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五章 テクサイス帝国番外編 3.5 魔族領一人旅
758 事の経緯を説明
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陸から数メートル海水を凍らせて作った足場を破壊したビッグマウス・シャーク・ロードは、狙いを定めたカズが陸に上がったのにも関わらず諦めようとしない。
沖へと向かい泳ぎだし、陸から数十メートル距離を取ると引き返し、氷を噛み砕いた時と同じ様に、陸地を噛み進む勢いでカズ目掛けて突撃して来る。
海岸が数メートル削れるくらいなら問題ないだろうが、近くには海から上げた村の船が二艘置いてあるので、ビッグマウス・シャーク・ロードを突撃させるわけにはいかない。
二艘の船だけではなく、勢い余って腰を抜かしてる三人の所にも届くかも知れない。
「だから村に戻ってと言ったのに…」
カズが腰を抜かしてる三人を見て、ため息を付いて呆れた顔をしていると、勢いを増して突撃して来たビッグマウス・シャーク・ロードが陸まで3メートルの所まで近付いて来ていた。
流石に陸に噛み付く事はなく、ギリギリで海上に飛び出して、大口を開けながら迫る。
例えカズを噛み殺して陸に乗ったままだとしてもと、跳ねるなりズルズルと少しずつ体をくねらせ、海中に戻ろうとでも考えているのだろう。
当然大人しく喰われる事はない。
飛び出して陸に上がろうとするビッグマウス・シャーク・ロードの下に一足飛びして、魔力を込めた掌底を当てる。
込める魔力を加減したつもりだっが、魔力が九割以上になった状態での魔力操作が甘いために、掌底が当たったビッグマウス・シャーク・ロードは、オ゙エ゙ッと言わんばかりの表情をし、くの字に折れ曲がった状態で、周囲の樹木よりも高く約20メートル打ち上げられる。
「しまった」
魔力制御と魔力操作が完全ではない状態で地上に戻って来てしまったカズは、ここで魔力操作に失敗。
だが今、反省してる時間はない。
落下しようとするビッグマウス・シャーク・ロードに向けて風属性魔法〈スラッシュトルネード〉を使った直後、火属性魔法〈ファイアーボール〉を続けて放つ。
風の刃がビッグマウス・シャーク・ロードを切り刻み、続いて放たれた火の玉が表面の海水は瞬時に蒸発させ、無数の傷口から火が入り込む。
十数秒して風の刃と荒れ狂う火の渦が消えると、真っ黒になったビッグマウス・シャーク・ロードだった物が落下する。
地面に落ちるとボサッと崩れ、中まで黒焦げになり、殆ど原型が分からない状態に。
ファイアーストームでは範囲が広いからと、二つの魔法を使って似たような効果にしようと思ったのだが、結局魔力操作が甘く威力が高過ぎてしまった。
「あちゃ……元々が何だったかわからなくなったけど、アマ村長に見せますか? それとも海に落とすか、その辺に埋めます?」
ビッグマウス・シャーク・ロードだった物をどうするかノットに聞くも、口を開いたまま呆然として動かない。
村に戻らず一緒に残った村人二人は、ノットの横で気を失っていた。
「ノットさん。もしも~し……」
ノットの顔の前で手を振るも、一点を見つめたままで眼球が動かない。
そこでカズはノットの背中をバンッと叩き、耳元で名前を呼ぶ。
「うわッ! お! な? 耳が背中が、なにをするんだ!」
「戻って来たみたいですね。終わりましたよ。そこの二人を起こして、村に戻ってアマ村長に報告しましょうか」
「おわっ……そ、そうしよう」
焦げ臭く真っ黒になった塊とカズを交互に見て、隣で気を失っている村人二人を目を移し、ノットは夢ではなかった事を確認する。
腰を抜かしてすぐでは動けそうになかったが、気を失っている村人二人が中々目を覚まさなかったので、気持ちを落ち着かせる時間が少しは取れた。
ノットが我に返ってから十五分程して、村人二人は目を覚ました。
腰の抜けたノットも動けるようになり、四人で村に戻ろうとしたところで、アマ村長が数人の村人と慌てた様子でやって来た。
「ビッグマウスに追われて来たって聞いて。大丈夫なの?」
「平気だ。船は多少破損したが、誰もケガはしてない」
「そう。良かったわ」
ノットと村人二人が海辺に残ったと聞き、心配で慌てて村からやって来たが、無事な姿と本人の口から聞き、アマ村長はほっと一安心した。
「さっきスゴい火柱が上がってたけど、あれは何だったの?」
「あれはカズがドンで、ビューのボワァーとデカいビッグマウスが、ドスンはバサァって」
「頭でも打ったの? ちょっとよく、わからないんだけど」
ノットは手を上へ下へや、グルグルと回したりと大きく動かし、見た事を説明するも女房のアマ村長に伝わらない。
説明しているノット自身でさえも、何をどう言ったら伝わるのか、頭の中は未だに混乱していた。
「今はいいわ。あとで落ち着いたら聞かせてもらうから」
「お、おう……」
「それで、あの……色々と聞きたいんだけど、とりあえずあれは…なに?」
アマ村長の指差す先には、ビッグマウス・シャーク・ロードだった黒焦げになって崩れた物体。
火は消えているが煙が上がり、周囲には焦げ臭さ広がってる。
「問題の沖合に出没してたビッグマウスを束ねていた、ビッグマウス・シャークのロード。だったもの」
「ロード……ちょっと待って」
アマ村長は黒焦げの物体をじっくりと観察すると、海に浮かぶビッグマウス・シャークの肉片と、破損した船を確認する。
「旦那達がこうなった理由が、何となく分かった気がするわ。詳しくは村に戻ってから聞かせてくれるかしら」
説明するより見てもらった方が分かりやすいと考えていたカズは、アマ村長が来たのは手間が省けて丁度良かったと。
改めて皆で村に戻り、朝食を取って気持ちを落ち着かせてから、漁に出た村人達を村長宅に集めて話を聞く事になった。
カズはアマ村長が用意してくれた朝食を、ノットと一緒に三人で食した。
それぞれ自宅で朝食を済ませた村人達が村長宅に集まり、漁に出てからの事を順を追って話し出す。
二艘の船に分かれてるので、一人二人だけでは話が食い違う可能性があるので、漁に出た村人全員に確認を取りながら一部始終をアマ村長に伝える。
当然ノットがカズに対しての態度や、仕掛けに掛かったビッグマウス・シャークなら仕留められるという慢心が伝えられた。
船が破損してビッグマウス・シャークに追われる羽目になったのは、カズの注意を聞かずにノットが先走ったのが原因だと、アマ村長は旦那ノットのやった事に呆れ、二度とその様な事をしないようにと、皆の前でノットを叱責した。
反省したノットは背中を丸めてしょぼんとして、そのガタイのいい体格が二回り小さく見えた。
陸まで上がった後はカズの意見を聞き、殆どの村人は村に戻ったので、それからの話はノットと二人の村人がする事に。
背中を丸めて反省しているのは良いが、話してもらわなければ困ると、アマ村長は旦那の背中をバンッと強く叩いた。
「痛ってぇー!」
「いつまでしょげてんの。ほら、報告しなさい。傭兵だった頃を思い出して。って言っても、あんたこの手の事は苦手だったね。でも最後まで見てたのは、あんただけなんでしょ。ちゃんと話してもらわないと困るわよ」
「お、おう……わかってる……」
一呼吸二呼吸と間を置き、ノットと一緒に海岸に残った村人二人は、追って来た五体のビッグマウス・シャークを討伐した状況を話して、その後に現れた四倍もの大きさがあった、ビッグマウス・シャーク・ロードをカズが黒焦げにした経緯をノットが、紙に書きながら説明した。
アマ村長が地図を書いた時と同様、絵は決して上手くはないが、それでも目の当たりにした情景が嘘ではないと伝える事が出来た。
沖へと向かい泳ぎだし、陸から数十メートル距離を取ると引き返し、氷を噛み砕いた時と同じ様に、陸地を噛み進む勢いでカズ目掛けて突撃して来る。
海岸が数メートル削れるくらいなら問題ないだろうが、近くには海から上げた村の船が二艘置いてあるので、ビッグマウス・シャーク・ロードを突撃させるわけにはいかない。
二艘の船だけではなく、勢い余って腰を抜かしてる三人の所にも届くかも知れない。
「だから村に戻ってと言ったのに…」
カズが腰を抜かしてる三人を見て、ため息を付いて呆れた顔をしていると、勢いを増して突撃して来たビッグマウス・シャーク・ロードが陸まで3メートルの所まで近付いて来ていた。
流石に陸に噛み付く事はなく、ギリギリで海上に飛び出して、大口を開けながら迫る。
例えカズを噛み殺して陸に乗ったままだとしてもと、跳ねるなりズルズルと少しずつ体をくねらせ、海中に戻ろうとでも考えているのだろう。
当然大人しく喰われる事はない。
飛び出して陸に上がろうとするビッグマウス・シャーク・ロードの下に一足飛びして、魔力を込めた掌底を当てる。
込める魔力を加減したつもりだっが、魔力が九割以上になった状態での魔力操作が甘いために、掌底が当たったビッグマウス・シャーク・ロードは、オ゙エ゙ッと言わんばかりの表情をし、くの字に折れ曲がった状態で、周囲の樹木よりも高く約20メートル打ち上げられる。
「しまった」
魔力制御と魔力操作が完全ではない状態で地上に戻って来てしまったカズは、ここで魔力操作に失敗。
だが今、反省してる時間はない。
落下しようとするビッグマウス・シャーク・ロードに向けて風属性魔法〈スラッシュトルネード〉を使った直後、火属性魔法〈ファイアーボール〉を続けて放つ。
風の刃がビッグマウス・シャーク・ロードを切り刻み、続いて放たれた火の玉が表面の海水は瞬時に蒸発させ、無数の傷口から火が入り込む。
十数秒して風の刃と荒れ狂う火の渦が消えると、真っ黒になったビッグマウス・シャーク・ロードだった物が落下する。
地面に落ちるとボサッと崩れ、中まで黒焦げになり、殆ど原型が分からない状態に。
ファイアーストームでは範囲が広いからと、二つの魔法を使って似たような効果にしようと思ったのだが、結局魔力操作が甘く威力が高過ぎてしまった。
「あちゃ……元々が何だったかわからなくなったけど、アマ村長に見せますか? それとも海に落とすか、その辺に埋めます?」
ビッグマウス・シャーク・ロードだった物をどうするかノットに聞くも、口を開いたまま呆然として動かない。
村に戻らず一緒に残った村人二人は、ノットの横で気を失っていた。
「ノットさん。もしも~し……」
ノットの顔の前で手を振るも、一点を見つめたままで眼球が動かない。
そこでカズはノットの背中をバンッと叩き、耳元で名前を呼ぶ。
「うわッ! お! な? 耳が背中が、なにをするんだ!」
「戻って来たみたいですね。終わりましたよ。そこの二人を起こして、村に戻ってアマ村長に報告しましょうか」
「おわっ……そ、そうしよう」
焦げ臭く真っ黒になった塊とカズを交互に見て、隣で気を失っている村人二人を目を移し、ノットは夢ではなかった事を確認する。
腰を抜かしてすぐでは動けそうになかったが、気を失っている村人二人が中々目を覚まさなかったので、気持ちを落ち着かせる時間が少しは取れた。
ノットが我に返ってから十五分程して、村人二人は目を覚ました。
腰の抜けたノットも動けるようになり、四人で村に戻ろうとしたところで、アマ村長が数人の村人と慌てた様子でやって来た。
「ビッグマウスに追われて来たって聞いて。大丈夫なの?」
「平気だ。船は多少破損したが、誰もケガはしてない」
「そう。良かったわ」
ノットと村人二人が海辺に残ったと聞き、心配で慌てて村からやって来たが、無事な姿と本人の口から聞き、アマ村長はほっと一安心した。
「さっきスゴい火柱が上がってたけど、あれは何だったの?」
「あれはカズがドンで、ビューのボワァーとデカいビッグマウスが、ドスンはバサァって」
「頭でも打ったの? ちょっとよく、わからないんだけど」
ノットは手を上へ下へや、グルグルと回したりと大きく動かし、見た事を説明するも女房のアマ村長に伝わらない。
説明しているノット自身でさえも、何をどう言ったら伝わるのか、頭の中は未だに混乱していた。
「今はいいわ。あとで落ち着いたら聞かせてもらうから」
「お、おう……」
「それで、あの……色々と聞きたいんだけど、とりあえずあれは…なに?」
アマ村長の指差す先には、ビッグマウス・シャーク・ロードだった黒焦げになって崩れた物体。
火は消えているが煙が上がり、周囲には焦げ臭さ広がってる。
「問題の沖合に出没してたビッグマウスを束ねていた、ビッグマウス・シャークのロード。だったもの」
「ロード……ちょっと待って」
アマ村長は黒焦げの物体をじっくりと観察すると、海に浮かぶビッグマウス・シャークの肉片と、破損した船を確認する。
「旦那達がこうなった理由が、何となく分かった気がするわ。詳しくは村に戻ってから聞かせてくれるかしら」
説明するより見てもらった方が分かりやすいと考えていたカズは、アマ村長が来たのは手間が省けて丁度良かったと。
改めて皆で村に戻り、朝食を取って気持ちを落ち着かせてから、漁に出た村人達を村長宅に集めて話を聞く事になった。
カズはアマ村長が用意してくれた朝食を、ノットと一緒に三人で食した。
それぞれ自宅で朝食を済ませた村人達が村長宅に集まり、漁に出てからの事を順を追って話し出す。
二艘の船に分かれてるので、一人二人だけでは話が食い違う可能性があるので、漁に出た村人全員に確認を取りながら一部始終をアマ村長に伝える。
当然ノットがカズに対しての態度や、仕掛けに掛かったビッグマウス・シャークなら仕留められるという慢心が伝えられた。
船が破損してビッグマウス・シャークに追われる羽目になったのは、カズの注意を聞かずにノットが先走ったのが原因だと、アマ村長は旦那ノットのやった事に呆れ、二度とその様な事をしないようにと、皆の前でノットを叱責した。
反省したノットは背中を丸めてしょぼんとして、そのガタイのいい体格が二回り小さく見えた。
陸まで上がった後はカズの意見を聞き、殆どの村人は村に戻ったので、それからの話はノットと二人の村人がする事に。
背中を丸めて反省しているのは良いが、話してもらわなければ困ると、アマ村長は旦那の背中をバンッと強く叩いた。
「痛ってぇー!」
「いつまでしょげてんの。ほら、報告しなさい。傭兵だった頃を思い出して。って言っても、あんたこの手の事は苦手だったね。でも最後まで見てたのは、あんただけなんでしょ。ちゃんと話してもらわないと困るわよ」
「お、おう……わかってる……」
一呼吸二呼吸と間を置き、ノットと一緒に海岸に残った村人二人は、追って来た五体のビッグマウス・シャークを討伐した状況を話して、その後に現れた四倍もの大きさがあった、ビッグマウス・シャーク・ロードをカズが黒焦げにした経緯をノットが、紙に書きながら説明した。
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