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中等部編
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しおりを挟む部屋から出た瞬間、今まで堪えていた涙がポロリ、ポロリと頬をつたう
今まで兄のために勉強も運動も頑張って来たのに、意味なかったのか、、?
両親とも兄離れをしろとは言われていたが基本は甘やかされていたのでそんなに気にしていなかった
とにかく事実を確認したくて、急いで自室に戻る
自室に入るとすぐに兄へ連絡を入れる
プルルルルルプルルルルルプルルルルル、、ガチャッ
「瑠衣?どうした?めずらしいな。」
「あ、景兄様、、、」
俺の声がいつもと違ったからなのか心配する声がかかる
「何かあったか?お前に何かあったらみんな悲しむよ?」
「、、、、兄様も?」
「もちろん。何をそんな当たり前なこと言ってるんだい?」
兄の即答に少し安心する
「今日、高等部の先輩にいきなり従者になれって言われたんだ、、、
断ろうとしても兄様達はそのために俺をこの学院に入れたんだって言われて、、、
俺もよく分かんなくなって、それで、、、、」
「あぁ、、もうすぐ瑠衣も高等部か、、、
確かに将来瑠衣をうちの企業に入れるつもりはあまり無かったのは事実だ。」
「っ!!!どうして!!
今までその為に頑張って来たのに!」
「まぁ、聞きなさい。
昔のお前に言っても多分聞く耳を持たないと思って家族で相談して黙ってることにしたんだ。
勿論、お前が従者になれなくても別の道を考えていたし、家族以外に目を向けてお前の世界を広げるのも良いと思ったんだよ。
家族の事を大事にしてくれるのは凄く嬉しい。ただ本来持つお前の能力を狭めてしまう事に俺達は悲しかったんだよ、」
「兄様、、、
でも、俺は兄様の役に、、、、」
「瑠衣、一度でいい。自分の世界を広げなさい。もしそれでも無理だと思うなら、兄様がなんとかしよう。」
「、、ほんと?
兄様、助けてくれる?」
「あぁ。お前は可愛い俺の弟だからな」
「、、、、ありがと、、」
兄様から初めて聞く俺への想いに嬉しくなる
見放されてなくて安心したと同時にこれからのことも不安になってくる
「でも、連れて行かれたところが異様だったんだ、、、」
「異様?」
「うん。まず凄く高そうな所だし、美形ばっかりだし、跪いてるし、あ、その、、、」
「ん?なんだ?」
「そ、その、舐めてたんだよ、男のアレ、、、」
「あー、、、、瑠衣には刺激が強かったんだな、」
「刺激なんてもんじゃないよ!
本当にびっくりしたんだよ!
高等部はあれが普通なの!?」
「ん~、、高等部に主と従があることは聞いたか?」
「うん、一応、、」
「主は能力が優れている分、他で発散する必要があるんだよ。それが溜まっちゃうと仕事にも影響してくるからな。そうゆう時に従が専属でいると仕事もスムーズに行くし必要不可欠なんだよ。俺で言う、喜一みたいなものだな」
喜一さん、、、
喜一さんは兄の秘書で俺にも優しくしてくれる
いつものほほんとしていて無害を象徴するかのような人だ
小さい俺ともたまにプライベートで遊んでくれる第二のお兄ちゃんみたいな人があんな事してるなんて、、、、
「喜一とも、その学院からの付き合いだ。学院から関係を築いておけば卒業後も楽だからな。
まぁ、でもお前が見たような何人もいるのは珍しいな、、、
普通は個人の部屋とかでするものだけど、、
誰に誘いをかけられたんだ?」
「ノイン?様?って呼ばれてた。」
「え、ノイン様?ほんとにそう呼ばれてたのか?
それは困ったな、、、」
あれ?さっきまでと違って少し深刻そうな声だ、、
やっぱりあの人只者じゃないのか、、
「連れて行かれた場所って高等部の最上階じゃなかったかい?」
そう言われて、よくよく思い出すとすっごくエレベーターを登った覚えがある
「あ、あんまり覚えてないけど、すごく高かった気がする、、、」
「うわぁ、やっぱりあの部屋か。
瑠衣、よく聞きなさい。その部屋はノマと言われる人達が住む部屋なんだ。住人はドイツ語で1から10で表される。最上階全ての部屋と下の階は全てノマの所有物だ。俺も行ったことはないからそこまで詳しいことはわからないけど、ノマの言うことは絶対だ。法も権力も関係ない。それだけ影響力があるんだ。」
「先輩も同じこと言ってた気がする」
「そうだろうな。一度ノマに逆らって消された奴もいた。私でもあの方達に逆らうことはできない。
ノマの人達の名前を呼べるのはノマの住人と専属従者、後はノマの家族だけだ。それ以外はご法度だから注意しなさい。」
確かに先輩達もノイン様って呼んでたな、、
「うん、分かった。」
「ノマの数字は一度決まると変わることがなく、卒業すると新入生でノマになる人がその番号を引き継ぐ。勿論ノマになる存在がいなければ空席のままになる。ここまでは理解したか?」
「うん、なんとなくだけど」
「今はそれで良い。
ノマの従者になった者は他の従者とは違い、ずっと共にいることが命じられる。それこそ部屋も共同だと聞いている。主の全ての世話を担うため高度な能力が求められると聞いたことがある。」
「俺にそんなことできないと思うけど、、」
「俺から見てもお前は優秀だからな。目をつける気持ちはわかる。それに中等部の段階で目をつけておけば他に取られる心配もないからな」
「じゃあ、俺ってノイン様とか言う奴の従者になるしかないの?」
「今はな。あと、ノマの従者になるってことは多分想像以上に大変だ。普通なら1人の主に仕えればいいところを10人に仕える事になるからな、、」
「ノイン様だけじゃないの?」
「もちろん専属はノイン様だろうけど、他の主達の命令も絶対なはずだ。もう少し他の人にも聞いてみると良い。でも、ノマに仕えることが出来れば安全対策にも繋がる。瑠衣の顔は可愛いからすぐに襲われそうで兄様は不安だ。それならノマに守られた方が安全かもしれない。いろいろ大変だけど。」
「襲われるってそんなこと起こるの?
俺、すごい平凡な顔だと思うけど」
兄様は昔から身内贔屓がひどいからな、、
まぁ、普通よりは整ってるかな?ぐらいなのに、、
「瑠衣、もう少し危機感を持ちなさい。
こうしてノマに守られるのも良い機会かもしれないな。瑠衣が純粋じゃなくなるのは少し悲しいけど良い経験になるかもな」
だんだん兄様がポジティブに考え出した
「とにかくどうしてもダメそうならまたいつでも言いなさい。兄様は何があっても瑠衣の味方だよ」
「兄様、、、、
わかりました。自分でやれるところまではやってみようと思います、、
それでもダメだと思ったら兄様に頼って良いですか?」
「勿論。瑠衣のためならノマ相手でも兄様頑張るよ。」
「ありがとう、、」
兄様との通話を終え、今後の方針を考える
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