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45話 ミドリムシの特別な子供
しおりを挟む緑が街道から少し離れた広場まで歩いていくのを星屑のメンバーとその他のイズルに雇われたチームのメンバーが後をついていく。
「おい! あやまるなら今のうちだぞ! 」「腕の一本も覚悟しろよ! 」「もう、おせぇよ! 」
緑のあとをついていく冒険者達は好き勝手暴言を吐きながら緑の後をついていく。
広場まで立ち止まると緑は振り返る。イズルに雇われている冒険者達の数は隊列の護衛をするだけあり200名近く居たがそのうちの150名ほどが緑を取り囲んでいる。
1人の冒険者に対して過剰と思える人数は、出会った当初からの態度でもわかるように素行の良くない冒険者達だったために一方的に緑が負けるのを見るために集まった者達もいた。
緑はここまで来れば街道を通る者にも迷惑を掛からないだろうと今まで抑えていた怒気を開放する。
「っひ」「あああ・・・」「や、やばい」「逃げるぞ! 」「これだけの数がいれば大丈夫だよな・・・・」
その怒気を感じた冒険者達は思わず浮足立つ。
「では、僕の家族を紹介しますね」
そう言って緑は大きな扉を自分の背後に出す。冒険者達が緑の背後に現れた扉を見て驚き騒ぎ始める。
「なんだあの扉は!? 」「でっけぇ扉が突然現れたぞ! 」「あのゴブリン男がだしのか!? 」
ギィィィィィ
普段音を立てない扉は緑の内心を現したのか重く響く音を立てて開いていく。その扉から見えた光景は子供達が扉の前に集まって来るものであった。
「「ぎゃあああああああ!! 」」
冒険者達はその光景をみてパニックを起こす。自分達が強い立場で人数の少ないチームをいたぶるような事を考えていた者達はいざ自分達が逆の立場になるとは夢にも思っていなかった。
そんなパニックになっている冒険者達に緑は尋ねる。
「腕の一本も覚悟されてるんですよね? 」
先ほど誰かが叫んだ言葉を聞き逃さなかった緑は尋ねる。
「「あああああ・・・・・・ 」」
冒険者達が絶望の声を上げる。そんな中声を上げるものがいた。
「俺達が悪かった許してくれ! 頼む何でもするから! 」
そういったのは【星屑】のメンバーであった。
その言葉を聞いた緑は考え尋ねる。
「なんでもするんですね? なら僕の子供達と戦ってもらいましょう。でも安心してください子供達で戦うのは3匹だけです」
「それでいいならこっちは大丈夫。だがもしこちらがあんたの子供殺した場合はどうなる? 」
「大丈夫ですもし殺したとしてもそのことに対して何かすることはありません」
「わかった、あんたの子供3体を出してくれ」
すると緑は3匹の子供呼ぶ。その3匹の子供見て冒険者達は話始める。
「なぁ、あれってホレストアント、キラービー、デッドマンティスだよな・・・・」
「ああ、それぞれよく見る大きさと色とは違うがあってるはずだ・・・・」
「しかし、3匹ともでけぇな・・・・」
冒険者達が話すのも無理はなく通常ホレストアントもキラービーもその大きさは30㎝程だが2匹は2m程もあるデッドマンティスも3m50㎝ほどで1mほど通常の種より大きい。
しかもその子供達は通常種とは別の色をしていた。ヒカリ、クウ、レイは子供達を定期的に生み出していたがその数が多くなるにつれて通常種とは違う亜種が少しづつ生まれるようになっていた。
その代表的な差が大きさや体の色が違うのであった。戦闘をする3匹の子供達でホレストアントの亜種の子供は頭部に真っ白なドクロの様な模様がついており暗闇でみたらドクロが浮いてるように見えると思われる。
また、キラービーは本来は黄色と黒の警戒職をしてるのだが通常種とはちがい黄色の部分が青色をしていた。
最後のデッドマンティスは自然界であまり目立ちにくいミドリ色をしているが全身真っ赤な色をしているのであった。
冒険者達は集まって話をするが体の大きさの事だけにしか目が行かず通常種との色の違いに意見を出すような者はいなかった。
緑の選んだ子供達に驚愕を覚えたのが緑の家族の蟲人達だった。
「なぁ、やっぱり大将かなり怒っているなよりによってあの3匹を選ぶなんて・・・・」
「あはははは♪ あの馬鹿な冒険者達はかわいそうなくらいボコボコにされちゃいますね♪ 」
「あの程度の者達が緑様を馬鹿にするんど言語道断、死に様な思いをすればいいのです」
「普段怒らない方が怒ると怖いものですな」
「あ~あ~ 後は、あの子達がやりすぎない事を祈るのみですね~ 」
5人は思い思い呟く。
「じゃあ3人共お願いね、まぁ殺さなければ僕が何とかするから思いっきりやっちゃって♪ 」
チキチキチキチキ
緑がそういうと3匹は喜び声を上げる。
緑が振り返る準備は良いか冒険者に聞くと、準備はできたと返事をする。
緑の子供3匹対冒険者150人の戦いが始まるのであった。
この時、イズルは冒険者達が先ほどあげた悲鳴を聞き、その声が聞こえた方向の正に今から戦う場所にむかっていた。
「さっきの大ぜいの悲鳴は何だったんだ。これほど走ってもやっとた冒険者達が一向に見当たらん、さっさとあのゴブリンもどきを痛めつければよいものを」
そう言って死地に向かうイズルであった。
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