33 / 34
高等部編
33
しおりを挟む
「光輝、おはよう」
後ろから声をかけるとゆっくりと俺の方に顔を向ける
「おはよ、、」
あまりにもテンションが低すぎて苦笑いがもれる
「もしかして今日の特履の勉強?」
「うぅ、、、」
そう、光輝は特に財閥とかいうわけではなく、ご両親はごくごく普通のサラリーマンだ。
この学園には頭脳の特待生として入っているので今までこういった社交界には踏み入れたことがないのだろう
そんな光輝にとって今回のテストは拷問にも等しいだろう
何せ、何も知識のない状態からこの分厚い冊子を覚えて応用しなければならないのだ
慣れている俺でさえいまだに不安なのだ
そんな俺と光輝の所へ中等部生徒会仲間であり、光輝の主である響がやってきた
「瑠衣は余裕そうだな」
「まだ全ては覚えきれていませんが、光輝よりはこの世界に関わって長いので、、」
まだ高等部に入学して日も経っていないので響との会話に違和感が残る
油断するとすぐに敬語が外れそうになる
「そうだな。たしかに瑠衣はパーティーとか出てたもんな~。光輝がやばそうならこれからもフォロー頼む」
「はい、友達なので当然です」
「今回のテスト、詳細は聞いたのか?」
「少しだけですが、、。
どうやら筆記とかではなく対応力が求められるみたいです。なのでたとえ暗記できたとしてもそれが使えなければ意味がないというか、、」
「あ~、たしかにそれが一番あの世界で通用するからな。ならますます光輝は不利になるな、、」
「だめだ、、こんなの絶対無理だ、、」
絶望に立たされる主従を見て、俺はまだ幸運だったと思い知る
そのあと授業が始まったが、光輝は合間合間にずっと紙をチェックしてた
俺も他人事ではないが、ここまできてしまったものはしょうがない
やれることはやったので、あとは本番で今できる最大の力を発揮するだけだ
お仕置きはあると思うけど、そこは自分の実力がなかったと、反省し学び続けるしかないのだ
これができないと将来大変な目に遭う
社交に出始めたばかりの人が会話にならず孤立していったのを見ることがある
俺は兄様の後ろに付いて挨拶回りに行っていたのでそう言ったことにはならなかったが社交には社交なりの大変さがあるのだ
学生のうちからこういった機会をくれる事は滅多にない。
今のうちに失敗し学べば将来役に立つ
光輝もそのうちこの特履がすごく大切だと思い知ることになるだろう
エロ要素は別として、、、
そして午前中の授業があっという間に終わってしまった。
テストはもうすぐだ。
やっぱり緊張してきた
光輝もフラフラになりながら響と教室を出て行ってしまった
緋色様はもう仕事に行かれたので、俺は1人で準備をして寮の広間に向かう
そこには既にほとんどの従者が揃っていた。
あとはアインス様と舜さんだけのようだ
従者たちの顔色は分かりやすく、社交界に慣れていそうな人達は比較的余裕があるように見える
それと引き換えに特待生等が、学年関係なく顔色が悪い
周りを観察していると、ガチャっと扉が開き残りの2人が入ってくる
すぐに従者は全員アインス様の前に整列する
「さぁ、皆さん。今日は前に言っていた通りテストを行います。上級生は去年も同じテストをやったので覚えていると思いますが、新しく入った人もいるので説明します。まず私が相手側になります。そして私のことを後ろにあるスクリーンに映し出された著名人だと思ってください。実際に会話しながらどれだけ覚えているのか採点します。ここまでで質問はありますか?」
「アインス様、質問よろしいですか?」
「はい。どうぞ。」
「今回のテストでは相手に緋色様の従者として対応したらいいですか?それとも個人として対応したらよろしいのでしょうか?」
「そうでしたね。今回は個人で大丈夫です。いずれは従者としての対応を求めていくことになりますが今回は知識がどの程度あるかを把握できればいいので」
「わかりました。ありがとうございます。」
個人か。
