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88話 ミドリムシは獣人の国に出発する
しおりを挟む「ふむ、やっぱりこやつも我らの一員になるかのう?」
「でも本人が否定するうちは無理ちゃう?」
「すっごく、まーちゃんの事を好きだと思います」
「「な!?」」
2人のやり取りを見ていた魔緑の嫁達は再びギルを品定めする。ギルと魔緑は3人の言葉を聞き驚き振り返る。
「おお、息もぴったりじゃ。本当に私たちの仲間にならんのかのう?」
「そうそう、まーちゃんと一緒にいようや」
「すっごく楽しくなると思います」
「な、な、な、俺はちがーう!」
そう言い残し顔を真っ赤にしたギルは走り去るのであった。
「お前達、無理やり嫁にするつもりはないんだ・・・・ お前達だって・・・・」
顔を真っ赤にした魔緑は3人に照れながらいう。
「「やっぱり」」
3人は魔緑がギルを嫁にしてもいいと思っていることを確信する。
「あやつの乳を見た時からかのう?」
「そうや、あの時や! まーちゃんの子緑が元気になってた!」
「すっごく子緑ちゃんが元気でした!」
「子緑っていうなー!」
30分後
「のう、私達が悪かった泣きやんでくれんかのう?」
「泣いてない!」
「まーちゃん、ごめんてー」
「こ…… 魔緑さん機嫌なおしてください」
「今、子緑って言おうとしただろう!」
魔緑が機嫌を直すのにはさらに時間がかかるのであった。
数日後
ダンジョンの店の開店に合わせてきた者達もあらかた自分達の街に帰っていくのを見った緑達は、ダンジョンの店も落ち着いたのでダンジョンの中を見て回っていた。
緑達がダンジョンの中を見て回るとダンジョンに移り住んだ住人達は平和で充実した生活を送っていた。
「緑様こんにちわー」
チキチキチキ
移り住んでいる孤児や畑仕事をしている緑の子供達に挨拶をしながらダンジョンを回ると開けた野原で緑達は腰をおろす。
「平和だねー」
「ああ、平和だ」
2匹のミドリムシは日向ぼっこをしている。その間も緑は魔力を使いながら水を生み出し光合成を続ける。
これを魔術を使える冒険者がいれば驚くほどの魔力を消費しているが緑達は魔力量も他の者達と比べ物になら程もっていた。
「次は何をしようかな~ まーちゃんは何かしたい事ある?」
「う~ん、そうだな~ 世界樹に寄生している奴らも気になるがこっちからは見つける事が出来なかったし、後は獣人の国に行くことくらいか?」
「あ! そうだ忘れていた。獣人の国にはまだ王都には行ってなかったね。よし次は獣人の国を目指そうか、その後は各国の街を回っていこうか」
「ああ、そうだ。うちの嫁の国でもある案内してくれるだろう」
「「……」」
その会話を聞いていた3人は珍しく静かにしていた。
「のう、みーちゃん、まーちゃん獣人の国は行っても面白くないぞ」
「そ、そうやで! 他の国に行く方が面白いで!」
「そうです獣人の国はすっごく面白くないです」
そんな3人の言葉を聞いた蟲人達が反論する。
「私達は行ったことが無いので行ってみたいです」
「そうですクウも行きたいです♪」
「3人が行きたくないと言うのは怪しいですね~」
蟲人達の言葉を聞いた獣人3人は慌て始める。
パン! パン! パン!
「はい、皆獣人の国に行くのは決定事項! 僕達は各国の街をダンジョンでつなぐのも使命だからね」
その緑の言葉を聞いて3人の獣人はうなだれる。
翌日、緑達は以前エルフの街からドワーフの街に行く途中でお世話になった村の扉を開ける。
「あ、緑さんだ!」
扉を開けた先の近くで遊んでいた子供達が緑達を見つける。
「僕は先に村長にしらせてきます」
そう言って1人の子供が走っていく、緑達はゆっくりと村の人々に挨拶をしながら村長の家に向かう。緑達が子供達にお菓子を子供達に配りながら村長の家に着くと村長が家からでて待っていた。
「お久しぶりです今回はどうされたんですか? と、ここで立ち話もなんですから中におはいりください」
村長はニコニコしながら緑達を家の中に招き入れる。
「お久しぶりです、今日は獣人の王国の王都にいくために立ち寄りました。よければ王都への道を教えてもらいたいのです」
「そうでしたか・・・・ 申し訳ないのですが私も詳しくは知らないのですがここから北西に向かうと大きな街があるそうなのでそこで街の人に聞いてもらえればわかると思います」
「ありがとうございます、お礼ではないですがまた食料をお渡ししたいと思いますので倉庫に案内してもらえますか?」
「おお、それはありがたいですがよろしいのですか?」
「はい、遠慮せず貰ってください」
そう言って緑はニコリと笑う。
「前回といい本当にありがとうございます」
そういって村長は深々と頭をさげるのであった。
「ではこちらの倉庫にお願いします」
「わかりました! では出していきますね」
そういって倉庫に沢山の食糧を置いていく緑、これだけあれば1か月は豊かに食事ができるだろうと緑は考えていたが、緑の考えていた1回の食事量ほど村では消費されないため数か月分にもなるのであった。
「よし! これおしまい」
村長はその量を見て驚き目を見開く。
「これだけあると食べきれずに痛んでしまうかも・・・・」
「ありゃ、多すぎましたか。なら、これで!」
そういって緑は倉庫の奥側にある食料を氷づけにしていく。
「これでしばらくは大丈夫でしょう」
「おお、これであれば無駄にしないで食べきれます。ありがとうございます」
倉庫に食料を置き終わると緑達はそのまま村を出発する。
「村長、これ失礼します」
緑達は村の入り口におりその出発をみおくるために村人の殆どの者が見送りにきていた。
「北に行くに連れて森は危険になります、魔物も出るようになります。貴方達なら問題はないと思いますが気をつけてください。貴方達の旅が良いものになりますように」
そういって村人たちは祈る。
「ありがとうございます! では、いってきます!」
そういって緑達は馬車に乗り込む。
「緑様涙をお拭きください」
ヒカリが緑にハンカチを渡す。
「ぐずぐず…… うん。ありがとう……」
村長にお礼を言って馬車に向かう間緑は声を押し殺しながら嬉しさで号泣いていたのであった。
「誰かに心配される事っていいね……」
「皆さん緑様が大好きなんですよきっと……。 それは、私達もです」
「そうです、緑さんの心配ごとなんかクウがぶっ飛ばします♪」
「緑様に敵対するものは私が切り裂きます~」
「みどりしゃま~だいしゅき~」
「大将の前に立つものは俺らがぶっ壊します!」
「うん♪ 皆ありがとう!」
そんな話をしながら緑達は獣人の王国の王都を目指すのであった。
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