不自由と快楽の狭間で

Anthony-Blue

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89.独りよがり

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「じゃあ、湯船に浸かってて」

 泡をシャワーで流されたボクは、流れ作業を見ているかのようの浴槽に入れられた。洗い場では、明美が自分のカラダを洗い出していた。泡を纏ったスポンジが、首から肩へ、そして胸へと移動していく。ボディーソープの泡の白さと、妊婦特有の茶色に色を変えた乳首の対照的なコントラストをボクはぼんやりと眺めていた。明美の手が、張り出したお腹に差し掛かる。大事なものでも洗うかのように、ゆっくりと円を描きながら泡に覆われてゆく。床にポトポトと、泡の固まりを落としながら下腹部へと進んでゆく。足を少し開き、視線を邪魔なお腹からそらして斜め横から見るように、スポンジを股の奥の突っ込んで洗っている。スポンジを持たない手で、割れ目に沿って指を動かし特別丁寧に洗っていた。

「熱心に見てるけど、女の子がカラダ洗ってるところあんまり観たことないの」

「まぁ、それもありますけど、大きなお腹で大変そうだねって思って」

 あまり経験が多くないと思わせたので、ここでもなんとなく口裏を合わせることになってしまった。

「わたしのお腹って、比較的小さいんだけどね。ほんとに大きい人は、自分で動くだけでも大変そうだもの」

「そうですよね」

「わたしは、キミを介護してお風呂に入れたり出来るんだから」

 なるほど、それが言いたかったのだと改めて思った。

「もう、わたしのカラダは見られたでしょ。そろそろ、上がろうか」

 自分のカラダを、シャワーで流しながらボクに言った。脱衣所の出してあった車椅子を持ってきて、ボクを引き上げ移乗させた後、明美は言った。

「わたしは、湯船に浸かって温まっていくからベッドで待ってて」

 バスタオルが敷かれた車椅子で、ベッドサイドに移動して明美を待った。

「おまたせ」

 暇つぶしにスマホを見ていたボクに、声がかかる。

「さあ、やることやっちゃおうか」

「はあ」

「ベッドに上がろうね」

 明美は、ボクの脇に腕を入れてベッドに移した。

「じゃあ」

 カラダに巻いていたバスタオルを取り、ボクの足の方に周り膝を立たせて、カラダを割り込ます。まだ、通常状態のままのペニスを手に取り上下にしごき始めた。

「元気ないね」

「突然触られても」

「早く、勃ってよ」

「そんなことを言われても。じゃあ、ボクも触ってもいいですか?」

「今はダメ。集中してるんだから。そのかわりお口でしてあげるから」

 明美は、反応しないペニスに顔を近づけて口に咥えた。口の中で舌を使いボクのペニスを弄ぶ。 気持ちいいはずなのに、どこか白けたような気がしてペニスは起きようとしない。なかなか反応が返ってこないことにイラついたのか、明美は口からペニスを吐き出して手でしごき始めた。

「なんで勃ってくれないのよ。役立たずなの」

 ペニスをしごいている手のスピードを上げて、ボクを睨みつけた。

「ダラダラしてる時間がもったいないんだから」

 明美は、もう一度ペニスに吸いついた。根元を手でしごき玉袋を愛撫した。普段とは違った責められ方に、ボクも少しずつ快感を覚えてペニスも硬くなり始めた。

「もう、やっと大きくなってきた」

 少し手荒な扱いにも慣れてきて、ボクのペニスも大きく硬くなってしまった。

「そろそろ入れるね」

 明美は上体を起こし、大きなお腹を突き出すようにボクの上に跨がった。
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