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五章 テクサイス帝国編 3 帝都テクサイス
705 急激は変化の代償
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カズの頭を抱えていたレラの腕から力が抜けて落下する。
それをカズが抱え、ソファーに寝かせた。
レラの大きさは、大きさは憧れか欲望かを使用する前の、元々の大きさに戻った。
「今のレラには、まだ早いと言ってあったろ。なれもしない大きさになって、魔力を多く使いすぎた結果だ。身体にも負担がかかっただろ」
「ごめんカズ」
「挑発したアレナリアも悪いぞ」
「ごめんなさい」
「お見苦しいところを見せてすいません。アイリス様」
「そんなに小さいのに、アレナリアさんと同じくらいまで大きくなるなんてスゴいわね。これがレオラちゃんが言っていたアイテムの効果なのね」
レラの変化を見たアイリスは、しらけるる事も怒り事もせず、目の前の出来事に興奮して興味津々だった。
「カズがレラのために手に入れたアイテムだ。欲しがるなよ。姉上」
「そんな事しません。それよりレラちゃんは大丈夫なの?」
「急激に多くの魔力を消費したので、一時的に力が入らないだけでしょう。なので魔力を補充してやれば、元気になるので大丈夫です」
ソファーで寝転んでるレラの手を取り、カズは《魔力譲渡》を使い魔力を少しずつゆっくりレラに流していく。
アレナリアは少し羨ましそうに、横目で見ていた。
レオラは大きさは憧れか欲望かの効果が見れた事で満足し、アイリスはソファーで横になっているレラを心配して、カズの介抱で元気になるのか見守る。
しかし魔力譲渡は怪我を魔法で治療するのとは違い、目に見えて分かるものではない。
この場合魔力を流すカズと、それを受けるレラが感じて分かるだけで、他からはただ手を握っているだけにしか見えない。
体内に流れる魔力を可視化出来る能力でもあれば別だが、この場にそれが出来るとしたら、カズだけだろう。
「そのアイテムもレラ自身に託して管理させようと思ったが、調子に乗ってこんな無茶するなら、まだしばやくはナイフと一緒に、俺が管理して方がよさそうだな」
「ごめんカズ。もうしない。ちょっとずつ大きくなれるように、時間かけて練習するから。お願いカズ」
魔力を補充しているカズの手をぎゅと握り、取り上げないでとレラは懇願する。
これで駄目だと取り上げたら、今までと同じで、レラの成長の妨げになると考えた。
「だったら明日から三日使うの禁止。少しでも使ったら、取り上げて半年は使わせないからな」
「半年も!」
「がまんできないのか? なら、今すぐそれを外して渡すんだ」
「三日だけなんて余裕で出来る! なんだったら、十日でも余裕だもん」
「なら十日にするか?」
「ほえ!? いい、いい、三日でいいの! だからお願いカズぅ。大好きだよ!」
レラは握るカズの手にチュッチとキスをする。
魔力の補給も終わったので、カズはレラから手を離した。
手の甲はしっとりと、レラのよだれで濡れていた。
「……はいはい、分かったよ。明日から三日間だからな」
「あちし、がんはる!」
「もう少し横になっとけ。お酒も控えろ」
「えぇ~!」
「返事は?」
「わかったよ」
レラに釘を刺すと、カズはソファーを離れてキッチンに飲み物を取りに行く。
アイリスを屋敷まで送って行く事になったので、酔いはしないが酒を止めて、ビワに温かい麦茶を淹れてもらう。
料理を作り終えたビワとカーディナリスもリビングに移り、ソファーに座り会話をしながら食事を楽しむ。
普段なら食事をしながらの会話は、カーディナリスが渋い顔をするが、皇族が住まう屋敷ではなくレオラが個人で所有する一軒家で、カズ達の送別会として来ているのだから、ある程度は目をつぶり大目にみる。
流石にソファーで胡座をかいとするレオラに注意をした。
皇族としてでなく、女性としてはしたない、と。
カーディナリスの小言はこの一度だけで、あとは和気藹々とした時間が過ぎていく。
残った料理を冷蔵庫に入れて食器を片付けると、カーディナリスは先にレオラの屋敷に戻る事に。
帰り掛けに「渡したい物があるから、列車に乗る前に寄ってちょうだい」とビワに言い、送り届ける役目として一緒に来たアスターと川沿いの家を出た。
カーディナリスは本当なら今日ビワに渡したかったが、残念ながらそれは届かなく間に合わなかった。
魔導列車に乗るギリギリまでには間に合うだろうと考え、出発当日レオラの屋敷に来てくれるように言い、アイリスには「暗くなる前に屋敷へ戻るようにしてください」と、カーディナリスは子供の頃世話をした時の様に言った。
そしてカーディナリスがアスターと川沿いの家を出てから一時間程して、レオラが時間を見計らい、アレナリアと話しているアイリスに声を掛ける。
「もうそろそろ姉上は戻った方がいいだろ。これ以上は暗くなってしまう」
「まだいいでしょ。レオラちゃんとカズさんが護衛してくれるのなら、暗くなっても大丈夫よ」
「レオラ様はアイリス様の身の安全を思って言ってくださってるのです。我々も護衛の騎士として、アイリス様に危険が及ぶような事は避けねばなりません」
「耳が痛いわね(この後の事を考えるとなおさら)」
「わたしもカミーリアと同じです。レオラ様とカズ師匠が一緒なら安心だと思いますが、それでも万が一の事を考え、早めの帰宅をお願いします」
もう少しだけと甘えるアイリスに、護衛騎士のカミーリアとネモフィラが明るい内に屋敷に戻るようにと促す。
まだ話したそうにするアイリスだったが、あまりわがままを言って困らせてはいけないと、自分の屋敷に戻る事した。
アレナリアとの話が途中だったため、帰り支度等の時間を少し取り、十五分程したら行くとレオラが言い、アイリスは承諾する。
「カズ、ちょっといいか」
「はい(なんだ?)」
アイリスの帰り支度が出来るまで二人で話があると、レオラはカズを連れて三階のレオラが使う寝室に移動する。
アイリス達が到着する直前に、顔付きが一瞬変わった時にしようとしてた話だろうかと、カズは思い当たる。
三階のレオラが何時も使う寝室の前に着くと、レオラに言われて先にカズが入る。
後から入ったレオラが扉を閉めて錠を掛ける。
レオラは扉から一番遠い部屋の奥に置かれているベッドに移動し、腰掛けてカズを近くに呼ぶ。
誰かが呼びに上がって来ても、話を聞かれないようにするためだろう。
「何か不安な事でもあるのか? 好きなリンゴ酒を控えてたみたいだけど」
「姉上を呼んだ手前、屋敷に送り届けなければならん。リンゴ酒一本だけなら酔いはしない」
原酒のままで飲んでいるリンゴ酒を、この日はリンゴジュースで割り、バレルボアの香草焼きと合わせて味わっていた理由がそれだと。
「そうか。で、話ってのは?」
「実は……」
「レオラが言い淀むなて珍しい。もしかして危険人物でも帝都に現れたのか?」
「当たらずといえども遠からず。パラガスの事を覚えているか?」
「ビワを狙って来た奴か。レオラのおかげでビワを諦めたんだろ。まさか諦めてないのか?」
「ないとは言い切れない。が、もしそうだとしても、帝国を離れるビワを狙うのは無理だろ。双塔の街辺りまで警戒していれば、それ以上は追って来るまい」
「そうかも知れない。だったら今更なんだって言うんだ?」
レオラの話から、以前ビワを監視して付け狙っていた、運搬商会代表パラガス・ノイアの名が出た。
ビワをまた狙ってくるようであれば、運搬商会を力ずくで潰してやろうかと、カズは怒りが込み上げそうになっていた。
だがレオラの話では、その可能性は低いと言う。
では何なのかとカズが尋ねると、帝都では似付かわしくない者と接触したのを、その時監視の任に就いていたグラジオラスが見たとの事だった。
それをカズが抱え、ソファーに寝かせた。
レラの大きさは、大きさは憧れか欲望かを使用する前の、元々の大きさに戻った。
「今のレラには、まだ早いと言ってあったろ。なれもしない大きさになって、魔力を多く使いすぎた結果だ。身体にも負担がかかっただろ」
「ごめんカズ」
「挑発したアレナリアも悪いぞ」
「ごめんなさい」
「お見苦しいところを見せてすいません。アイリス様」
「そんなに小さいのに、アレナリアさんと同じくらいまで大きくなるなんてスゴいわね。これがレオラちゃんが言っていたアイテムの効果なのね」
レラの変化を見たアイリスは、しらけるる事も怒り事もせず、目の前の出来事に興奮して興味津々だった。
「カズがレラのために手に入れたアイテムだ。欲しがるなよ。姉上」
「そんな事しません。それよりレラちゃんは大丈夫なの?」
「急激に多くの魔力を消費したので、一時的に力が入らないだけでしょう。なので魔力を補充してやれば、元気になるので大丈夫です」
ソファーで寝転んでるレラの手を取り、カズは《魔力譲渡》を使い魔力を少しずつゆっくりレラに流していく。
アレナリアは少し羨ましそうに、横目で見ていた。
レオラは大きさは憧れか欲望かの効果が見れた事で満足し、アイリスはソファーで横になっているレラを心配して、カズの介抱で元気になるのか見守る。
しかし魔力譲渡は怪我を魔法で治療するのとは違い、目に見えて分かるものではない。
この場合魔力を流すカズと、それを受けるレラが感じて分かるだけで、他からはただ手を握っているだけにしか見えない。
体内に流れる魔力を可視化出来る能力でもあれば別だが、この場にそれが出来るとしたら、カズだけだろう。
「そのアイテムもレラ自身に託して管理させようと思ったが、調子に乗ってこんな無茶するなら、まだしばやくはナイフと一緒に、俺が管理して方がよさそうだな」
「ごめんカズ。もうしない。ちょっとずつ大きくなれるように、時間かけて練習するから。お願いカズ」
