冷酷組長の狂愛

さてぃー

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瀧さんの部屋を出てすぐは誰も人がいなかったが、少し進むと人が増えてきた

どの人も瀧さんに道を譲り頭を下げているから目が合わないけど、びっくりしているのがよく分かる


、、何でそんなに驚いた顔してるんだ?
やっぱりこのスウェットか!?
思わず顔がまた赤くなりそうだったので別のことに気を逸らす

そういえばこの屋敷ってどれだけの広さがあるんだろう

こうして結構歩いても目的地に全くつかないんだけど、、、

庭も綺麗だし手入れが隅々まで行き届いている


前に挨拶に来た時は屋敷を見るどころか迷子になっていたので、こうしてじっくり見れるのは嬉しい。

今度、探検でもしてみようか、、、


俺がキョロキョロとし出したのを見て、


「瑞稀、あまり他を見るな」

「、っえ?」


そう言ったっきり瀧さんは少し眉間に皺を寄せて無言でスタスタ廊下を歩く


、、、俺、なんか怒らせるようなことしたか?
抱っこの状態でキョロキョロしたのがダメだったのか、、?

不安に心が押しつぶされそうになる

また、怒らせたらどうしよう、、、

だんだん不安が増していき、目に涙が溢れるのが自分でも分かる


前までなら、こんなことぐらいじゃ全く動揺なんてしなかったのに、、


瀧さんの行動一つでこんなにも不安になってしまう


瀧さんと出会ってから涙腺が崩壊気味だ、、、


瀧さんに目線を合わせようとするも、こちらに目線が向く様子もなくじっと涙がこぼれないように我慢する



2人で無言のままでいると、遠くから声が聞こえた


「瀧!」


その声に顔を向けると、獅童さんがこちらに向かってきていた



この沈黙の気まずいなか、獅童さんに会えてすごい安心してしまった

体に入っていた力も抜け落ち着いていくのが自分でも分かる



「恭平、、、、」


瀧さんが獅童さんの名前をボソリと呟く


そうこうしているうちに獅童さんが目の前までやってきて瀧さんに話しかける


「瀧坊、その様子だと一応気持ちは打ち明けたみたいだな」


そう言って、ニヤリと笑う獅童さんに対し瀧さんは気まずそうにフイッと視線を逸らす


そして獅童さんは俺に視線を向け、

「瑞稀、怖いことはないか?
てか、何で涙が溢れてるんだ?」


その言葉で瀧さんの視線がこちらに向く

そうなのだ。獅童さんに会って、緊張が抜けたのかホッとして目に溜まっていた涙がツーッと流れてしまっていたのだ


「あ、っヒッグ、あの、、おれ、、グズ」

一度出ると自分の意思とは関係なく次々と涙が流れ落ちてくる

すぐに手で拭おうとするも誰かに止められる


「あー、ほらほら、手でそんなに強く擦るな
どうした?なにか不安なことでもあったか?」


「ヒグッおれ、、わ、わかんなくて、、グズ」


「ほら、ゆっくりでいいから話してみろ」


獅童さんに頭を撫でられながら少し落ち着かせようと試みる


「急に、、瀧さん、、グズ、怖くなって、、、」

「ん?瀧坊?」


獅童さんが瀧さんの顔を見ると、すぐに原因が分かったのか呆れた視線を瀧さんに向ける


「おい、瀧坊、、、お前理人よりやばいんじゃないか?」


「、、、、」


気まずそうに瀧さんは俺に視線をやり、目元付近に手を近づける


「瑞稀、泣くな。お前が泣いたらどうしていいかわからない、、」


溢れる涙を手で拭いながら瀧さんは悲しそうに顔を歪める


「うわ、、瀧坊が理人みたいだ、、
やっぱり親子って似るんだな」


そう言って、獅童さんは若干引き気味の表情を瀧さんに向け、俺には同情的な視線を向けてきた


「、、?」


「瑞稀、心配しなくていい。
瀧坊が気にしてたのはお前の関心が他に向いてたことと、他のやつにお前を見られたくないことだ」


「見られたくない??」


見られたくないってどうゆうことだ?
キョトンとした俺が面白かったのか少し笑いながら話を続けてくれる

その間も瀧さんは気まずそうにしている


「ようは、嫉妬だよ」


しっと、、、嫉妬、、、?


その言葉を理解した瞬間にボワッと顔が赤くなる




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