51 / 178
51話 ミドリムシは飛竜を退治する
しおりを挟む緑達は【遠くを見る者】と一緒に彼らの拠点の街へと向かって歩いている。アイは聞きたい事を全部聞けたので上機嫌で歩いていた。
ふと【遠くを見る者】の1人が気づく。
「なぁ、このまま街まで行ったら、街が混乱するよな・・・・」
「なら、私が先に街に戻り連絡してきます!」
その呟きを聞いたアイが手を上げ緑達に先に自分が街に連絡を入れ緑達がスタンピードではない事を伝えにいくと提案する。
「じゃあ、アイさんお願いしてもいいですか?」
緑は、子供達を街に近づくためにダンジョンの中に戻すのが嫌なためアイの提案通りにしてもらうようにお願いするのであった。
緑達がゆっくり歩ていると街が見えてくるこの辺りはモンスターもあまり出ないために街にはジェスターの様に城壁は作られていなかった。
緑達が進むにつれて街の様子がおかしいことに緑達が気づく。それは、近づくにつれ街のいたるところが燃えているのがわかった。
「街が燃えている! ヒカリはコアを持って先に飛んで状況を確認して!」
魔法を使わなければ緑達ほど遠くを見れない【遠くを見る者】が緑の言葉で慌てて視力を魔法で強化し街を確認する。
「飛竜だ! やばいぞ! しかも群れだ!」
そういうと【遠くを見る者】は走り始める。
「待って!」
走り始めた【遠くを見る者】を緑はすぐに止め、体長2mほどのホレストアント2体を呼ぶと【遠くを見る者】達に乗るように言う。
ホレストアント達は【遠くを見る者】を乗せると猛スピードで走り始める。
「「はやーい!」」
彼がそう叫ぶと、緑からそれは良かったと声を掛けられぎょっとする。緑達はホレストアントと自力で並走していた。
「じゃあ、後から追いついてきてね」
そう緑が言いうと緑、クウ、兜、レイはホレストアントを抜き去り街に向かって走っていく。
「いかれた速さだ・・・・」
ホレストアントに乗せてもらっている【遠くを見る者】の男の冒険者がそう呟く。
そんな彼らの後ろには同じようにホレストアントに乗った胡蝶がいる。
「緑しゃま! いってらっひゃーい!」
そう言って手を振り緑達を見送るのであった。
一足先に街に着いたヒカリはダンジョンの扉を開け、ダンジョン内に残っている自分の子供達を呼ぶと飛竜達を攻撃する様に伝える。
それを聞いた子供達の一部は数十匹でグループを作り飛竜に向かっていくのであった。それを確認したヒカリは残りの子供達を連れて街の中で捜索を開始する。
ヒカリと子供達は、街の中で火に囲まれ逃げれずにいる人や壊れた建物に取り残された人がいないか見て回る。
「誰かいませんかー! いるなら返事をしてくださーい!」
そう叫んで人がいないか探し回っているアイを発見すると声を掛ける。
「アイさん誰か行方が分からない方がいるのですか?」
「はい、何人かわからない人がいるんです・・・・こんな状況で連絡もうまくいかないのでどこかで助かっているかもしれないんですがそれも確認できないんで・・・・」
そんな話を2人が話していると雨が降ってくる。
「雨だ助かった! これで火が消えれば! 」
そんな事を言っていたアイだが異変に気付く。
「あれ? 傷が消えていく?」
雨を受けて喜んでいたアイだが走り回り人を助けるために付けた細かい傷がきれいに治っていくことに気づく。
そんな不思議そうにしているアイにヒカリが話しかける。
「この雨はきっと緑様が降らせているのでしょう。見てごらんなさい空には雲が見えません」
そう言われてアイが見上げると周りに大きな光がないため満天の星空が広がっている。
その星空をみて落ち着きを取り戻したアイが避難した人たちが集まっている場所があるので一度そこに行こうと提案し、アイとヒカリは避難場所に向かうのであった。
アイとヒカリが避難場所に着くとすぐさま冒険者が集まり行方不明者がいないか確認するすると小さな男の子が行く不明だと発覚する。
アイ達が話し合いいくつかのグループに分かれ男の子を探す算段をしていると空から咆哮が聞こえる。それは、何匹か見た飛竜のなかでも一番大きなものが避難所に向かってきたのであった。
アイ達冒険者や避難所にいた人々がその飛竜をみて絶望に染まる中ヒカリが戦闘態勢を取る。そこに緑がやってくる。
「ヒカリ! 町の中の建物に男の子が1人いたのを救出した! 髪で町中探索したからもう誰も居ないから大丈夫思いっきりやっちゃえ!」
それを聞いてヒカリが飛び立つヒカリは飛竜の目の高さまで上昇すると飛竜に向かって叫ぶ。
「さぁ! 始めましょうか! 飛竜の力見せてもらいましょう!」
緑達や町の人々の前で1人と1匹の戦いが始まる。
周りの人々は驚きでその戦いから目が離せなかった。なぜなら、身長170㎝ほどのヒカリが体長10m近くある飛竜と互角の戦いをしていたからだ。
1人と1匹は空中で何度も交差する。飛竜はヒカリに向かって炎の玉を吐き出し攻撃する。それを交わしヒカリが風の魔法を飛竜に向かって撃つ。
しばらく1人と1匹の互角の戦いが続いたが突然にしてそれは終わる。
「兜が戦った龍種との話を聞きましたが飛竜では比べまでもなかったですね・・・・」
そう言ったヒカリが突如として姿を消す。飛竜も今まで戦っていたヒカリの姿を見失い焦るがすぐにとてつもない衝撃を受け地面に落ちる。
ヒカリが起こしたソニックブームを受け飛竜は地面に墜落する。その地面に落ちた飛竜に向かいヒカリが魔法を放つ、今までとは違い大量の魔力が練られた風魔法で一刀のもとに飛竜の首を落とすのであった。
ズーン
飛竜が首を落とされ倒れる。
「こんなものですか・・・・」
誰にも聞こえない大きさでヒカリが呟く。
「やったぞ!」「あの姉ちゃんすげー!」「助かった~」
人々は飛竜の首が落ちるのを見て歓喜の声を上げる。しばらくそんな歓喜の声が上がり続ける。その歓喜をさえぎり緑が街の人々に声をかける。
「誰かケガをしている人はいませんか?ケガをした人が居たらこちらに来てくださいどんな小さな傷でも大丈夫です!」
緑がそう言うと逃げる途中でケガをした人や燃えた建物から逃げる際に火傷をした人々が緑の方に集まって来る。
「じゃあ皆さん集まってください!」
緑がそう言い人が集まると緑が回復の実を配っていく。それを食べた人々が驚きの声を上げる。
「すごい体中の傷が治っていく。ありがとうございます!」「火傷の後が残るかと思ったけど綺麗に治ったわ」「ありがとう! うちの子のケガがきれいに治ったよ!」
口々に驚きの声を上げその後、緑に感謝を伝えていく。
「さぁ後は街を治していくか・・・・とその前に他の飛竜はどうなったかな?」
緑が他の飛竜の状況がどうなったかと思っているとヒカリが緑の元にやって来て他の飛竜は全て子供たが仕留めたことを伝える、それを聞いた緑は安心して頷くのであった。
その後緑は子供達が仕留めた飛竜をアイテムボックスに収納していく。ダンジョンに運ばなかったのは飛竜の素材は何が使えるか分からないからであった。
緑は回収した飛竜の1匹を解体し始める。
これから街を修復するにしても本来夕食を食べる時間に襲われたため街の多くの人が空腹だと思い先に皆で食事をしようと考えるのであった。
緑が夕食の準備を始めようとしていたころアイ以外の【遠くを見る者】のメンバーも街に到着するのであった。
0
お気に入りに追加
91
あなたにおすすめの小説

