緑の体だからゴブリン?花が咲いてるからドライアド?いいえ、超ミドリムシです!異世界で光合成して家族が増殖しました!

もう我慢できない

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38話 ミドリムシのダンジョンで家族が増える

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 ヒカリが山頂を目指し飛んでいると徐々にその山肌が白くなっていく。



 そんな中、山肌でも木が多く茂っている所に猿のモンスター達を発見する。上空からなぜ発見できたかというと木が生い茂っている中にポッカリ穴が開いた場所がありそこに生えている1本の木にモンスター達が群がっていたからであった。



 ヒカリは、その木に近づいていくと声が聞こえ始める。



「あんた達また来たわね! 私の実は上げないわよ! 」



 その言葉はその木の小さなドライアドが発していた。その言葉は気の強いものであったがヒカリが見ている間にみるみる弱弱しいものに変わっていった。



「うえ~ん! 最近やっと木から顕現できるようになったらこんな猿のモンスターに目を付けられるし、このまま結界を張り続けたらただの木に戻っちゃうよ~ 誰か助けて~! 」



 そんな声を聞いたヒカリは急降下し猿のモンスター達を子供達と一緒に討伐するのであった。



「ひぃ! でっかいキラービー! 私の実をあげるから殺さないで~ 」



「あなたの実も要りませんし殺しもしません。だから少し落ち着きなさい」



 困った顔をしながらヒカリはドライアドの子供に話かける。胡蝶の時もそうであったがヒカリは子供に弱かった、特に蟲人や虫のモンスター、ドライアドなどの子供には目が無かった。



 ドライアドが緑の波長と近いのかヒカリは最近顕現したばかりの子供のドライアドが可愛くて仕方がなくぜひ友達になりたいと考えていた。



 そんなヒカリはドライアドに尋ねる。



「あなた達ドライアドはみんな顕現して間もない時は小さな子供の姿をしてるの? 」



「うん、そうだよ! お姉さんたちもそっちのキラービー達も小さ時があったでしょ?」



 確かにとヒカリも頷く。ヒカリはそのまま警戒心を解こうと話しかける。



「私はこの山の山頂付近に生えてるという草を取りに来たのだけれどこんな草をみたことありますか?」



 そう言ってギルドで貰った採取目標の草の絵を見せると。



「これなら山頂まで行かなくてもすこし歩いたところに、たくさん生えてるよ」



「それならばそこまで、案内してもらってもいいですか?」



 ヒカリがそう言うとドライアドが案内し始める。







 そこからしばらく歩き目的の草が群生している場所に着く。



「これだけあればいけるよね?」



「確かにこんなに生えているなら全部刈り取らずに残しても結構な量が取れますね。これならダンジョンで育てる事が出来るかも・・・・」



 そうヒカリが言うとドライアドは悲しげな顔になり呟く。



「それじゃあ、帰っちゃうよね・・・・」



「どうしました?」



「私が顕現してから初めて喋ったお姉ちゃんにはここにずっといて欲しいと思って・・・・・」



「ここで一緒に暮らすことはできませんね。でもあなたが一緒に行くことはできますよ? 」



「無理だよお姉ちゃん・・・・私の本体はあの木だもの・・・・お姉ちゃん達でもはこべないよぉ」



「もし運べたとして、貴方は周りの環境が変わっても大丈夫ですか? 」



 下を向いていたドライアドは顔あげてヒカリに答える。



「全然雨の降らないとこでなければ大丈夫だけど・・・・ここより温かいなら天国だしでも・・・・やっぱりいけなよ・・・・ 」



 2人はそんな会話をしながら本体の木の元に戻り、ヒカリはダンジョンの扉を開ける。



 ダンジョンに入るとヒカリとクウの子供達が集まって来る。ヒカリはクウの子供達にお願いをして土魔法でドライアドの本体をダンジョンの中に運ぶのであった。





 ダンジョンに入ったドライアドは騒ぎ始める。



「すごーい! ここは温かいし土も元気にあふれてる! 周りの木の子達も顕現してないだけで直ぐにでも顕現できそうだよ! 」



 そう、言ってドライアドが駆け回って戻ってくると不意に叫ぶ。



「みんな出ておいで! 」



 ドライアドがそう言った瞬間、大量のドライアドが顕現するのであった。







 「「できた~! 」」



 大量に出てきたドライアド達は顕現できたことに喜ぶ。そんなドライアド達を見ながらヒカリは考える。



「さて、大量に住人が増えてしまいましたがどうしましょう・・・・。まぁ、緑様なら怒る事などありませんが・・・・むしろ喜ぶ?」



 ダンジョンの家族が増える事を考えるヒカリであったが何も問題ないと結論づける。



 その後、ダンジョンのドライアド達はヒカリやクウの子供達と一緒になって大騒ぎをするのであった。









「おいし~」「おいち~」「うまい」



 ヒカリはドライアド達に緑の蜂蜜入りの紅茶を配っていた。



「スノーお味はどうですか? 」



 ヒカリは連れてきたドライアドにスノーと名付けていた。これはスノーを連れてきた山の山頂付近が雪で覆われていたためであった。



「すごくおいし~! お姉さんに助けられて良かったよ♪ 元気な土に温かい空気、美味しい水ここはまさにドライアドの天国だよ♪ 」



「それは良かった・・・・」



 そう呟きヒカリはニコリと笑うのであった。







 その後、ヒカリが帰ってきた緑にスノーの事を話すと緑は、1人猿のモンスターの襲われていたところで涙ぐみ連れ帰って来て、ここは天国と言っていた部分で号泣する。



 緑は泣き笑いしながらヒカリとスノーを抱きしめて頭を撫でるのであった。



 ヒカリはその時心の中で思っていた。頭を撫でるだけでなく、撫でられるのもいいものだと。



 依頼から帰ってきたクウ、兜、レイ、ファントムはダンジョンの中に増えていたドライアドに驚きつつ親睦の輪を広げるのであった。



「紳士のおじ様はいないのですね・・・・やはり私の心のよりどころはファントムさんだけですね・・・・」



 そう言って少し残念そうなレイは子供紳士のファントムに頬づりをしながら呟いているのであった。







 後日、大量のドライアドの中に紳士の様に話す男の子を発見し喜びに舞うレイがダンジョンの中で見られるのであった。

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