個人ならこれまでも対応したことがあるから慣れてはいる
どこまでアインス様が踏み込んでくるかにもよるけど、、
「他に質問はありませんね?」
「「「「はい!」」」」
「では上級生から始めましょう。下級生には不利なので先に行う従者を参考にしてください。」
「「はい!」」
正直、テストの様子がわからなかったので助かる
横で光輝もほっとしているのがわかった
逆に上級生達は緊張に包まれているが、、
そしてどうやら1発目は舜さんのようだ。
他の従者は壁際に設置されている椅子に腰掛けていいようだ。
全員で移動し、舜さんとアインス様だけが中央に残る
「では始めます。まず画像の方の名前を答えてから始めましょう。」
アインス様はリモコンで操作し画像を切り替える
そこには紙にあった見覚えのある写真が映し出された。いろいろな角度が映し出され一部にはいつのパーティーかわからないが動画までついていた
めっちゃ本格的だ、、、
「舜、この人は誰ですか?」
舜さんは躊躇いなく答える
「その方は御堂俊介さまです」
「正解です。では実際に会話をしていきます。ここから私は御堂俊介になります」
「はい。」
そして御堂俊介様になりきるアインス様と舜さんの会話がはじまる
「本日はお会いできて光栄です。牧野様」
「御堂様、こちらこそお会いできて嬉しいです。」
「先日も記念式典にお越しいただきありがとうございます。我が社の商品、満喫していただけましたでしょうか?」
「はい、それはもう素晴らしかったです。あそこまで医療に特化した器具は見たことがありませんでした。特にこれまで人の手で行えなかった箇所も機械を操作し行えるようになったというのはとても驚きでした。」
「これで助かる命が少しでも増えるといいのですが、、」
「御堂様のような方がいるからこそ、医療業界が成り立っているのだと感動しました。
それに多くの病院が今回発表した器具の検討をし始めたと耳にしました。」
「そうなのです。息子は医者なのですがいろいろ意見が聞けるので参考になってます。」
「進様ですね。すごく優秀だと聞いています。アメリカからも手術の依頼があるとか、、」
「はい、今は依頼が絶えないようで、、
次も初めての試みをするみたいなので親としては心配がつきませんね」
「そうなんですね、、こんなに心配してくださるご両親がいるからこそ進様も研究や仕事に集中できているんでしょうね、、
機会があればぜひ進様ともお話ししてみたいですね」
「それは息子も喜びます。医療が発展することこそが息子の願いでもあるのでぜひ話してやってください。」
「はい、機会があれば是非お願いします。」
そうして会話が終わり別れた体で次の著名人がスクリーンに映し出される
また名前を答えた後に2人の会話が始まる
その会話を聞きながら思っていたよりも実践的だと感じた
最初の御堂俊介は医療器具メーカーの社長で息子は医者だ。家族思いで、社員にもとても親身である。息子と協力して医療業界を発展させようとしている中心的な人物だと記載があった。式典についても詳しく書かれていて舜さんは的確に答えていた。
この人物は要点を絞った会話だったが、2人目からは様々だった。
家族の趣味の話をしてくる人や、スポンサーになって欲しいと頼んでくる人、政治の話をする人など膨大な情報量がないと返答できないことが多かった
ロールプレイ方式なので会話が途切れたらそこで終わりという緊張感の中、舜さんは素晴らしい対応ばかりだった。
そして相手からも新しい情報を入手する手腕は流石だ。
10人の人物と話終わって漸く舜さんは終了した。
「はい。これで舜は終わりです。評価は10段階中9です。なぜこの点数かわかりますか?」
「はい。政治関係の話にあまり合わせられませんでした。」
「そうです。名前と特徴は一致しているようですが詳しい政策などは曖昧な感じがでてました。常に新しい情報と自分の考えを整理しておきなさい」
「はい、ありがとうございます」
後ろから声をかけるとゆっくりと俺の方に顔を向ける
「おはよ、、」
あまりにもテンションが低すぎて苦笑いがもれる
「もしかして今日の特履の勉強?」
「うぅ、、、」
そう、光輝は特に財閥とかいうわけではなく、ご両親はごくごく普通のサラリーマンだ。
この学園には頭脳の特待生として入っているので今までこういった社交界には踏み入れたことがないのだろう
そんな光輝にとって今回のテストは拷問にも等しいだろう
何せ、何も知識のない状態からこの分厚い冊子を覚えて応用しなければならないのだ
慣れている俺でさえいまだに不安なのだ
そんな俺と光輝の所へ中等部生徒会仲間であり、光輝の主である響がやってきた
「瑠衣は余裕そうだな」
「まだ全ては覚えきれていませんが、光輝よりはこの世界に関わって長いので、、」
まだ高等部に入学して日も経っていないので響との会話に違和感が残る
油断するとすぐに敬語が外れそうになる
「そうだな。たしかに瑠衣はパーティーとか出てたもんな~。光輝がやばそうならこれからもフォロー頼む」
「はい、友達なので当然です」
「今回のテスト、詳細は聞いたのか?」
「少しだけですが、、。
どうやら筆記とかではなく対応力が求められるみたいです。なのでたとえ暗記できたとしてもそれが使えなければ意味がないというか、、」
「あ~、たしかにそれが一番あの世界で通用するからな。ならますます光輝は不利になるな、、」
「だめだ、、こんなの絶対無理だ、、」
絶望に立たされる主従を見て、俺はまだ幸運だったと思い知る
そのあと授業が始まったが、光輝は合間合間にずっと紙をチェックしてた
俺も他人事ではないが、ここまできてしまったものはしょうがない
やれることはやったので、あとは本番で今できる最大の力を発揮するだけだ
お仕置きはあると思うけど、そこは自分の実力がなかったと、反省し学び続けるしかないのだ
これができないと将来大変な目に遭う
社交に出始めたばかりの人が会話にならず孤立していったのを見ることがある
俺は兄様の後ろに付いて挨拶回りに行っていたのでそう言ったことにはならなかったが社交には社交なりの大変さがあるのだ
学生のうちからこういった機会をくれる事は滅多にない。
今のうちに失敗し学べば将来役に立つ
光輝もそのうちこの特履がすごく大切だと思い知ることになるだろう
エロ要素は別として、、、
そして午前中の授業があっという間に終わってしまった。
テストはもうすぐだ。
やっぱり緊張してきた
光輝もフラフラになりながら響と教室を出て行ってしまった
緋色様はもう仕事に行かれたので、俺は1人で準備をして寮の広間に向かう
そこには既にほとんどの従者が揃っていた。
あとはアインス様と舜さんだけのようだ
従者たちの顔色は分かりやすく、社交界に慣れていそうな人達は比較的余裕があるように見える
それと引き換えに特待生等が、学年関係なく顔色が悪い
周りを観察していると、ガチャっと扉が開き残りの2人が入ってくる
すぐに従者は全員アインス様の前に整列する
「さぁ、皆さん。今日は前に言っていた通りテストを行います。上級生は去年も同じテストをやったので覚えていると思いますが、新しく入った人もいるので説明します。まず私が相手側になります。そして私のことを後ろにあるスクリーンに映し出された著名人だと思ってください。実際に会話しながらどれだけ覚えているのか採点します。ここまでで質問はありますか?」
「アインス様、質問よろしいですか?」
「はい。どうぞ。」
「今回のテストでは相手に緋色様の従者として対応したらいいですか?それとも個人として対応したらよろしいのでしょうか?」
「そうでしたね。今回は個人で大丈夫です。いずれは従者としての対応を求めていくことになりますが今回は知識がどの程度あるかを把握できればいいので」
「わかりました。ありがとうございます。」
個人か。
個人ならこれまでも対応したことがあるから慣れてはいる
どこまでアインス様が踏み込んでくるかにもよるけど、、
「他に質問はありませんね?」
「「「「はい!」」」」
「では上級生から始めましょう。下級生には不利なので先に行う従者を参考にしてください。」
「「はい!」」
正直、テストの様子がわからなかったので助かる
横で光輝もほっとしているのがわかった
逆に上級生達は緊張に包まれているが、、
そしてどうやら1発目は舜さんのようだ。
他の従者は壁際に設置されている椅子に腰掛けていいようだ。
全員で移動し、舜さんとアインス様だけが中央に残る
「では始めます。まず画像の方の名前を答えてから始めましょう。」
アインス様はリモコンで操作し画像を切り替える
そこには紙にあった見覚えのある写真が映し出された。いろいろな角度が映し出され一部にはいつのパーティーかわからないが動画までついていた
めっちゃ本格的だ、、、
「舜、この人は誰ですか?」
舜さんは躊躇いなく答える
「その方は御堂俊介さまです」
「正解です。では実際に会話をしていきます。ここから私は御堂俊介になります」
「はい。」
そして御堂俊介様になりきるアインス様と舜さんの会話がはじまる
「本日はお会いできて光栄です。牧野様」
「御堂様、こちらこそお会いできて嬉しいです。」
「先日も記念式典にお越しいただきありがとうございます。我が社の商品、満喫していただけましたでしょうか?」
「はい、それはもう素晴らしかったです。あそこまで医療に特化した器具は見たことがありませんでした。特にこれまで人の手で行えなかった箇所も機械を操作し行えるようになったというのはとても驚きでした。」
「これで助かる命が少しでも増えるといいのですが、、」
「御堂様のような方がいるからこそ、医療業界が成り立っているのだと感動しました。
それに多くの病院が今回発表した器具の検討をし始めたと耳にしました。」
「そうなのです。息子は医者なのですがいろいろ意見が聞けるので参考になってます。」
「進様ですね。すごく優秀だと聞いています。アメリカからも手術の依頼があるとか、、」
「はい、今は依頼が絶えないようで、、
次も初めての試みをするみたいなので親としては心配がつきませんね」
「そうなんですね、、こんなに心配してくださるご両親がいるからこそ進様も研究や仕事に集中できているんでしょうね、、
機会があればぜひ進様ともお話ししてみたいですね」
「それは息子も喜びます。医療が発展することこそが息子の願いでもあるのでぜひ話してやってください。」
「はい、機会があれば是非お願いします。」
そうして会話が終わり別れた体で次の著名人がスクリーンに映し出される
また名前を答えた後に2人の会話が始まる
その会話を聞きながら思っていたよりも実践的だと感じた
最初の御堂俊介は医療器具メーカーの社長で息子は医者だ。家族思いで、社員にもとても親身である。息子と協力して医療業界を発展させようとしている中心的な人物だと記載があった。式典についても詳しく書かれていて舜さんは的確に答えていた。
この人物は要点を絞った会話だったが、2人目からは様々だった。
家族の趣味の話をしてくる人や、スポンサーになって欲しいと頼んでくる人、政治の話をする人など膨大な情報量がないと返答できないことが多かった
ロールプレイ方式なので会話が途切れたらそこで終わりという緊張感の中、舜さんは素晴らしい対応ばかりだった。
そして相手からも新しい情報を入手する手腕は流石だ。
10人の人物と話終わって漸く舜さんは終了した。
「はい。これで舜は終わりです。評価は10段階中9です。なぜこの点数かわかりますか?」
「はい。政治関係の話にあまり合わせられませんでした。」
「そうです。名前と特徴は一致しているようですが詳しい政策などは曖昧な感じがでてました。常に新しい情報と自分の考えを整理しておきなさい」
「はい、ありがとうございます」
応援ありがとうございます!
65
お気に入りに追加
864
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる