつけて作られており、その光は盾に当たると進行方向をわずかにかえ空に向かって進んでいくのであった。

「なんとかそらすことが出来たな」「うまくいきましたね♪」

「ああ、だが無尽蔵に打たれたらきついな。さっさと近接戦に持ち込むか!」

「ですね、一刻も早く近くに行ってブレスを吐く意味をなくしましょう!」

 そんな2人の会話をよそにレッド達は一瞬にして大量の汗をかく。レッド達はすぐに理解した。今、自分達の視界に入った光が自分達に走馬灯などを見る間もなく塵にした攻撃だったと。

 一般の冒険者達であればそこで心が折れただろうがレッド達の心は折れずレッドが笑い声を上げる。

「ふふふふ、わはははは!」

 その様子をみて兜はじっとレッド達の様子を見つめる。レッドは笑い声を止め叫ぶ。

「今、俺達は死んだ! この先は生きる屍だ! 死んだ者に怖いもんなんかあるか! いくぞ野郎ども!」

「「おおおおお!!!」」

 レッドは自分自身を鼓舞するために叫ぶ、その叫びに【ドラゴンスレイヤー】メンバーが叫び返す。

「兜! 今度は後れはとらねぇ! 誰かが奴を殺らなきゃなんねぇ!」

 その叫びにヒカリ、クウ、兜も頷く。



 龍種はブレスを吐いた後、歩みをとめその行方を確認する。

「ほう、我のブレスをそらしたものがいるか。少しは楽しめるかもしれんのう・・・・ あやつの事は気に入らんが言う事を聞いてみるもんだのう少し楽しくなってきた・・・・」

 龍種はその目を細く細めブレスをそらしたと思われる小さき者達を見つめ笑う。

「がはははははは」

 龍種はひとしきり笑うとその歩みを再開するのであった。



 兜達はそのまま飛び続け龍種の目の前に降り立つ。龍種は兜達が空から降りていくる様子をおとなしく見続ける。

 兜は地面に降りると龍種に尋ねる。

「あんたがこのスタンピードの原因か?」

「スタンピード? わしはただドワーフの国を亡ぼす様に言われてきただけで、途中飯を食うために魔物を追いかけていたら数が増えただけだ」

 龍種は素言うとニヤリと笑い兜を見る。

「そのドワーフの国を亡ぼす事ってやめてくれないか?」

「ふむ…… やめても良いが1つ条件がある」

「その条件ってのは?」

「我を倒す事だ!」

 そう言って龍種は兜に向かって前足を振りかざす。

ガキーン!

 金属同士がぶつかったような音がするがそれは龍種の爪と兜の斧がぶつかる音であった。

「ほう…… 本気ではないが我の一撃を受け止めるか」

「本気じゃないか…… それは良かった簡単に終わらずにすむ」

 龍種の言葉を聞き兜は軽口をたたくが内心焦っていた。表情には出さないでいるが兜には余裕がなかった。ドワーフの国の城壁から飛び立つ際に兜は戦闘態勢に入り巨人化していた。

 その体は人の時とは違い強固な外骨格に覆われている言わば人の体に昆虫の外皮、鎧を纏っている状態であった。もちろん体が巨大化することによりその膂力は人の姿の比ではない。

 そんな状態の兜だが龍種の本気ではない一撃を受け止めるがその衝撃により意識を失いそうになっていた。そんな事を考えている兜の後ろよりヒカリとクウが歩みでる。

「それに私達もいますしね」「そうです私達がいれば龍さんなんか直ぐに倒します♪」

「わはははは! 何人でも相手になってやる。ではかかって来るが良い!」

 その言葉を皮切りに兜達と冒険者達は龍種に向かって走り出すのであった。







※※※※

 本日、あと2話ほど後に1時間ごとに投稿します。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

水しか操れない無能と言われて虐げられてきた令嬢に転生していたようです。ところで皆さん。人体の殆どが水分から出来ているって知ってました?

ラララキヲ
ファンタジー
 わたくしは出来損ない。  誰もが5属性の魔力を持って生まれてくるこの世界で、水の魔力だけしか持っていなかった欠陥品。  それでも、そんなわたくしでも侯爵家の血と伯爵家の血を引いている『血だけは価値のある女』。  水の魔力しかないわたくしは皆から無能と呼ばれた。平民さえもわたくしの事を馬鹿にする。  そんなわたくしでも期待されている事がある。  それは『子を生むこと』。  血は良いのだから次はまともな者が生まれてくるだろう、と期待されている。わたくしにはそれしか価値がないから……  政略結婚で決められた婚約者。  そんな婚約者と親しくする御令嬢。二人が愛し合っているのならわたくしはむしろ邪魔だと思い、わたくしは父に相談した。  婚約者の為にもわたくしが身を引くべきではないかと……  しかし……──  そんなわたくしはある日突然……本当に突然、前世の記憶を思い出した。  前世の記憶、前世の知識……  わたくしの頭は霧が晴れたかのように世界が突然広がった……  水魔法しか使えない出来損ない……  でも水は使える……  水……水分……液体…………  あら? なんだかなんでもできる気がするわ……?  そしてわたくしは、前世の雑な知識でわたくしを虐げた人たちに仕返しを始める……──   【※女性蔑視な発言が多々出てきますので嫌な方は注意して下さい】 【※知識の無い者がフワッとした知識で書いてますので『これは違う!』が許せない人は読まない方が良いです】 【※ファンタジーに現実を引き合いに出してあれこれ考えてしまう人にも合わないと思います】 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるよ! ◇なろうにも上げてます。

転生した愛し子は幸せを知る

ひつ
ファンタジー
【連載再開】  長らくお待たせしました!休載状態でしたが今月より復帰できそうです(手術後でまだリハビリ中のため不定期になります)。これからもどうぞ宜しくお願いします(^^) ♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢  宮月 華(みやつき はな) は死んだ。華は死に間際に「誰でもいいから私を愛して欲しかったな…」と願った。  次の瞬間、華は白い空間に!!すると、目の前に男の人(?)が現れ、「新たな世界で愛される幸せを知って欲しい!」と新たな名を貰い、過保護な神(パパ)にスキルやアイテムを貰って旅立つことに!    転生した女の子が周りから愛され、幸せになるお話です。  結構ご都合主義です。作者は語彙力ないです。  第13回ファンタジー大賞 176位  第14回ファンタジー大賞 76位  第15回ファンタジー大賞 70位 ありがとうございます(●´ω`●)

スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜

櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。 パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。 車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。 ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!! 相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム! けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!! パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!

転生貴族の異世界無双生活

guju
ファンタジー
神の手違いで死んでしまったと、突如知らされる主人公。 彼は、神から貰った力で生きていくものの、そうそう幸せは続かない。 その世界でできる色々な出来事が、主人公をどう変えて行くのか! ハーレム弱めです。

ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

にくなまず
ファンタジー
今年から冒険者生活を開始した主人公で【ソロ】と言う適正のノア(15才)。 その適正の為、戦闘・日々の行動を基本的に1人で行わなければなりません。 そこで元上級冒険者の両親と猛特訓を行い、チート級の戦闘力と数々のスキルを持つ事になります。 『悠々自適にぶらり旅』 を目指す″つもり″の彼でしたが、開始早々から波乱に満ちた冒険者生活が待っていました。

元34才独身営業マンの転生日記 〜もらい物のチートスキルと鍛え抜いた処世術が大いに役立ちそうです〜

ちゃぶ台
ファンタジー
彼女いない歴=年齢=34年の近藤涼介は、プライベートでは超奥手だが、ビジネスの世界では無類の強さを発揮するスーパーセールスマンだった。 社内の人間からも取引先の人間からも一目置かれる彼だったが、不運な事故に巻き込まれあっけなく死亡してしまう。 せめて「男」になって死にたかった…… そんなあまりに不憫な近藤に神様らしき男が手を差し伸べ、近藤は異世界にて人生をやり直すことになった! もらい物のチートスキルと持ち前のビジネスセンスで仲間を増やし、今度こそ彼女を作って幸せな人生を送ることを目指した一人の男の挑戦の日々を綴ったお話です!

処理中です...