不自由と快楽の狭間で

Anthony-Blue

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60.無駄な抵抗

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「おーい。そこはボクのベッドだから、だめなんだよぉ」

 寝たふりだろうと思い、萌の背中に声を掛ける。

「うーん。うるさいなぁ」

「萌の寝る部屋を片付けないと、今夜寝られないよ。それと、洗濯するから萌も洗うもの出してよ」

「うーん。紙袋に突っ込んでる下着を洗って」

 萌は、後ろ向きに手を振っている。

「ボクが、袋を漁って出してもいいの、下着」

「昨日、恥ずかしいところもいっぱい見せてるから、今さら気にしないよ」

「そこは、恥じらいを持った方がいいと思うよ」

 それを聞いて萌は、急に起き上がりあわてて服を脱ぎだした。見る見る間に下着姿になり、ブラもパンツも脱いで、産まれたままの姿になった。

「これも、洗ってください」

 無雑作に丸められた下着を、ボクに手渡した。

「着替えは?」

「今は、いいや」

 萌は、全裸のままボクのベッドに再び潜り込んだ。

「もぉー」

 ボクは、諦めて受け取った生脱ぎの下着を膝の上に置いて車椅子を移動させた。ほのかに立ち上る匂いに気がつく。汗臭いのでもなくて、昨夜嗅いだ萌の香りだとわかった。フェロモンの匂いに、ボクの股間は反応して硬くなっている自分に嫌悪した。

 萌がうちに来たその日、結局は部屋は片付かないまま時間が過ぎていった。萌も手伝って、夕食を作り、食事を終え片付けが終わった頃には21時を回っていた。

「萌、先にお風呂に入っていいよ」

「瑞樹は?」

「萌が上がってから入るよ」

「えー、一緒に入ろうよ」

「ダメだよ。ボクは男なんだよ」

 納得のいかないような顔をした萌は、少し考えたあとひらめいたかのように言った。

「お風呂の介助ならいいんでしょ?ちゃんと洗ってあげるし、その方が楽でしょ。節約にもなるし」

「いや、いつも一人で入ってるし。入れるようになってるから」

 拒絶したように想ったのかもしれない萌は、語気を強めてボクに食い下がった。

「わたしが一緒にいるんだから、そのくらいさせてくれたっていいじゃない。そのくらいしか出来ないんだし」

 一度言い出したら、言うことを聞かないのは、昨夜のことでわかっている。仕方ないので萌の提案を聞くことにした。萌は、機嫌を取り戻して笑顔で言った。

「今日は、お天気が良くて、洗濯物乾いたから良かったね」

 夕方、取り入れて二人で畳んだ洗濯物の中から、萌は下着とタオルを選んで風呂場に行く。当たり前のようにボクに服を脱がして、自分も裸になった。

 バリアフリー仕様の風呂は、床が車椅子の座面と同じくらいの高さになっており、萌はボクを少しだけ抱き上げてお尻をバスマットの上に移した。裸の萌の乳房がボクの胸と重なる。視覚だけの刺激でも、目の前にある萌の体は十分に魅力的だ。形が良く張りのある乳房。白い肌に引き締まったウエスト。それに反するように張り出したヒップ。ボクは、なるべく別なことを頭で考えて、下半身の反応を抑えようとした。

「洗ってあげるね」

 萌は、自分の体にボディーソープをつけてボクに密着させてきた。

「その洗い方は・・・そこにスポンジがあるのに」

「いいじゃん、別に。この方が気持ちいいでしょ」

 ボクの背中に、萌の乳房を感じながら、手を伸ばして胸を洗っていた。手を泡だらけにしながら、からだ全体を洗ってくれている。

「じゃあ、ここもね」

 前に回った萌は、ボクの股間に手を突っ込んでペニスをつかんだ。
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