魔力を補充しているカズの手をぎゅと握り、取り上げないでとレラは懇願する。
これで駄目だと取り上げたら、今までと同じで、レラの成長の妨げになると考えた。
「だったら明日から三日使うの禁止。少しでも使ったら、取り上げて半年は使わせないからな」
「半年も!」
「がまんできないのか? なら、今すぐそれを外して渡すんだ」
「三日だけなんて余裕で出来る! なんだったら、十日でも余裕だもん」
「なら十日にするか?」
「ほえ!? いい、いい、三日でいいの! だからお願いカズぅ。大好きだよ!」
レラは握るカズの手にチュッチとキスをする。
魔力の補給も終わったので、カズはレラから手を離した。
手の甲はしっとりと、レラのよだれで濡れていた。
「……はいはい、分かったよ。明日から三日間だからな」
「あちし、がんはる!」
「もう少し横になっとけ。お酒も控えろ」
「えぇ~!」
「返事は?」
「わかったよ」
レラに釘を刺すと、カズはソファーを離れてキッチンに飲み物を取りに行く。
アイリスを屋敷まで送って行く事になったので、酔いはしないが酒を止めて、ビワに温かい麦茶を淹れてもらう。
料理を作り終えたビワとカーディナリスもリビングに移り、ソファーに座り会話をしながら食事を楽しむ。
普段なら食事をしながらの会話は、カーディナリスが渋い顔をするが、皇族が住まう屋敷ではなくレオラが個人で所有する一軒家で、カズ達の送別会として来ているのだから、ある程度は目をつぶり大目にみる。
流石にソファーで胡座をかいとするレオラに注意をした。
皇族としてでなく、女性としてはしたない、と。
カーディナリスの小言はこの一度だけで、あとは和気藹々とした時間が過ぎていく。
残った料理を冷蔵庫に入れて食器を片付けると、カーディナリスは先にレオラの屋敷に戻る事に。
帰り掛けに「渡したい物があるから、列車に乗る前に寄ってちょうだい」とビワに言い、送り届ける役目として一緒に来たアスターと川沿いの家を出た。
カーディナリスは本当なら今日ビワに渡したかったが、残念ながらそれは届かなく間に合わなかった。
魔導列車に乗るギリギリまでには間に合うだろうと考え、出発当日レオラの屋敷に来てくれるように言い、アイリスには「暗くなる前に屋敷へ戻るようにしてください」と、カーディナリスは子供の頃世話をした時の様に言った。
そしてカーディナリスがアスターと川沿いの家を出てから一時間程して、レオラが時間を見計らい、アレナリアと話しているアイリスに声を掛ける。
「もうそろそろ姉上は戻った方がいいだろ。これ以上は暗くなってしまう」
「まだいいでしょ。レオラちゃんとカズさんが護衛してくれるのなら、暗くなっても大丈夫よ」
「レオラ様はアイリス様の身の安全を思って言ってくださってるのです。我々も護衛の騎士として、アイリス様に危険が及ぶような事は避けねばなりません」
「耳が痛いわね(この後の事を考えるとなおさら)」
「わたしもカミーリアと同じです。レオラ様とカズ師匠が一緒なら安心だと思いますが、それでも万が一の事を考え、早めの帰宅をお願いします」
もう少しだけと甘えるアイリスに、護衛騎士のカミーリアとネモフィラが明るい内に屋敷に戻るようにと促す。
まだ話したそうにするアイリスだったが、あまりわがままを言って困らせてはいけないと、自分の屋敷に戻る事した。
アレナリアとの話が途中だったため、帰り支度等の時間を少し取り、十五分程したら行くとレオラが言い、アイリスは承諾する。
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「はい(なんだ?)」
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アイリス達が到着する直前に、顔付きが一瞬変わった時にしようとしてた話だろうかと、カズは思い当たる。
三階のレオラが何時も使う寝室の前に着くと、レオラに言われて先にカズが入る。
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「実は……」
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「ないとは言い切れない。が、もしそうだとしても、帝国を離れるビワを狙うのは無理だろ。双塔の街辺りまで警戒していれば、それ以上は追って来るまい」
「そうかも知れない。だったら今更なんだって言うんだ?」
レオラの話から、以前ビワを監視して付け狙っていた、運搬商会代表パラガス・ノイアの名が出た。
ビワをまた狙ってくるようであれば、運搬商会を力ずくで潰してやろうかと、カズは怒りが込み上げそうになっていた。
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