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五章 テクサイス帝国編 3 帝都テクサイス
730 不毛で不明な地 3 未知の生物との遭遇
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元の世界では女性には相手をされず、友人と思っていた者には騙されて笑われ、他者と関わるのが嫌になっていた。
でもそれではいけないと考え、趣味ならと同類を求めて、勢いだけで家を出たら別の世界。
しかしそこで生涯の連れ合いを見付けることができ、旅の目的を果たせば、あとは何処かに定住して幸せに過ごせるものだと思っていた。
それは儚い夢だったのか? 否! 何としても三人の妻の元に帰る。
例え得体の知れない未知の生物に手足の一本や二本食われようとも。
帰りを待つ三人の妻のことを考え、なんとか気持ちが押し潰されないようにする。
この場所に飛ばされて、魔素のより濃いこの場所を目指し移動して、やっとここまで来た。
今まで平地だったのが、先に見える巨大な影に向かい、なだらかに下って行く。
クレーターとなっている中心には、ゴツゴツとした巨大な物体がドンと鎮座。
より濃い魔素を感じたのは、飛来した隕石だと考えられた。
途中で見た岩山を破壊したのは、この隕石が落ちてきた時にぶつかったのではないだろうか? と考えらる。
これだけ大きなのか落ちて来て、クレーターが浅い事と、原型を保っているのは不思議だが、今はそんなことはどうでもよかった。
多くの魔素を溜め込んでいれば、それを利用して空間転移魔法が使えるかもと隕石に触れてみるも、特別濃い魔素を溜め込んでいるわけではなかった。
この辺り一帯の魔素が濃いのは、溜め込んでいたのを放出したからだろうと憶測した。
僅かな希望を持って来たが駄目だったと分かり、どっと疲れが押し寄せる。
足の力が抜けて隕石に背をつけ、そのままズルズルと腰を落として座り込む。
大きな溜め息を吐くと、ここまで耐えてきた感情が一気に爆発。
「クソおぉぉー!! ここまで来たのに、あるのがただのデカい石ってなんだよ! せめて魔素が大量に詰まってやがれッ!」
声を荒らげながら、ドンドンと背にしている隕石を叩いて八つ当たりする。
強く殴り過ぎて血が滲み、匂いを嗅ぎ付けた得体の知れない未知の生物に気付かれる事なんて、怒りでどうでもよくなっていた。
大声を上げて隕石を殴り、魔力を無意識で消費していく。
この後どうすればと脱力して、うつ向き地面を見つめ呆然とする。
そこにズンッと背にしている隕石が振動し、星明かりを遮り周囲を巨大な影が覆う。
今更なんだと思いながら、顔を上げて空を見上げるも真っ暗で何も見えない。
すると暗闇の一部がパカリと半月型に開いた。
何が起きたのかと見ていると、半月型に割れた中が動いているのに気付いた。
よくよく見れば半月型に割れて現れたのは、見たこともない大きな目。
今まで感じた事のない強い視線を向けられている。
背にしている隕石の反対側に、何か得体の知れない巨大な未知の生物が、そこに元々居たらしい。
驚き慌てふためき、混乱して大騒ぎする事はない。
だからと恐怖で全身が硬直して、瞬き一つできないなんて事でもない。
この先どうしたらいいのかと半ば諦めていたので、冷静に大きな目をただジッと見て、目を離さなかった。
「こんなデカいのがいるなんて……気配感知も魔力感知も、マップも機能しないか(抵抗してどうにかなる相手じゃないだろ)」
大きな目の持ち主がちょいと動けば、背にしていた隕石がゴロリと動き下敷きになる。
ここに飛ばされて来てから高い重力の中を移動して、まともな睡眠も取れてないのと、暗い未知の環境になれず疲弊していた。
退避しようにも、全身が気怠く重い。
諦めようかと一瞬思ったが、帰りを待つ三人の妻の顔が脳裏を過ぎった。
「寝てたのを起こしてしまったのなら悪かった。って、わかるわけないか」
「『こんな所に生きているヒトとは、こいつは驚いた』」
上空から覗き見る巨大な存在から、脳内に声が響いた事に、大きな影と目を見た時にはなかった驚きがあった。
「『我が眠りを覚まして、ただで済むと思うまい』」
「それは申し訳なかった」
「『言ってもわからぬか。矮小な者よ、潰れてムシどもの餌になるがいい』」
「謝ってるじゃないか。デカすぎて聞こえ…違う」
地響きと共に、上に見えていた大きな影と目が高くに離れていき、ズシンズシンと隕石の遥か上から覗きながら隕石を迂回して、100メール以上はあろうかという巨大な生物がその全貌を現す。
が、暗いので見えるのは、巨大な隕石を見付けた時と同じく輪郭だけ。
「『逃げもせずか。つまらん』」
巨大な生物が脚を上げて、踏み潰そうと迫る。
「『起こしてしまって申し訳ない』」
聞こえてきた声は頭に直接響いていた。
つまりテレパシー系だと気付き、話せるか分からないが、念話を使って謝罪すると、巨大な生物の脚がピタリと止まった。
「『ヒトが話せるのか?』」
「『どうやら念話が通じるみたいだ。騒いで悪かった』」
止まっていた巨大な生物の脚が動き出し、踏み潰す事なく地面に下ろす。
「『通じるなら聞こう。ぬしはどこから現れた』」
「『どこからと言われても、俺は黒い渦巻く空間に飲み込まれ、この地に放り出されたんだ』」
「『ほう。何やら面白そうな話だ。眠りを覚ましたのは許す。代わりにぬしの話を聞かせろ』」
どうせ帰る手段も分からなく、途方に暮れていたところ。
愚痴だと思って、ここまでの経緯を巨大な生物に話して聞かせる。
念話を使っているので大声を出す必要もなく、顔を見て話すなんてこともしない。
そもそも暗いために、巨大な生物の全貌はハッキリとは見えない。
薄っすらなんとなく、ぼんやりと影として見えるだけ。
唯一見えているのは、踏み潰そうとしてやめた脚が近くに。
隕石よりもゴツゴツとした表皮は、フロストドラゴンの鱗の似ているようだ。
見えている脚の形も類似。
この巨大な生物も、ドラゴン系のモンスターなのだろうと考えたが、大きさが尋常ではなく、暗い中では全貌をハッキリと確認できないので、この考えは保留にして頭の片隅に置いた。
「『ぬしは、どこから来た?』」
話を聞き終えた巨大な生物が、おかしなことを聞いてきた。
「『話した通り、帝都…テクサイス帝国の首都。その冒険者ギルドという組織の建物の地下にある部屋だけど』」
「『そうではない。ぬしはそこに生きる者とは違う。別の所から来たのではないか?』」
別の所と聞き、巨大な生物が言わんとしてる事を理解した。
しかしそれが何故分かったのか。
別に巨大な生物に隠す理由もないので、管理神の不手際で越させられたと話した。
異世界から召喚した者に特殊な職業や、強力な武器に鉄壁の防具、更には最初からぶっとんだ数値のステータスを与え、勇者と呼び英雄なれるお墨付き。
なんてのと違い、最低レベルと平凡なステータスで森に放置された迷い人。
持っていたのは、その時に背負っていたバッグと、原因である管理神からの手紙が一枚だけ。
「『ぶあっはっは。迷いぬしか』」
先程まで踏み潰して、なんらかのムシの餌にするとか言ってた巨大な生物が、話を聞いて大笑い。
「『しかしそんな平凡なぬしが、ここで生きているとは』」
「『まあ、そのあと色々とあって、一気にレベルが上がったんだ。ただそれ以降、どんなに経験を積もうが、ステータスに変化はなかったんどな。それにさっき話した通り、撲滅の因子なんて物の呪いのせいで、今はレベルも魔力も元の半分以下になってる。変化がなかったステータスが、この呪いでだ』」
「『そんな物をまだ使ったているとは。愚かな者達だ』」
「『撲滅の因子を知ってるのか!?』」
でもそれではいけないと考え、趣味ならと同類を求めて、勢いだけで家を出たら別の世界。
しかしそこで生涯の連れ合いを見付けることができ、旅の目的を果たせば、あとは何処かに定住して幸せに過ごせるものだと思っていた。
それは儚い夢だったのか? 否! 何としても三人の妻の元に帰る。
例え得体の知れない未知の生物に手足の一本や二本食われようとも。
帰りを待つ三人の妻のことを考え、なんとか気持ちが押し潰されないようにする。
この場所に飛ばされて、魔素のより濃いこの場所を目指し移動して、やっとここまで来た。
今まで平地だったのが、先に見える巨大な影に向かい、なだらかに下って行く。
クレーターとなっている中心には、ゴツゴツとした巨大な物体がドンと鎮座。
より濃い魔素を感じたのは、飛来した隕石だと考えられた。
途中で見た岩山を破壊したのは、この隕石が落ちてきた時にぶつかったのではないだろうか? と考えらる。
これだけ大きなのか落ちて来て、クレーターが浅い事と、原型を保っているのは不思議だが、今はそんなことはどうでもよかった。
多くの魔素を溜め込んでいれば、それを利用して空間転移魔法が使えるかもと隕石に触れてみるも、特別濃い魔素を溜め込んでいるわけではなかった。
この辺り一帯の魔素が濃いのは、溜め込んでいたのを放出したからだろうと憶測した。
僅かな希望を持って来たが駄目だったと分かり、どっと疲れが押し寄せる。
足の力が抜けて隕石に背をつけ、そのままズルズルと腰を落として座り込む。
大きな溜め息を吐くと、ここまで耐えてきた感情が一気に爆発。
「クソおぉぉー!! ここまで来たのに、あるのがただのデカい石ってなんだよ! せめて魔素が大量に詰まってやがれッ!」
声を荒らげながら、ドンドンと背にしている隕石を叩いて八つ当たりする。
強く殴り過ぎて血が滲み、匂いを嗅ぎ付けた得体の知れない未知の生物に気付かれる事なんて、怒りでどうでもよくなっていた。
大声を上げて隕石を殴り、魔力を無意識で消費していく。
この後どうすればと脱力して、うつ向き地面を見つめ呆然とする。
そこにズンッと背にしている隕石が振動し、星明かりを遮り周囲を巨大な影が覆う。
今更なんだと思いながら、顔を上げて空を見上げるも真っ暗で何も見えない。
すると暗闇の一部がパカリと半月型に開いた。
何が起きたのかと見ていると、半月型に割れた中が動いているのに気付いた。
よくよく見れば半月型に割れて現れたのは、見たこともない大きな目。
今まで感じた事のない強い視線を向けられている。
背にしている隕石の反対側に、何か得体の知れない巨大な未知の生物が、そこに元々居たらしい。
驚き慌てふためき、混乱して大騒ぎする事はない。
だからと恐怖で全身が硬直して、瞬き一つできないなんて事でもない。
この先どうしたらいいのかと半ば諦めていたので、冷静に大きな目をただジッと見て、目を離さなかった。
「こんなデカいのがいるなんて……気配感知も魔力感知も、マップも機能しないか(抵抗してどうにかなる相手じゃないだろ)」
大きな目の持ち主がちょいと動けば、背にしていた隕石がゴロリと動き下敷きになる。
ここに飛ばされて来てから高い重力の中を移動して、まともな睡眠も取れてないのと、暗い未知の環境になれず疲弊していた。
退避しようにも、全身が気怠く重い。
諦めようかと一瞬思ったが、帰りを待つ三人の妻の顔が脳裏を過ぎった。
「寝てたのを起こしてしまったのなら悪かった。って、わかるわけないか」
「『こんな所に生きているヒトとは、こいつは驚いた』」
上空から覗き見る巨大な存在から、脳内に声が響いた事に、大きな影と目を見た時にはなかった驚きがあった。
「『我が眠りを覚まして、ただで済むと思うまい』」
「それは申し訳なかった」
「『言ってもわからぬか。矮小な者よ、潰れてムシどもの餌になるがいい』」
「謝ってるじゃないか。デカすぎて聞こえ…違う」
地響きと共に、上に見えていた大きな影と目が高くに離れていき、ズシンズシンと隕石の遥か上から覗きながら隕石を迂回して、100メール以上はあろうかという巨大な生物がその全貌を現す。
が、暗いので見えるのは、巨大な隕石を見付けた時と同じく輪郭だけ。
「『逃げもせずか。つまらん』」
巨大な生物が脚を上げて、踏み潰そうと迫る。
「『起こしてしまって申し訳ない』」
聞こえてきた声は頭に直接響いていた。
つまりテレパシー系だと気付き、話せるか分からないが、念話を使って謝罪すると、巨大な生物の脚がピタリと止まった。
「『ヒトが話せるのか?』」
「『どうやら念話が通じるみたいだ。騒いで悪かった』」
止まっていた巨大な生物の脚が動き出し、踏み潰す事なく地面に下ろす。
「『通じるなら聞こう。ぬしはどこから現れた』」
「『どこからと言われても、俺は黒い渦巻く空間に飲み込まれ、この地に放り出されたんだ』」
「『ほう。何やら面白そうな話だ。眠りを覚ましたのは許す。代わりにぬしの話を聞かせろ』」
どうせ帰る手段も分からなく、途方に暮れていたところ。
愚痴だと思って、ここまでの経緯を巨大な生物に話して聞かせる。
念話を使っているので大声を出す必要もなく、顔を見て話すなんてこともしない。
そもそも暗いために、巨大な生物の全貌はハッキリとは見えない。
薄っすらなんとなく、ぼんやりと影として見えるだけ。
唯一見えているのは、踏み潰そうとしてやめた脚が近くに。
隕石よりもゴツゴツとした表皮は、フロストドラゴンの鱗の似ているようだ。
見えている脚の形も類似。
この巨大な生物も、ドラゴン系のモンスターなのだろうと考えたが、大きさが尋常ではなく、暗い中では全貌をハッキリと確認できないので、この考えは保留にして頭の片隅に置いた。
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しかしそれが何故分かったのか。
別に巨大な生物に隠す理由もないので、管理神の不手際で越させられたと話した。
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なんてのと違い、最低レベルと平凡なステータスで森に放置された迷い人。
持っていたのは、その時に背負っていたバッグと、原因である管理神からの手紙が一枚だけ。
「『ぶあっはっは。迷いぬしか』」
先程まで踏み潰して、なんらかのムシの餌にするとか言ってた巨大な生物が、話を聞いて大笑い。
「『しかしそんな平凡なぬしが、ここで生きているとは』」
「『まあ、そのあと色々とあって、一気にレベルが上がったんだ。ただそれ以降、どんなに経験を積もうが、ステータスに変化はなかったんどな。それにさっき話した通り、撲滅の因子なんて物の呪いのせいで、今はレベルも魔力も元の半分以下になってる。変化がなかったステータスが、この呪いでだ』」
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