不自由と快楽の狭間で

Anthony-Blue

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47.濡れた指

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 ボクの指は、まるで吸い付かれているかのように、萌のカラダでうごめいていた。湧き出す泉のように、萌のふたつの穴からは大量の愛液が溢れ出して、シーツに大きなシミを描いている。

「瑞樹、気持ちいいよぉ。してもらいたい人にしてもらうと、こんなに気持ちいいんだね」

 カラダを小刻みに震わせながら、萌は振り返りボクの唇を求めて来た。

「わたし、ちゃんとキスしたこと無いんだ。だから、瑞樹、キスしてよ」

「今まで大事にしてきたなら、大切な人が出来るまで撮っておいた方がいいよ」

「わたしにとって、今が一番大事なの。今日という大切な日に大切な人にキスをあげるの。瑞樹じゃダメなの」

 あまりにも純粋すぎる言葉に、ボクは戸惑ってしまう。先ほどは、卑猥なことを平然と言い放ったかと思えば、乙女で純粋な言葉を漏らす、そんな萌に複雑な想いを抱いてしまう。細い時の橋を、ギリギリの精神で渡ってきたのだろうと思うと心が痛む。ボクの前に差し出された、細い指の手を振る払うことなんて出来ないだろう。しかし、安易に救ってやると言ってしまうにはハードルが高すぎる。

「ボクは、なにも出来ないかもしれないよ。キミのために」

「いいのよ。わたしは、崖の上から見えない海に飛びこんだの。その海が、わたしにとってどんな海になのかわからない。でも、飛び込むことだけを希望に生きてきたんだわ。だから、おねがい。今はわたしとキスして欲しいの」

 萌は、ゆっくりと瞳を閉じる。ボクは、萌の唇に唇を重ねる。

「ありがとう」

 瞳を再び開き、萌のカラダに突き立てられていたままのボクの手を取って、激しく動かし始めた。

「はぁー」

 さっきキスをした可憐な唇からは、想像出来ないほどの淫靡な吐息が聞こえてきた。

「うっうっ」

 愛液でベトベトになったボクの手を取り、激しく動かし続けている萌は、小刻みに痙攣してまたボクの胸を揺らしていた。突然、萌の足先がピーンと突っ張って、それが全身へと伝わって、大きくガクガクと震えた。

「あーっ、逝っちゃった。なにこれ、頭が真っ白になっちゃった」

 太ももの痙攣が止まらないままの萌は、完全にカラダをボクに預けて、もう一度キスをしてとせがむような仕草をした。

「甘えん坊さんだね」

「いいじゃん」

 もう、ボクの膝の上で仰向けになっていた体を起こして、キスをしてきた。

「しあわせって、こんな感じなのかな?」

「しあわせ?」

「うん、しあわせ」

「どうかなぁ。萌にとっては、これが安心出来てる空間なのは確かじゃないかな」 

「そうだね。嫌なヤツらはいないし。穏やかに時間が、流れるこの雰囲気好き。瑞樹もいるし、瑞樹のおちんちんもあるしね」

「それは、なくてもいいかも」

「えー、これは大事だと思うよ。瑞樹とエッチ出来なくなるなんてイヤだ」

 萌はカラダをずらして、ボクのペニスを握る。

「今夜は、寝るのがもったいないから、ずーっとやっていようね」

「その前に、お風呂に入らないとね」

「そうだった」

 萌は、自分で濡らしたシーツのシミを跨いで立ち上がった。

「さあ、行こうね。わたしの首に腕を回してね」

 そう言って、ボクと向かい合わせになり抱き合う格好でボクを抱え上げた。ブラジャー越しの萌の乳房が、ボクの胸に当たる。

「まだ、ブラをつけたままだったね」

「見たいの?わたしのおっぱい」

「うーん」

「なによ、それ」

「お風呂に入るんだから、どうせ見られるし」

「なんか、わたしのおっぱいに魅力が無いみたいに言わないでよ。いいわよ。わたしの味わってよ」

 ボクを車椅子に降ろした萌は、後ろ手にブラのホックを外して胸を押さえた。肩紐を外して、大事そうにブラを畳んで、ボクに乳房を押しつけた。

「舐めて」

「う、うん」

 カラダは細いのに大きめの乳房が、ボクの目の前にある。ピンク色の乳首に舌を這わす。

「どう?なんの味がする」

「えっとぉ、塩味かな」

「わっ、ごめん。わたし汗をかいてたから」

「うそ、萌の味がするかな」

「ふふっ。じゃあ、もっと味わって」

 両方の乳房を持ち上げて、交互にボクに舐めさせた。

「はい、あとはお風呂でね。もう乳首が立ってきちゃった。また、逝っちゃったら瑞樹を抱えてあげられなくなっちゃうからね」

 萌は、車椅子を押しながらそう言った。
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