8 / 178
8話 ミドリムシは家族が増える
しおりを挟むシャークの妻の回復祝いにギルドで大騒ぎをした数日後、改めてアラン達と話し合った緑とヒカリはダンジョンにもぐるのに2日ほど準備期間を設けられた。
この期間に自分達で一度ダンジョンに潜る準備をするように言われたために朝から緑達は食事の買い出をしていた。
「緑様このあたりで食事の準備はいいかと思います」
「ああ、そうだね」
食事を大量に買い込んでいた緑達は1度街を出て緑がこの世界に来た初めての場所まで来ていた。
「ありがとうヒカリここまで運んでくれて。重くなかった?」
「はい、今の私は緑様を運びながら飛ぶことに消耗などしません」
この湖から歩いて街までいった緑は数時間の時間を費やしたが、ヒカリに運ばれて来てみればわずか数十分で着くことができた。
「緑様これから超光合成をされるんですね」
「うん、ダンジョンで不測の事態に陥っても大丈夫な様に少しエネルギーを貯めていこうかと思ってね。ヒカリはどうする?僕はしばらく湖につかることになりそうだけど……」
「そうですね、私はこの前生み出した5匹の子供達を連れて狩りに行こうかと思います」
「わかった、行っといで。ただ、知らない人とは争わないですね。最悪ギルド証をみせてもいいし。あ、でも盗賊なんかは、捕まえてしまってもいいからね」
「わかりました、それでは行ってきます」
緑はそのまま湖につかりながら時間を潰すのであった。
ヒカリは林の中をギルドのホールでの騒ぎの時に生み出した5匹のキラービーと共に飛び交い、その際に見つけた魔物を腕試しとし討伐していた。
魔物から核となる魔石を取り出す事をわすれないヒカリが処理をしていたところ騒ぎをを聞きつける。
それは、モンスター同士のいざこざでどうやら弱いモンスターが他のモンスターに追われているようであった。
ヒカリは全てのモンスターを討伐しようと騒いでいるモンスターが走っているの真上まで飛び狙いを定めた所で考えを変えた。
なぜなら先頭で走って逃げているモンスターがアリのモンスターだったためであった。
「あれは、幼い女王ですね……」
ヒカリが呟き子供たちに命令をくだす。
「子供達よ後ろのモンスターは貴方たちで始末なさい」
そう言って、子供達に命令をしたヒカリは必死で逃げているアリのモンスターの前に回り込むのであった。
アリは自分の前に回り込んできたヒカリをみて恐怖に怯える。そんな様子を感じ取ったヒカリはアリにむかって語り掛ける。
「貴方は強くなりたいですか?もし、強くなりたいと思うなら私についてきなさい」
そんなやり取りをした後、1人と1匹は湖に向かうのであった。
「やあおかえり」
緑は湖に近づく気配を感じ振り向く。そこにいたヒカリたちを見て挨拶を交わす。
「その子はどうしたの?」
「他のモンスターに追われている所を助けつれてきました」
「どうか、このものにも私と同じように緑様の恵みを与えてやれないでしょうか?」
「それはいいけど、その子は了承しているの?無理やりはだめだよ」
「はい、大丈夫です。先ほど確認したところ力が欲しいと」
「それは、大丈夫じゃなくない?僕の友達になってくれないと」
「それは、私と同じで大丈夫です」
「その子に確認してないけど言い切ったね。とりあえず君はそれでいいのかな?」
【はい、お願いします】
「よし、それでは僕の蜂蜜をお飲み」
緑は以前のヒカリの時とは違い少し、ふざけながら某愛と勇気のお友達のセリフのように蜂蜜をすすめるのであった。
アリが緑の蜂蜜を飲むとヒカリの時と同じように光が辺りを包んだ。
【おいしいぃぃぃぃぃぃぃ】
光が収まるとそこには中学生くらいの触覚と羽を生やした黒髪の女の子がたっていた。緑は素早く服を作るとヒカリに服を着させるように言う。
「緑様、着せおわりました」
「どう着心地は大丈夫?」
「はい♪緑さん私もヒカリさんと同じようにお友達にしください!」
「貴方はもっと緑様を敬って話しなさい」
砕けた口調の元アリにヒカリが注意する。しかし、緑がそれに口をはさむ。
「ヒカリもっと君は砕けた喋り方になって欲しいな。会ったとき僕は友達になって欲しいと言ったけど今はもう家族だと思っているんだよ」
その言葉をきいたヒカリは真っ赤になりながら頷くのであった。そんな様子をみていた緑は黒髪の少女に向き直り尋ねる。
「それじゃ君にも名前を付けたいけどいいかな?」
「緑さんお願いします♪」
「じゃあ今から君の名前はクウにしよう」
「クウですね♪ 改めてよろしくお願いします!」
「じゃあそろそろ街に戻ろうか」
そんな会話の後、どちらが緑を運ぶかで揉めるのだが先輩のヒカリに運ばれることになった。心の中で緑は一番小さいクウに運ばれるのを他の誰かに見られたくないと思っていたからであった。
街に戻るときに入口でクウの件で揉めるがあっさりカールが出てきて事なきを得る。
街に入り宿まで戻るまでの道のりでクウのダンジョン用の食事やランプなど他に必要そうなものをを買い込む。
それが終わるとそのままギルドでクウの登録をし、ヒカリの集めた魔石を買い取ってもらうのであった。
宿に戻って部屋を変えてもらおうとしたところ、クウが小さいので2.5人分の金額でいいといわれたので甘えることになった。
しかし、ベットの問題が発生し一番大きな緑が1人で寝むり、ヒカリとクウが2人で寝る事に決まったのであった。
よく朝再び湖まで行き緑は超光合成をし、ヒカリとクウは狩りをし魔石を集めるのであった。
さらにその翌日、アラン達との約束の日の朝早く街の城壁の外の馬車の乗り場で緑達はアラン達を探す。
やはり慣れているアラン達が緑達を先に見つけるが、見つけた瞬間顔を引きつらせのであった。
そんな様子に気付かず緑達が近づき挨拶を交わす。
「おはようございます!」
「「おはよう(っす)」」
「とりあえず2ついいか?」
代表してアランが緑に尋ねる。
「お前たち手ぶらか?そして、その子は新しい仲間か?」
「新しい家族のクウです♪よろしくお願いします!」
「「よろしく(っす)」」
「まぁひとまず、その子は置いといて荷物が無いのはなんでだ?」
「ほら僕アイテムボックスがあるじゃないですか?」
「あ、確かにもってると言っていたがどの程度の大きさなんだ?」
「え?大きさですか?」
この後、緑のアイテムボックスの事を詳しく聞いたアラン達は絶句する。
「時間が進まない上に大きさがわからないとは……」
「リーダーはこれは一から練り直さなあかんのちゃう?」
「確かにそうだな……」
「とりあえず今回はダンジョンに潜って見るだけにしてはどうでしょうか?そこで必要な物などがわかると思います」
セリアとクリスがアランに提案する。
「まぁ、今回は俺の方にも落ち度があった。悪いな緑」
「いえ、僕の方こそ何の相談もせず、すいません」
「まぁ気を取り直し出発するぞ」
緑とアラン達はダンジョンに向かう馬車に乗り込む。距離を聞くと、ここ2日ほどかよっていた湖までの距離と変わらないことがわかり、緑はヒカリかクウに運んでもらえば直ぐだなと1人考えるのであった。
数時間後、ダンジョンの前につく。そこには、入口を管理するギルドの建物やダンジョンに必要なものが売られている商店や宿屋があった。
「アランさんここは城壁などがありませんがモンスターの心配はないんでしょうか?」
「ここには大量の冒険者がいるし周りに出るモンスターはそれこそ駆け出しでも単体なら狩れる弱いものばかりだ、ほとんど野生動物とかわらん」
「そうなんですね。そういえばダンジョンに入るのに必要な物はここで買えばよかったんではないですか?」
「確かにここには必要なものがそろっているがやはり値段が高くなっている。まぁ、すぐにダンジョンに入れる場所にあるから食べ物だけはここで少し買ったりするが……。まぁ緑には関係ないかもしれないが……」
「確かにここで買えば少しは保存が効きそうですね」
「まぁ、話してても時間がもったいない、とにかく入るぞ」
「わかりました!」
緑達とアラン達は初めてチームでダンジョンに入るのであった
0
お気に入りに追加
91
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)
音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。
魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。
だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。
見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。
「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で最強に・・・(旧:学園最強に・・・)
こたろう文庫
ファンタジー
カクヨムにて日間・週間共に総合ランキング1位!
死神が間違えたせいで俺は死んだらしい。俺にそう説明する神は何かと俺をイラつかせる。異世界に転生させるからスキルを選ぶように言われたので、神にイラついていた俺は1回しか使えない強奪スキルを神相手に使ってやった。
閑散とした村に子供として転生した為、強奪したスキルのチート度合いがわからず、学校に入学後も無自覚のまま周りを振り回す僕の話
2作目になります。
まだ読まれてない方はこちらもよろしくおねがいします。
「クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される」
錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。
いいたか
ファンタジー
小説家になろうにて130万PVを達成!
この世界『アレスディア』には天職と呼ばれる物がある。
戦闘に秀でていて他を寄せ付けない程の力を持つ剣士や戦士などの戦闘系の天職や、鑑定士や聖女など様々な助けを担ってくれる補助系の天職、様々な天職の中にはこの『アストレア王国』をはじめ、いくつもの国では不遇とされ虐げられてきた鍛冶師や錬金術師などと言った生産系天職がある。
これは、そんな『アストレア王国』で不遇な天職を賜ってしまった違う世界『地球』の前世の記憶を蘇らせてしまった一人の少年の物語である。
彼の行く先は天国か?それとも...?
誤字報告は訂正後削除させていただきます。ありがとうございます。
小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで連載中!
現在アルファポリス版は5話まで改稿中です。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる