公爵令息はもふもふ愛好家

さてぃー

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パーティーだ!

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「旦那様、ノア様をお連れしました!」
メリーの元気な声が広間に響き渡る。

「入っていいぞ!」父の声が返ってきた。

扉を開けると、目の前に広がる光景に僕は目を奪われた。
両親、兄弟、メイドたち、執事たち、そして多くの使用人が、一斉に僕を迎えてくれた。

「「「ノア(様)、お誕生日おめでとう!」」」

その瞬間、歓声と祝福の言葉が飛び交い、僕の心は嬉しさでいっぱいになった。
目の前に広がる光景は、僕がこれまでに体験したことがないほど華やかで、喜びでいっぱいの瞬間だった。

「うきゃぁぁ!!!きゃっ!きゃっ!」
僕は思わず喜びの声を上げ、周りの祝福を全身で感じ取った。

凄い!凄い!こんなことしてもらったことない!
僕の胸は期待と興奮でいっぱいだった。
つい、本来の年齢を忘れて、純粋に喜んでしまった。

「「やばい、本物の天使がいる、、、」」
周囲の人々が驚きの声を上げる。

「しかも、羽が生えてるぞ、俺は目がおかしくなったのか?ここは天国なのか?」
一人の使用人が呟く。

「お、おい、正気に戻れ!あれは、ノア様だ!しっかりしろ!」
他の使用人が冷静に周囲を促す。

「何という、破壊力、、、」
誰もがその姿に圧倒されていた。

「あれは、誰が着せたんだ、、」
ある使用人が疑問を口にする。

「あら、私が用意したのよ?似合ってるでしょ?」母が優雅に微笑んで答える。

「「に、似合いすぎてやばいです、、」」
周囲の反応は驚愕と感嘆の声で満ちていた。

パタンッ

「ん?おい!ノアに悩殺された奴がいるぞ!」
突然の声に僕は驚きながら周りを見回すと、数人が倒れているのが見えた。

「うぁ?きゃ?」
何が起こっているのか理解できず、僕は混乱していた。周りの人々がパタパタと倒れていく様子は、まるでドミノのようで、僕の頭の中で混乱が広がった。

「ノア!一旦その天使力を沈めてくれ、、」
父が必死に頼んでくる。

「う?コテン」
僕は首を傾げて、何が起こっているのかさっぱりわからなかった。
天使力って一体何なのか、全く理解できないまま、さらに倒れる人々が出てくる。

「キリがない!アン!一旦ノアを隣の部屋に連れてってくれ!」
父の声に焦りが滲む。

「かしこまりました!」
アンがすぐに反応する。

えー!!折角のお誕生日会なのに!
僕は悲しみに包まれながらも、こちらにいたい気持ちが強く、もどかしさを感じていた。

「あぅあ、ばぶ、ばぶ!」
僕は小さな声で抗議しながらも、アンに優しく抱きかかえられる。

「ノア様、いきますよ!」
アンは丁寧に、しかし確実に僕を隣の部屋へと移動させていく。

「うぅぅぅ、、」
僕はそのまま隣の部屋に避難され、寂しさを感じていた。

「ノア様、準備が出来ましたらまた元の広間へ戻れますよ?」
アンが優しく語りかける。

「う?(そうなの?)」
僕は不安な気持ちで問いかけると、アンはさらに優しく微笑んだ。

「まるで、話が通じているみたいですね、、、」
アンは感心しながら続ける。
「そうですよ?今は天使への耐性をつけているところなので、少し待ってましょう?」

ん?天使?誰のことだ?

アンとしばらく話していると、父が再び呼びに来てくれた。

「ノア?ごめんな?もう準備が整ったから一緒に行こうな?」
父の声には、心からの申し訳なさと愛情が込められている。

「あぅ!きゃっきゃっ!」
僕は喜びの声を上げながらも、早く広間に戻りたい気持ちでいっぱいだった。

父に優しく抱かれながら、僕たちは元いた広間に戻った。
広間に戻ると、先ほどの混乱が嘘のように、使用人たちはすでに元の位置に戻り、穏やかな雰囲気が広がっていた。
倒れていた人々もすでに起き上がり、僕に微笑みかけてくれる。

その瞬間、僕は心からの安堵と喜びを感じていた。誕生日のお祝いが再び始まり、家族や大切な人たちと共に過ごす時間が、どれほど貴重で幸せなものかを実感しながら、温かいひとときを楽しんでいた。

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