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五章 テクサイス帝国番外編 3.5 魔族領一人旅
749 荒れる天候 と 新しい反応
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これでもう大丈夫だろうと一息ついたところで、ランスビーク・バードの第二陣が雲を抜けてこちらに向かって来た。
しかも今度は十三体と数が倍以上になった。
最初の突撃を避けると、その後上空から急降下して来るのは、最初のランスビーク・バードの攻撃で分かっている。
なので避けず仕留めに掛かる。
数が多いのでウィンドカッターの一撃では一掃できない。
そこで広範囲の風属性魔法〈スラッシュトルネード〉を、群れの中心に向けて放つ。
縦が約10メートル横幅が4メートル程の渦巻く風が、ランスビーク・バードの群れに向かって行く。
避ける間も与えず渦巻く風に捉え、風の刃がランクビーク・バードを切り裂いていく。
一分と経たず渦巻く風が消え、向かって来ていた第二陣のランスビーク・バードが動かなくなり、最初の五体のランスビーク・バードと同様に落下して雲の中に消えていった。
雲で下からは見えない筈なのに、どうして二度も襲って来たのだろうかと考える。
その理由はすぐに分かった。
魔力の総量が九割以上になり、少しずつだが魔力が漏れ出していた。
その魔力に反応して、ランスビーク・バードは向かって来たと考えた。
魔力を抑えて飛翔魔法を使用していたが、魔力を消費するより回復する方が増していたので、モンスターに感知されてしまったのだろう。
魔力が漏れ出さないように抑える事が、まだ完全にはできない。
八割までなら漏れ出さないが、九割になると駄目らしい。
ランスビーク・バードとの戦闘で魔力を使ったが、焼け石に水で消費した魔力はほんの少しだけ。
魔力が九割まで回復してしまっては、隠蔽で漏れ出す魔力を隠すしかない。
早く完全に魔力を制御出来るようにならねばと考えながら《隠蔽》を最大の『5』まで上げて、漏れ出してきている魔力を隠す。
視界の端に表示してあるマップが、段々と黒くなり始めた。
雲が広範囲に発生して、地上が全く見えない。
なのでマップに地上を表示させるには、一度雲の下に出て地上を視界に入れる必要がある。
マップのスキルは便利だが、最低限自身の視界に入れなければならないのが不便。
だが一度訪れた所なら、遠く離れた所に居ようと確認出来るのだから、十二分に凄いスキルだ。
ただ流石がに惑星の真裏までは遠過ぎてか、世界を分かつ結界の影響でかは不明だが、オリーブ王国やテクサイス帝国がある大陸を確認する事はできない。
これは月の裏側から地上に戻って来てから、早い段階で確認したので確かだ。
現状では移動した場所と、これから向かう場所が表示されれば取り敢えず良い。
下に広がる雲の色が濃い灰色に変わりだしたので、雨が降り出す前に雲の下に移動する。
地上を視界に入れてマップに地上を表示させるため、降下して流れが速くなってきている厚い雲を抜ける。
連なっていた山々も低くなり、その先はやはりと言うべきが海になっていた。
広大な森とテーブルマウンテンの島からたどり着いた陸地は、残念な事に有人島ではなく無人島だった。
次も同じ様に無人島だったとしたら、無人島が連なる列島に居るかも知れないと考えた。
ポツリポツリと雨が降り出してきたので、上昇して厚い雨雲の上に出る。
地上を見た事でマップが表示されたが、向かう先が海だったので、このまま雲の上を飛んで移動する事に。
ただ海を飛んで越えるにしても、下には厚い雨雲があるせいで、陸地を探す事ができない。
取り敢えず移動するが、あまりにも雲の切れ間が無いようであれば、風属性魔法で一部を吹き飛ばす事も考えた。
進行方向の雲が大きく高くなり、稲光と共にゴロゴロと音を立てだした。
進路を少しずらして、発達する積乱雲を迂回する。
ピカピカ、ゴロゴロと激しくなっていき、積乱雲の外にまで放電してきたので、大きく迂回する事にした。
分厚い積乱雲の下の海は、激しい雷雨と強風で波は高く荒れている。
視界の端に表示してあるマップで方向を確かめてはいるが、また黒く表示されるようになってきた。
もう一度雲の下に出て、海を目視で確認する必要があるが、流石に激しい雷雨の中に行く気にはなれない。
なので積乱雲と広範囲に広がる雨雲が無くなる所まで移動してからにする。
多少方向が変わったとしても、大雑把に東方面と決めて移動していたので問題はないが、魔族領の何処に居るのか早く把握したい。
積乱雲を大きく迂回し、雨雲が薄れて下に海が見えるよう所まで移動してきた。
飛んでいては昼食を取れず、雲の下に出て陸地が見えないかを確かめる。
ぐるっと見渡すと進行方向のやや右、東南方面だと思える方向に陸地が見えた。
距離は50キロから60キロくらい。
この先晴れて視界も開けているので、速度を上げて陸地を目指す。
高度を落として海上200メートル辺りを飛んで移動し、キラキラと日の光を反射する海を見て気分転換する。
水面近くを泳いでる魚でもいれば、捕獲して夕食にでも食べようかと考えたが、発見する事なく陸地まであと5キロ程の所までやって来た。
ふと視界の端に表示してあるマップに、獣でもモンスターでもない反応一つが現れた。
しかしそれは陸地ではなく海上。
船でもあるのかと、反応のあった方向に目を向けるが、それらしき物は見当たらない。
やはり獣とモンスターしかマップに表示されなくなったのだろうかと考えていると、モンスターの反応が複数現れて、謎の反応に向かっていた。
気になり水面から10メートルまで高度を下げて、そこへと向かう。
風はそれ程ないが、通り過ぎていた雷雨の影響が少しはあるらしく、水面近くまで来ると波が2メートル程あるのが分かった。
モンスターが謎の反応に接触するまで約50メートル、そしてこちらは約150メートル。
そろそろ見えてもいい頃だと、謎の反応がある場所を注意深く見る。
大きく上下する海面に、何かが浮いているのが見えた。
近付いて行くと木片の上に、小柄な人物が横たわっていた。
その周りを複数の魚影が、泳いでいるのが見えた。
魚影の形や大きさから、鮫型のモンスターだと思える。
木片の上に横たわる小柄な人物の左足の膝下が海中に浸かっており、大きな波を越える度に、少しずつズルズルと海中へと入っていっていた。
まだ鮫型モンスターは様子を伺っているが、何時襲ってもおかしくない。
流石にこれを見捨てるわけにはいかないので助けに向かう。
木片はかろうじて浮いている状態だったので、海面ギリギリに浮遊して脇に抱えて引き上げる。
すると先に見付けた獲物を取られてたまるかと言わんばかりに、周りを泳いでいた鮫型モンスターが方向を変え、海面に飛び出して来た。
現れたのは予想通り鮫型のモンスター、それが五体。
噛み付こうと飛び掛かって来たのを避けて《分析》する。
レベルは20から24、名前はスモールマウス・シャーク。
口が小さく獲物を一飲みにする事はできないが、無数の歯には麻痺毒があり、獲物を弱らせて少しずつ捕食するらしい。
基本臆病な性格で、群れで行動している、と。
水面近くから離れれば、攻撃してくる事はないだろうと、高度を100メートルまで上げる。
数分木片周りを泳ぎ回っていたが、諦めたようで魚影が海中へと消えていった。
今意識を取り戻したら、驚いて暴れてしまうかも知れないので、急いで陸地に向かう。
海辺を見渡すが港のような場所はなく建物もない。
だとすると何処から何日海を漂って来たのか。
確かめるには本人に聞くしかない。
海辺から少し離れを、草っぱらに助けた人物を寝かせる。
毒持ちのスモールマウス・シャークに噛まれてないか、海水に浸かっていた足を確認する。
幸い噛まれた痕はなかったが、足首を痛めているらしく赤く腫れ、他にもあちらこちらに擦り傷があった。
取り敢えず〈ヒーリング〉を使い傷を治す。
しかも今度は十三体と数が倍以上になった。
最初の突撃を避けると、その後上空から急降下して来るのは、最初のランスビーク・バードの攻撃で分かっている。
なので避けず仕留めに掛かる。
数が多いのでウィンドカッターの一撃では一掃できない。
そこで広範囲の風属性魔法〈スラッシュトルネード〉を、群れの中心に向けて放つ。
縦が約10メートル横幅が4メートル程の渦巻く風が、ランスビーク・バードの群れに向かって行く。
避ける間も与えず渦巻く風に捉え、風の刃がランクビーク・バードを切り裂いていく。
一分と経たず渦巻く風が消え、向かって来ていた第二陣のランスビーク・バードが動かなくなり、最初の五体のランスビーク・バードと同様に落下して雲の中に消えていった。
雲で下からは見えない筈なのに、どうして二度も襲って来たのだろうかと考える。
その理由はすぐに分かった。
魔力の総量が九割以上になり、少しずつだが魔力が漏れ出していた。
その魔力に反応して、ランスビーク・バードは向かって来たと考えた。
魔力を抑えて飛翔魔法を使用していたが、魔力を消費するより回復する方が増していたので、モンスターに感知されてしまったのだろう。
魔力が漏れ出さないように抑える事が、まだ完全にはできない。
八割までなら漏れ出さないが、九割になると駄目らしい。
ランスビーク・バードとの戦闘で魔力を使ったが、焼け石に水で消費した魔力はほんの少しだけ。
魔力が九割まで回復してしまっては、隠蔽で漏れ出す魔力を隠すしかない。
早く完全に魔力を制御出来るようにならねばと考えながら《隠蔽》を最大の『5』まで上げて、漏れ出してきている魔力を隠す。
視界の端に表示してあるマップが、段々と黒くなり始めた。
雲が広範囲に発生して、地上が全く見えない。
なのでマップに地上を表示させるには、一度雲の下に出て地上を視界に入れる必要がある。
マップのスキルは便利だが、最低限自身の視界に入れなければならないのが不便。
だが一度訪れた所なら、遠く離れた所に居ようと確認出来るのだから、十二分に凄いスキルだ。
ただ流石がに惑星の真裏までは遠過ぎてか、世界を分かつ結界の影響でかは不明だが、オリーブ王国やテクサイス帝国がある大陸を確認する事はできない。
これは月の裏側から地上に戻って来てから、早い段階で確認したので確かだ。
現状では移動した場所と、これから向かう場所が表示されれば取り敢えず良い。
下に広がる雲の色が濃い灰色に変わりだしたので、雨が降り出す前に雲の下に移動する。
地上を視界に入れてマップに地上を表示させるため、降下して流れが速くなってきている厚い雲を抜ける。
連なっていた山々も低くなり、その先はやはりと言うべきが海になっていた。
広大な森とテーブルマウンテンの島からたどり着いた陸地は、残念な事に有人島ではなく無人島だった。
次も同じ様に無人島だったとしたら、無人島が連なる列島に居るかも知れないと考えた。
ポツリポツリと雨が降り出してきたので、上昇して厚い雨雲の上に出る。
地上を見た事でマップが表示されたが、向かう先が海だったので、このまま雲の上を飛んで移動する事に。
ただ海を飛んで越えるにしても、下には厚い雨雲があるせいで、陸地を探す事ができない。
取り敢えず移動するが、あまりにも雲の切れ間が無いようであれば、風属性魔法で一部を吹き飛ばす事も考えた。
進行方向の雲が大きく高くなり、稲光と共にゴロゴロと音を立てだした。
進路を少しずらして、発達する積乱雲を迂回する。
ピカピカ、ゴロゴロと激しくなっていき、積乱雲の外にまで放電してきたので、大きく迂回する事にした。
分厚い積乱雲の下の海は、激しい雷雨と強風で波は高く荒れている。
視界の端に表示してあるマップで方向を確かめてはいるが、また黒く表示されるようになってきた。
もう一度雲の下に出て、海を目視で確認する必要があるが、流石に激しい雷雨の中に行く気にはなれない。
なので積乱雲と広範囲に広がる雨雲が無くなる所まで移動してからにする。
多少方向が変わったとしても、大雑把に東方面と決めて移動していたので問題はないが、魔族領の何処に居るのか早く把握したい。
積乱雲を大きく迂回し、雨雲が薄れて下に海が見えるよう所まで移動してきた。
飛んでいては昼食を取れず、雲の下に出て陸地が見えないかを確かめる。
ぐるっと見渡すと進行方向のやや右、東南方面だと思える方向に陸地が見えた。
距離は50キロから60キロくらい。
この先晴れて視界も開けているので、速度を上げて陸地を目指す。
高度を落として海上200メートル辺りを飛んで移動し、キラキラと日の光を反射する海を見て気分転換する。
水面近くを泳いでる魚でもいれば、捕獲して夕食にでも食べようかと考えたが、発見する事なく陸地まであと5キロ程の所までやって来た。
ふと視界の端に表示してあるマップに、獣でもモンスターでもない反応一つが現れた。
しかしそれは陸地ではなく海上。
船でもあるのかと、反応のあった方向に目を向けるが、それらしき物は見当たらない。
やはり獣とモンスターしかマップに表示されなくなったのだろうかと考えていると、モンスターの反応が複数現れて、謎の反応に向かっていた。
気になり水面から10メートルまで高度を下げて、そこへと向かう。
風はそれ程ないが、通り過ぎていた雷雨の影響が少しはあるらしく、水面近くまで来ると波が2メートル程あるのが分かった。
モンスターが謎の反応に接触するまで約50メートル、そしてこちらは約150メートル。
そろそろ見えてもいい頃だと、謎の反応がある場所を注意深く見る。
大きく上下する海面に、何かが浮いているのが見えた。
近付いて行くと木片の上に、小柄な人物が横たわっていた。
その周りを複数の魚影が、泳いでいるのが見えた。
魚影の形や大きさから、鮫型のモンスターだと思える。
木片の上に横たわる小柄な人物の左足の膝下が海中に浸かっており、大きな波を越える度に、少しずつズルズルと海中へと入っていっていた。
まだ鮫型モンスターは様子を伺っているが、何時襲ってもおかしくない。
流石にこれを見捨てるわけにはいかないので助けに向かう。
木片はかろうじて浮いている状態だったので、海面ギリギリに浮遊して脇に抱えて引き上げる。
すると先に見付けた獲物を取られてたまるかと言わんばかりに、周りを泳いでいた鮫型モンスターが方向を変え、海面に飛び出して来た。
現れたのは予想通り鮫型のモンスター、それが五体。
噛み付こうと飛び掛かって来たのを避けて《分析》する。
レベルは20から24、名前はスモールマウス・シャーク。
口が小さく獲物を一飲みにする事はできないが、無数の歯には麻痺毒があり、獲物を弱らせて少しずつ捕食するらしい。
基本臆病な性格で、群れで行動している、と。
水面近くから離れれば、攻撃してくる事はないだろうと、高度を100メートルまで上げる。
数分木片周りを泳ぎ回っていたが、諦めたようで魚影が海中へと消えていった。
今意識を取り戻したら、驚いて暴れてしまうかも知れないので、急いで陸地に向かう。
海辺を見渡すが港のような場所はなく建物もない。
だとすると何処から何日海を漂って来たのか。
確かめるには本人に聞くしかない。
海辺から少し離れを、草っぱらに助けた人物を寝かせる。
毒持ちのスモールマウス・シャークに噛まれてないか、海水に浸かっていた足を確認する。
幸い噛まれた痕はなかったが、足首を痛めているらしく赤く腫れ、他にもあちらこちらに擦り傷があった。
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