【完結】転生少女は異世界でお店を始めたい
梅丸
ファンタジー
せっかく40代目前にして夢だった喫茶店オープンに漕ぎ着けたと言うのに事故に遭い呆気なく命を落としてしまった私。女神様が管理する異世界に転生させてもらい夢を実現するために奮闘するのだが、この世界には無いものが多すぎる! 創造魔法と言う女神様から授かった恩寵と前世の料理レシピを駆使して色々作りながら頑張る私だった。
スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜
櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。
パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。
車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。
ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!!
相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム!
けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!!
パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!

元34才独身営業マンの転生日記 〜もらい物のチートスキルと鍛え抜いた処世術が大いに役立ちそうです〜
ちゃぶ台
ファンタジー
彼女いない歴=年齢=34年の近藤涼介は、プライベートでは超奥手だが、ビジネスの世界では無類の強さを発揮するスーパーセールスマンだった。
社内の人間からも取引先の人間からも一目置かれる彼だったが、不運な事故に巻き込まれあっけなく死亡してしまう。
せめて「男」になって死にたかった……
そんなあまりに不憫な近藤に神様らしき男が手を差し伸べ、近藤は異世界にて人生をやり直すことになった!
もらい物のチートスキルと持ち前のビジネスセンスで仲間を増やし、今度こそ彼女を作って幸せな人生を送ることを目指した一人の男の挑戦の日々を綴ったお話です!

次は幸せな結婚が出来るかな?
キルア犬
ファンタジー
バレンド王国の第2王女に転生していた相川絵美は5歳の時に毒を盛られ、死にかけたことで前世を思い出した。
だが、、今度は良い男をついでに魔法の世界だから魔法もと考えたのだが、、、解放の日に鑑定した結果は使い勝手が良くない威力だった。

転生貴族の異世界無双生活
guju
ファンタジー
神の手違いで死んでしまったと、突如知らされる主人公。
彼は、神から貰った力で生きていくものの、そうそう幸せは続かない。
その世界でできる色々な出来事が、主人公をどう変えて行くのか!
ハーレム弱めです。

スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす
Gai
ファンタジー
人を助けた代わりにバイクに轢かれた男、工藤 英二
その魂は異世界へと送られ、第二の人生を送ることになった。
侯爵家の三男として生まれ、順風満帆な人生を過ごせる……とは限らない。
裕福な家庭に生まれたとしても、生きていいく中で面倒な壁とぶつかることはある。
そこで先天性スキル、糸を手に入れた。
だが、その糸はただの糸ではなく、英二が生きていく上で大いに役立つスキルとなる。
「おいおい、あんまり糸を嘗めるんじゃねぇぞ」
少々強気な性格を崩さず、英二は己が生きたい道を行く。
異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~
水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート!
***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!
本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。
なつめ猫
ファンタジー
田中一馬は、40歳のIT会社の社員として働いていた。
しかし、異世界ガルドランドに魔王を倒す勇者として召喚されてしまい容姿が17歳まで若返ってしまう。
探しにきた兵士に連れられ王城で、同郷の人間とパーティを組むことになる。
だが【勇者】の称号を持っていなかった一馬は、お荷物扱いにされてしまう。
――ただアイテムボックスのスキルを持っていた事もあり勇者パーティの荷物持ちでパーティに参加することになるが……。
Sランク冒険者となった事で、田中一馬は仲間に殺されかける。
Sランク冒険者に与えられるアイテムボックスの袋。
それを手に入れるまで田中一馬は利用されていたのだった。
失意の内に意識を失った一馬の脳裏に
――チュートリアルが完了しました。
と、いうシステムメッセージが流れる。
それは、田中一馬が40歳まで独身のまま人生の半分を注ぎこんで鍛え上げたアルドガルド・オンラインの最強セーブデータを手に入れた瞬間であった!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる