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51話 ミドリムシは飛竜を退治する
しおりを挟む緑達は【遠くを見る者】と一緒に彼らの拠点の街へと向かって歩いている。アイは聞きたい事を全部聞けたので上機嫌で歩いていた。
ふと【遠くを見る者】の1人が気づく。
「なぁ、このまま街まで行ったら、街が混乱するよな・・・・」
「なら、私が先に街に戻り連絡してきます!」
その呟きを聞いたアイが手を上げ緑達に先に自分が街に連絡を入れ緑達がスタンピードではない事を伝えにいくと提案する。
「じゃあ、アイさんお願いしてもいいですか?」
緑は、子供達を街に近づくためにダンジョンの中に戻すのが嫌なためアイの提案通りにしてもらうようにお願いするのであった。
緑達がゆっくり歩ていると街が見えてくるこの辺りはモンスターもあまり出ないために街にはジェスターの様に城壁は作られていなかった。
緑達が進むにつれて街の様子がおかしいことに緑達が気づく。それは、近づくにつれ街のいたるところが燃えているのがわかった。
「街が燃えている! ヒカリはコアを持って先に飛んで状況を確認して!」
魔法を使わなければ緑達ほど遠くを見れない【遠くを見る者】が緑の言葉で慌てて視力を魔法で強化し街を確認する。
「飛竜だ! やばいぞ! しかも群れだ!」
そういうと【遠くを見る者】は走り始める。
「待って!」
走り始めた【遠くを見る者】を緑はすぐに止め、体長2mほどのホレストアント2体を呼ぶと【遠くを見る者】達に乗るように言う。
ホレストアント達は【遠くを見る者】を乗せると猛スピードで走り始める。
「「はやーい!」」
彼がそう叫ぶと、緑からそれは良かったと声を掛けられぎょっとする。緑達はホレストアントと自力で並走していた。
「じゃあ、後から追いついてきてね」
そう緑が言いうと緑、クウ、兜、レイはホレストアントを抜き去り街に向かって走っていく。
「いかれた速さだ・・・・」
ホレストアントに乗せてもらっている【遠くを見る者】の男の冒険者がそう呟く。
そんな彼らの後ろには同じようにホレストアントに乗った胡蝶がいる。
「緑しゃま! いってらっひゃーい!」
そう言って手を振り緑達を見送るのであった。
一足先に街に着いたヒカリはダンジョンの扉を開け、ダンジョン内に残っている自分の子供達を呼ぶと飛竜達を攻撃する様に伝える。
それを聞いた子供達の一部は数十匹でグループを作り飛竜に向かっていくのであった。それを確認したヒカリは残りの子供達を連れて街の中で捜索を開始する。
ヒカリと子供達は、街の中で火に囲まれ逃げれずにいる人や壊れた建物に取り残された人がいないか見て回る。
「誰かいませんかー! いるなら返事をしてくださーい!」
そう叫んで人がいないか探し回っているアイを発見すると声を掛ける。
「アイさん誰か行方が分からない方がいるのですか?」
「はい、何人かわからない人がいるんです・・・・こんな状況で連絡もうまくいかないのでどこかで助かっているかもしれないんですがそれも確認できないんで・・・・」
そんな話を2人が話していると雨が降ってくる。
「雨だ助かった! これで火が消えれば! 」
そんな事を言っていたアイだが異変に気付く。
「あれ? 傷が消えていく?」
雨を受けて喜んでいたアイだが走り回り人を助けるために付けた細かい傷がきれいに治っていくことに気づく。
そんな不思議そうにしているアイにヒカリが話しかける。
「この雨はきっと緑様が降らせているのでしょう。見てごらんなさい空には雲が見えません」
そう言われてアイが見上げると周りに大きな光がないため満天の星空が広がっている。
