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76話 ミドリムシは仲直りする
しおりを挟む「俺の剣は通用しなかった今までの非礼を詫びる」
そう言ってギルは深々と魔緑に頭を下げる。そんなギルを見て魔緑が言う。
「まぁ、今回は相性が悪かったんだろう。お前の炎剣悪くないと思うぜ」
魔緑の言葉を聞いてギルは目を丸くする。
「そうか、でもお前にはまるで通用しなかった・・・・ 炎剣なんて呼ばれて自信過剰になっていたんだな・・・・ 恥ずかしい限りだ」
そんな落ち込んでいるギルを見て魔緑が話す。
「お前は俺が使った魔法がどんなものか分かったか?」
「いや、まったくだ本職の魔法を俺は使う事が出来ないからな」
ギルがそう言うと魔緑が手の平を空に向ける。
「いいかギル炎は温度が上がれば上がるほど赤から青、青から白い色になる」
「なに!? そうなのか? そんな事聞いたことないぞ!」
驚くギルをよそに魔緑は続ける。
「ああ、こちらの世界ではあまり知られていないがな・・・・」
そう言って魔緑は赤い火の玉を手の平の上に作り出す。
「まぁ、見とけ」
そう言って短く言うと魔力を増やし始める。魔緑の作り出し火の玉は赤色から徐々に青色に変化する。
「なぁ、お前は熱に強い物を持っていないか?」
「それなら小手なんかは熱に強い物を持っているが・・・・」
「その小手、一個潰してもいいならこの先を見せるがどうする?」
「頼む見せてくれ! これで俺はまだ強くなれそうだ!」
その言葉を聞き魔緑は頷く。
「じゃあその小手を外して何か熱を通しにくい物で掴んでこの炎に当ててみろ」
「・・・・わかった」
そう言ってギルが小手を青い炎に当てる。すると小手はみるみる赤くなりその形を保てずに崩れ始める。
「こんな事が起こるのか・・・・ 今までこの小手は俺が炎剣を使うときに熱から俺を守ってくれたんだが・・・・」
「緑すまないが水をくれないか!」
魔緑がそう言うと近くに水の玉が出現する。
「それをこいつにつけろ」
ギルは言われるままに崩れかかった小手を見ずにつける。小手は崩れたままの形で固まる。
「なら、次はこれに当ててみろ」
そう言って魔緑の手のひらには白い火の玉が出現する。
「これがさっき言ってた白い炎か・・・・ 当てる」
そう言ってギルが小手を白い炎に当てると。小手は崩れる暇もの無く蒸発する。
「これが俺の剣が欠けていった理由か・・・・」
そう言ってギルは目を瞑る。しばらく目を瞑っていたギルが目を開けると持っていた剣の柄を両手で持つとそこに炎の剣が出現する。
「ぐうううう」
ギルが出現させた剣は赤色から青色の変わるがその途端ギルが苦しそうな声を上げる。ギルの体が徐々に火傷しはじめる。
「バカ野郎! 何考えてやがる!」
そう言って魔緑はギルの腕をつかみ炎の剣ごとさっき緑に出してもらった水球に突っ込む。
じゅうう!
ギルの剣は集中力が切れたのか消え失せ、そのまま火傷の個所を水球にあてる。
「ぐう! つぅぅぅぅ」
痛みからギルがまた唸る。魔緑はアイテムボックスから治癒の実を取り出しギルに渡す。
「これは?」
「いいから食え!」
魔緑の剣幕にギルは黙って渡された実を食べる。するとみるみる火傷が治っていく。
「これは、高級回復薬に匹敵するな・・・・ 悪い気を遣わせたな」
「戦った傷なら勲章だがこんな事で傷を作るな! 服の下は大丈夫か?」
「服のしたか・・・・ 」
そう言って服の中を見るとギルが驚きの声を上げる。
「おい! 古い火傷の後が消えた! 見てみろ!」
「ああ、それは良かったな」
ヤレヤレといった表情をしているとギルが服をはだける。その様子を見ていた魔緑は固まる。ギルが服の前をはだけるとそこに豊かな胸があった。
「気になっていた火傷の後が消えた」
再びギルがそう言うと魔緑を抱きしめる。
ドン!
ギルは魔緑に押されて体をはなす。魔緑は大きなタオルをアイテムボックスから取り出しギルにかけるとそっぽを向く。
「ああ、ありがとう。気になっていた古傷だったのでな。しかも自分の新しい可能性に興奮してしまった。すまん」
そんなやり取りをしていると琉璃と凜、珊瑚が魔緑の方に歩いていくと2人に話しかける。
「なあ、まーちゃんそのもは妾にするのか?」
「だ! だれが妾だ!」
ギルが慌てて否定する。
「そうかなら良い、骨のあるものだからそれも良いかと思ったんだがのう・・・・」
「ほんまやね~ 緑は私達の群れの雄なんだからもっと雌をあつめてもいいとう思うんやけどな~」
「そうっすね! 優れた雄が雌をあつめるのは自然っす」
そんな3人の言葉を聞いた魔緑が叫ぶ。
「だ~お前らうるさい! 俺はそんな事を考えていない! 俺はお前達がいればいいんだ!」
「ツンデレだのう」「つんでれやね~」「すっごいツンデレです」
「緑! お前かつまらない言葉を教えたのは!」
魔緑は緑に向かって叫ぶ。それを見てギルは笑い始める。
「あはははは! お前達は面白いな!」
そう言ったギルは姿勢を正す。
「お前達の実力を見誤っていた。いや、お前達の実力は私の遥か上だった。私は未熟者なのに今までの非礼を謝罪する! すまなかった!」
そういってギルは深々と礼をする。
「まぁ済んだ事だきにするな」
緑は一言ギルに返す。
「やっぱりツンデレだのう」
琉璃の言葉に凜と珊瑚がうんうんとうなずくのであった。
その後訓練所からホールに戻った皆の前で再びギルが口を開く。
「東ギルドの全冒険者に謝罪する。尻尾を振ったなどと言って申し訳なかった」
そう言って再び深々と礼をするのであった。
そんなギルドのホールに扉を開けて入ってくる者達がいた。
「よっしゃ! 依頼完了だな今日は飲むぞ!」
「そろそろあいつも戻って来てるんじゃないか?」
「お! レッドじゃないないか!」「レッドさん!」
「「ん?」」
声をかけた兜とギルが顔を見合わす。
「なんだ知り合いだったのか?」
魔緑が2人に尋ねるが2人は違うと答える。2人に声をかけられたレッドが緑達のところに歩いてくる。
「なんだギル兜達に挨拶をしたのか?」
「え? 誰が兜さんですか? 兜さんは5mほどの大男でないんですか?」
「ああ、確かに兜の説明をしていなかったなわりぃ」
彼らは話のすり合わせをするために話し合いをするのであった。
「ははははは! 迷惑をかけちまったな!」
レッドが緑達に謝る。
「もうレッドさんきちんと教えてくださいよ! 私思いっきり喧嘩を売っちゃたじゃないですか」
「何! ギルお前【軍団】に喧嘩をうったのか? ははははは! 良く生きてたなえらいぞ!」
「魔緑が本気で殺す気で戦ってたら私は死んでましたよ」
「だろうな・・・・ はははははは!」
一瞬真面目な顔をしたレッドは再び笑い出す。
「まぁ、緑達が小娘1人に本気になるなてことはないから心配するな」
バン!
そう言ってレッドはギルの肩をたたくのであった。
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