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96話 ミドリムシの噂
しおりを挟む父親達は緑達の作業を見ながら目を見開いていた。
緑が傷ついた平原を歩くと髪から実や種が1歩あるくごとに地面に落ちる。
それらは、地面に落ちると同時に急速に成長しあたかも以前からそこにあったように周りに溶け込む。
「もう、訳がわからんのう……」
「まんまに…… さっきの扉も大量に家族を召喚してたしなぁ……」
「これで数年分は驚いた気がしますね」
そんな父親達の会話を聞き輪が告げる。
「おとん達さっきの扉は召喚と違うで。あれはダンジョンの入り口を開いたんや」
「「ダンジョン!?」」
すると珊瑚が誇らしそうに話す。
「そうです緑さん達のダンジョンはすっごく広くて二つ名も【緑の王国】と言うのです」
「娘よなんでお前が胸を張って言うのだ?」
そう言って珊瑚がヒューイにたしなめられる。
「しかし、【緑の王国】か…… 一度は行ってみたいな」
「せやなぁ…… チームも任せるし時間ができるようになるしな~」
「緑さん達にすっごくお願いすれば入らせてもらえますかね?」
父親達がそんな話をしていると緑が声をかける。
「皆さん平原の治癒が終わりましたのでダンジョン経由で街に戻りますよ~」
「「ダンジョンに入ってもいいのか!?」」
「はい♪ どうぞお入りください♪」
緑がそういう時父親達は尻尾をブンブン振りながらダンジョンに入るのであった。
「これはなんと豊かなことか……」
「昔行ったエルフの森に近いな」
「すっごく綺麗です」
「皆さん後でまた、来てもらって良いので先にギルドマスターに報告に行きましょう」
「「えー」」
3人の父親達は子供のように残念がるのであった。
その後、緑達がギルドの部屋に置いていた扉から出るとそこでは重苦しい雰囲気でギルドマスター達が会議をしていた。
「あの~ どうされたんですか?」
「おお、緑達か良いところに帰って来てくれた。実はな近くの街から魔物の群れがこの町に向かっているのが目撃されたんだ。しかも群れの大きさはかなりの大きさらしく、この街への途中の平原で迎え撃つか街の中で籠城するか話していただ」
それだけ言うとギルドマスターは再び会議に戻る。
「あの~」
「「ん?」」
緑の言葉に会議に参加していた者達が注目するが視線にさらされ緑は言いにくそうにしているとフェンが一歩前に出て会議をしている者達に告げる。
「それなら緑達が全て先ほどかたずけたぞ」
「「え!?」」
「だから緑達が魔物の全部かたずけてもうたで」
「それは本当か?」
「嘘ついてもすっごく困るのは自分達です。そんなことしません」
その言葉を聞くと会議に参加していた者達は机に突っ伏する。
「「はぁ~ よかった~」」
顔を上げたギルドマスターが席を立ち緑の前に行き深く頭を下げる。
「助かった街を代表して礼を言う。正直な話、俺達はどうしたら助かる可能性を上げれるかと話していたところだった」
「気にしないでください」
「だがお前達にも被害が出ただろう・・・・」
それを聞いていた皆の中からグリンが一歩前にでて答える。
「あ~ ギルドマスターそれがやな被害は0や」
「「は?」」
ギルドマスターにかけられた言葉であったが会議に参加していた者達も思わず声を上げる。
「0ってどういう事だ?」
「そのままや被害0や、俺らは一切手を出さずに高みの見物しているうちに蹂躙しておわってもうたわ」
「「本当のはなしか?」」
「驚くのも無理はないのう。我らも見ていた時は言葉を発せずにいた」
「すっごい光景でした」
「「まさにスタンピードだった」」
「「い、いかれてる」」
そう会議に参加していた者達がそうこぼすのであった。
その後、緑達は半信半疑のギルドマスター達に大量の魔物の素材を見せ納得させる。緑達の大量の素材を見たギルドマスターは魔物の脅威がなくなったことを他のギルドに伝えるのであった。その情報は緑達の知らないところでギルド経由で獣人の国の国王まで伝わる。
緑達の驚くべき情報を聞き、国王はIランク冒険者の情報を噂レベルのものまで集め緑達の事を調べるはじめるのであった。
その夜父親達は緑達のダンジョンにいた。
「幸せだのう~」
「ほんまやわ、ここは天国やわ」
「ごはんもお酒もすっごくおいしいですね」
「ほんとのう…… ただ肉は獣人にとっては上品すぎるな。もう少し癖があってもいいのう」
父親達はダンジョンで出された食事や酒に驚いていたが、肉だけは、そう言われた緑はアイテムボックスからある肉をとりだす。
「じゃあ、これなんかどうですか?」
そう言って見せた肉は以前群れを倒したワイバーンであった。
「「おお! ワイバーンの肉ではないか!?」」
その喜び様をみて緑は、ワイバーンの肉を料理するように料理をしている者達にお願いをする。
その後、出てきたワイバーンの肉を大喜びで食べた父親達は露天風呂に案内された。
「熱い湯につかるのがこれほど良いとはしらなかったのう」
「ほんま、それ」
「外で入る風呂もすっごくいいですね」
風呂で湯につかりながら酒を飲みんだ後、3人は緑の宿に1泊するのであった。
翌日、父親達と別れた緑達がギルドに向かうとあわててギルドマスターが出てくる。
「おーい緑達すまんがちょっといいか?」
そう言って部屋に通された緑達はそこでギルドマスターより獣人の国の王都に向かうよう頼まれる。緑達は、もともと王都に行くつもりでその道を聞くために街に来たことを伝える。
「それは丁度よかった。急ぐ必要はないがこの街を出たら真直ぐに王都に向かって欲しい」
緑はすぐに2,3日この街を観光した後に王都に向かうとギルドマスターに伝えギルドをでるのでる。
ギルドを出た緑達は琉璃、凛、珊瑚の元チームの拠点に向かう。そこで3人が魔緑に嫁入りすることを伝えるために、まずは琉璃の元チームの拠点にむかうのであった。
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