その星空をみて落ち着きを取り戻したアイが避難した人たちが集まっている場所があるので一度そこに行こうと提案し、アイとヒカリは避難場所に向かうのであった。
アイとヒカリが避難場所に着くとすぐさま冒険者が集まり行方不明者がいないか確認するすると小さな男の子が行く不明だと発覚する。
アイ達が話し合いいくつかのグループに分かれ男の子を探す算段をしていると空から咆哮が聞こえる。それは、何匹か見た飛竜のなかでも一番大きなものが避難所に向かってきたのであった。
アイ達冒険者や避難所にいた人々がその飛竜をみて絶望に染まる中ヒカリが戦闘態勢を取る。そこに緑がやってくる。
「ヒカリ! 町の中の建物に男の子が1人いたのを救出した! 髪で町中探索したからもう誰も居ないから大丈夫思いっきりやっちゃえ!」
それを聞いてヒカリが飛び立つヒカリは飛竜の目の高さまで上昇すると飛竜に向かって叫ぶ。
「さぁ! 始めましょうか! 飛竜の力見せてもらいましょう!」
緑達や町の人々の前で1人と1匹の戦いが始まる。
周りの人々は驚きでその戦いから目が離せなかった。なぜなら、身長170㎝ほどのヒカリが体長10m近くある飛竜と互角の戦いをしていたからだ。
1人と1匹は空中で何度も交差する。飛竜はヒカリに向かって炎の玉を吐き出し攻撃する。それを交わしヒカリが風の魔法を飛竜に向かって撃つ。
しばらく1人と1匹の互角の戦いが続いたが突然にしてそれは終わる。
「兜が戦った龍種との話を聞きましたが飛竜では比べまでもなかったですね・・・・」
そう言ったヒカリが突如として姿を消す。飛竜も今まで戦っていたヒカリの姿を見失い焦るがすぐにとてつもない衝撃を受け地面に落ちる。
ヒカリが起こしたソニックブームを受け飛竜は地面に墜落する。その地面に落ちた飛竜に向かいヒカリが魔法を放つ、今までとは違い大量の魔力が練られた風魔法で一刀のもとに飛竜の首を落とすのであった。
ズーン
飛竜が首を落とされ倒れる。
「こんなものですか・・・・」
誰にも聞こえない大きさでヒカリが呟く。
「やったぞ!」「あの姉ちゃんすげー!」「助かった~」
人々は飛竜の首が落ちるのを見て歓喜の声を上げる。しばらくそんな歓喜の声が上がり続ける。その歓喜をさえぎり緑が街の人々に声をかける。
「誰かケガをしている人はいませんか?ケガをした人が居たらこちらに来てくださいどんな小さな傷でも大丈夫です!」
緑がそう言うと逃げる途中でケガをした人や燃えた建物から逃げる際に火傷をした人々が緑の方に集まって来る。
「じゃあ皆さん集まってください!」
緑がそう言い人が集まると緑が回復の実を配っていく。それを食べた人々が驚きの声を上げる。
「すごい体中の傷が治っていく。ありがとうございます!」「火傷の後が残るかと思ったけど綺麗に治ったわ」「ありがとう! うちの子のケガがきれいに治ったよ!」
口々に驚きの声を上げその後、緑に感謝を伝えていく。
「さぁ後は街を治していくか・・・・とその前に他の飛竜はどうなったかな?」
緑が他の飛竜の状況がどうなったかと思っているとヒカリが緑の元にやって来て他の飛竜は全て子供たが仕留めたことを伝える、それを聞いた緑は安心して頷くのであった。
その後緑は子供達が仕留めた飛竜をアイテムボックスに収納していく。ダンジョンに運ばなかったのは飛竜の素材は何が使えるか分からないからであった。
緑は回収した飛竜の1匹を解体し始める。
これから街を修復するにしても本来夕食を食べる時間に襲われたため街の多くの人が空腹だと思い先に皆で食事をしようと考えるのであった。
緑が夕食の準備を始めようとしていたころアイ以外の【遠くを見る者】のメンバーも街に到着するのであった。
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