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94話 ミドリムシはお父さんと戦う
しおりを挟む今、魔緑達は走りながら街から離れていた。
「ほう! 私達に送れず走るか!」
「ええ足をもってるなぁ!」
「すっごく良い子です!」
父親達は魔緑を褒めたおす。それを聞いた魔緑の嫁の3人は夫が褒められ上機嫌になる。
「ふふふ、旦那様がほめられるのは気分がいいのう!」
「ほんまやね! うちも嬉しくなるわ!」
「はい、すっごく嬉しいです!」
のんきに喜ぶ嫁達を横目に魔緑だけは父親達の態度を疑っていた。魔緑はこの父親達の態度は自分を油断させるものではないかと内心ひやひやしていた。
「さあ! ここらであれば大丈夫だろうな?」
そう言って森を抜けたところで先頭を走っていたフェンがそのスピードを緩める。そこには、視線を遮るものがない広大な草原が広がっていた。
草原には、いくつかの魔物の群れは見られるがすぐさま襲ってくるような様子は見られない。全員がその足を止めると父親達と魔緑が戦う準備を始める。
周りで観戦する者達の前に緑が氷の壁を作り出す。ギルドでの戦いで3人のエースが吹き飛んだのを全員が目で追えていたがねんのためにと緑が言う。
しかし、緑は1人だけ今回の戦いで魔緑が火の魔法を使うかもしれないと考えていたのであった。
「では、始め!」
緑の合図で戦いが始まる。まずは全員が人の状態で戦い始める。父親達の先頭スタイルは先ほど戦ったエースの戦い方の先を行くものであった。
歳のせいかパワーとスピードに関してはエース達の方が上であったが経験からくる戦略は魔緑に攻める事を許さなかった。
「くっ このままじゃじり貧だな」
すると魔緑の周りに火の玉が現れる。普通の者であったら様子を伺うが父親達は気にせず戦い続ける。
更に戦いは続き火の玉は少しづつ数を増やすが一向に父親達はそれに気をとられない。
「そんな、もんに気をとられる俺らやないで!」
空から攻撃するグリンが叫ぶがその瞬間火の玉が100近く現れる。
「なんやて!?」
魔緑が琉璃、凛、珊瑚達とともに居て獣人の強みは高い身体能力だけではなく、人族には無理なそれぞれの動物の特性からくる索敵能力と考えていた。
そのため、魔緑はこの父親達のスキを突くにはあえて高い索敵能力のスキを突かなければならないと考えていた。
その作戦が魔緑が光合成で作り出したエネルギーを一気に魔力に変え魔法を使う事であった。
緑が作り出し100以上の火の玉がグリンに殺到する。さすがにグリンは物量の前に被弾し地面に落ちるが落ちると同時にその姿をグリフォンに変貌させる。
グリンが変貌するとフェンとヒューイもその姿を変える。父親達が姿を変えるのをみて魔緑も先ほどギルドの訓練所で見せたクリアグリーンの龍の姿に変貌する。
父親達がその姿を変貌させると思いがけないことが起こる。それは、父親達が姿を変えた後のパワーとスピードがエースの3人を上回る。
これは、後から分かる事であるが人の姿と違い獣の姿になった時その体の動かし方になれていないため若い者達はロスが出ていると言う事であった。
しかし、先ほど先ほどエース達を瞬時に戦闘不能に追いやった魔緑であったが今は攻めあぐねていた。父親達はその獣の身体能力を余さず使いさらに3人で連携をとり緑を責め立てる。
フェンはそのスピードは人型よりも数段上がり観戦している者達も離れて注意深くみていなかれば見失いそうになるほど早く直接戦いっていた魔緑はさらに早く感じていた。
グリンは元々スピードから速かったためそれほどスピードの上昇はなかったが緩急のかかりが大きくなっており空中での移動が複雑になりとらえるのが難しくなっていた。
ヒューイはその蛇の体を使い瞬間的に出るスピードがフェンを上回った。獣の姿になってからその体を縮め飛び掛かってきたヒューイは体に体を巻き付け緑の動きを止めようとする。
それを打開するために魔緑が使ったのはまたも火の魔法であったが今度の魔法は色が青色をしており数もさらに多い。
しかし、父親達は初めて見る青白い炎を見るのが初めてのため気にせず戦闘を続けその魔法に触れる。
キャン! ピィ! シャー!
3人は魔法に触れその熱に驚き声を上げる。そのスキを見逃さなかった緑が3人に一撃を貰い倒れる。
「それまで!」
緑の合図で戦いは終了する。
「くう~ 負けてしまったのう 本当はたたかって叩きのめすつもりだったのにのう」
「ああ、負けてもうたわ、俺ら3人相手に余力を残し勝つ男をつかまえたんはええけどな」
「すっごくやしいな~ でも娘たちは幸せになると思われるからいいかな?」
3人の言葉を聞いて魔緑はやはり戦って勝つもりであったのかと納得する。
「それでは婿どの末永く娘を頼むのう」
「せやで返品はなしやで!」
「すっごく幸せにしてやってください」
「わかりました、幸せに一緒になります」
緑が父親達にむかって誓う。そんな時、皆の索敵範囲に魔物の群れが引っかかる。これに反応したのは魔緑とその嫁達とその父親達であった。
「まずいな・・・・かなりの数だ街に向かっているのう」
「これはまずな・・・・ ここに居る者んなら負けないがうち漏らしが街を襲うとなると街が危ういな」
「すっごい数ですね」
父親達が焦る中娘たちが話始める。
「ふむ、父様達は緑の家族を知らんからのう」
「みたらびっくりするんちゃう?」
「そうですね♪ すっごくびっくりすると思います」
「「?」」
娘たちの言葉に父親達は首を傾げる。そんな話しているうちに緑と蟲人達の索敵に範囲に群れが引っかかり、緑と蟲人達が話始める。
「おお本当だ。いっぱい来たね~」
「緑様どうしましょう?」「やっつけるです♪」「子供達も戦いたいとおもいます~」
「う~ん、ならここなら広いしここで迎撃しようか! よしじゃあ子供達をだそうか! ダンジョンオープン!」
「父様達扉からでてくる者達は緑の家族だから手を出さぬようにのう」
琉璃が父親達に釘をさす。
「ほう! 家族が多いのだな! それは良い事だ!」
「せや! 家族は多い方が良い!」
「緑さん達の家族ですか会うのが楽しみです」
そう父親3人は和気あいあいと話していると緑が出した大きな扉から我先にと子供達が出てくる、それは火山が噴火した様に3人には見えた。
そんな勢いで出てきたのは皆虫型の魔物であった。そんな勢いで出てきたため直ぐにその勢いが止まると思っていた父親達であったがその勢いはとまらなかった。
「こ、これは大家族だのう・・・・」
「か、家族が多いのは良い事や・・・・」
「すっごいかずですね・・・・」
そういって父親達はその様子を見続けるのであった。
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