不自由と快楽の狭間で

Anthony-Blue

文字の大きさ
上 下
79 / 119

79.約束

しおりを挟む
 咲恵の衝撃的な提案を受けて、ボクは戸惑いを隠せないでいた。確かに、萌と出会ってあの刺激的な交わりを味わってしまったことで、性に対しての欲求が強くなったのかもしれない。頭の中で「セックス依存」のワードがちらつく。ボクの変化に気づいたからこそ、咲恵はあんなことを提案してきたのだろう。自分がいない間に萌が必ず戻ってくると予見した咲恵は、セックスに溺れてしまいそうなボクを危惧しているのだろう。



 咲恵に対して、強引とも言えるセックスをしようとした後、ボク達は淡々と家の中のことを片付けていった。カラダが疲れたというより精神が疲れた気がして、夕食は近くの定食屋で済ませた。帰りにコンビニで、缶ビールを買って帰宅して、咲恵と二人でグラスを傾けた。

「あんまり、飲んで酔っ払わないでくださいね。お風呂も入らないといけないし」

 一缶をふたつのグラスに注いで、後は冷蔵庫に入れながら咲恵が言った。 

「わかってますよ」

「わたし、明日には帰らなくてはいけないんですからね。今夜が最後なんですよ」

「わかってますって」

「昨夜みたいに、二人とも途中で寝ちゃうなんて最低ですからね」

「ちゃんとします」

「ふふふ、なんかいろいろな意味に取れるお返事ですね」

「期待には応える所存です」

「わたしが、なにかおねだりしてるみたいじゃないですか」

「違うんですか?」

「おねだりはしますが、これは瑞樹さんとわたしのためなのです」

「ん?」

「わたしの匂いを瑞樹さんに付けておかないといけないからです」

「しっかり付けて帰ってください」

 ボク達は、軽口を叩きながら、グラスのビールを飲み干してお風呂に入った。

「咲恵さん、お昼に言った提案は本当にいいんですか」

 狭い浴槽に向かい合って二人で浸かり、お湯の中に揺れる咲恵の乳房をまさぐりながらボクは聞いた。

「もちろん本気ですよ。ちゃんと条件を守ってもらえるなら」

 咲恵も、ボクの少し硬くなり始めてるペニスを握りながら言った。

「そんなことをして、ボクを甘やかしすぎではないですか」

「わたしが、こっちに帰ってくるまでの間だけですよ。その間の瑞樹さんの排泄を許すだけです」

「排泄ですか」

「そうです。ここに溜まったモノを、ただ吐き出して流すだけの排泄ですよ」

 咲恵はそう言うと、ボクのペニスをぎゅっと強く握った。

「わかりましたから、そんなに責めないでください」

「ちゃんと刻み込んでおかないと、瑞樹さんはすぐ見忘れてしまいそうだから」

「忘れませんよ。咲恵さんはこわいですから」

 許しを請うように、咲恵に抱きついて口づけをしようとすると、ボクの口を手で塞いで言った。「いいですか。萌さんが戻ってきても、絶対にエッチはしたらダメですからね。これが、絶対条件です」

「わかりました。萌が戻ってきたら、咲恵さんにすぐ連絡します。そうしたら、帰ってきてくれるんでしょ」

 ボクは、咲恵のカラダを引き寄せて、口づけをねだった。

「約束ですからね。約束を破ったらお仕置きをします。それと、女の子の勘を見くびるとひどい目に遭いますよ」

「はいはい」

 ボクは、咲恵を抱きしめて耳元で返事をした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...