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五章 テクサイス帝国編 3 帝都テクサイス
687 交流のための買い出し
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カズはラプフと共に村の中心部に向かいながら、村長と喧嘩になった時の話を聞く。
三日前に村の女性十人と、村長を除いた男性十人を集めての話し合い。
集められた二十人は、外見から半人半蟲族だと判別しにくい若い村人達。
四人がシックス・タウンから魔導列車で農作の街ウエスト・ファームに行き、村でも育つ果実の苗木や野菜の種を買って来る。
他の四人が本の街キルケ・ライブラリーに行き、村人達から要望があった本を購入してくるという内容。
ラプフが話し合いに参加しているのは、村の外のことを村の中で一番知っているから。
話し合いに参加してほしいという村長の頼みを、村に住んでいるラプフが断る理由はない。
少しずつでも他の種族と交流をするようにと、村長はレオラから言われている事もあり、村で必要な物を買いに行く村人を話し合いで決めていた。
村から出るのを怖がる者も多く、話し合いに呼ばれた者は、村の外に興味を持つ若い村人。
この買い出しが切っ掛けで、村を出て暮らそうとする者もいれば、二度と村から出ないとする者もいる。
これで少しではあるが、街で暮す村人を通して、他の種族との交流が出来るようになって来ている。
話し合いは買う果実の苗木と野菜の種類を決め、農作の街ウエスト・ファームに行く村人を選び、決まると次は本の街キルケ・ライブラリーで購入する本の内容を決め、買い出しに行く四人を選ぶ。
それが決まると、最後に村長とラプフから村の外での注意事項等を話す。
そこで互いの主観、考えの違いから口論になり、ラプフはそれから村長と口をきいてない。
買い出しに出る村人も、買う物が決まっているのに、現在買い出しは行われず中断している状態。
「それでケンカの原因となった、その主観の違いってのは結局なんなの?」
「言いたくない」
「ここまで話として、それはないんじゃないか。村長とこのままなのも、よくないだろ」
「……」
「わかった。ならレオラ様に聞いてもらおう。それならいいだろ」
それからラプフは不貞腐ったのか、無言になってしまった。
レオラは子供達を引き連れて村を回り、村人達の話を聞いて、村の現状を把握していく。
村人達の話を聞いて回っていたレオラは、現在村長宅で村長と二人だけで居る。
そこへ小川の上流から戻って来たカズは、村人からレオラの居る場所を聞き、ラプフと共に村長宅に向かう。
幸か不幸かレオラが村長宅に居ると聞いたラプフの表情は渋い。
足取り重く(実際は浮遊しているので、足取りは重くない)村長宅に着く。
外から一声かけると、村長ではなくレオラから「入れ」と声がした。
カズは引き戸を開けて村長宅に入る。
なんだか空気が重く感じられた。
ラプフはそれが分かっていたのか、カズの後ろに隠れるようにして入る。
「ん? ラプフは来てないのか」
「レオラ様に会いたいと言っていたので、一緒に来ました」
カズの後ろから、こそっと顔を出すラプフ。
「そんな所にいないで、こっちに来て座れ」
「…はい」
ラプフは下を向いたまま村長の隣に座り、二人の正面にはレオラが鎮座している。
気不味そうにしていたラプフの表情は強張り、横に座りまだ一言も発してない村長は青ざめていた。
「二人がそろったところで、ラプフから話を聞かせてもらおう。それでどうして街への買い出しが行われてないかを、二人からの話をすり合わせて判断する」
レオラが今回の事態を知ったのは、村を回って話を聞いていた村人の中に、買い出しに行く内の一人が居たからだ。
大きな街を見て回るのを楽しみにしていたのが、ラプフとの口論で村長の機嫌が悪くなり延期になった。
最終的な決定権を持つのは村長なので、選ばれた村人からは何も言えなかった。
そう村人から話を聞いたレオラが村長宅に訪れ、その真偽を確かめるために話を聞いた。
片一方だけの話を聞いただけでは誤った判断をしてしまうと、レオラはラプフの口から話を聞くまで村長には何も言わなかった。
ただレオラが推し進めている外との交流を、村長の個人的な感情で停滞している。
それを村長自身も分かっていたので、レオラから叱責されると考えていた。
ラプフはカズに話したのと同じ内容をレオラに話す。
カズには言いたくないと隠した内容も、レオラに包み隠さず。
「他の種族に接する機会を作り、閉鎖的な環境を変えていく。外の者達に村の半人半蟲族を毛嫌いされなくするには、少数ずつでも街で暮らす必要がある。村長も賛成したろ」
「はい。賛成しました」
「買い出しに行く村人は本人の意識で無理強いはしない。選ばれたのに実行しないと、本人のやる気が薄れるだろ」
「そ、その通りです」
村長は返事をする時も顔を伏せたままで、レオラの顔を見ることができない。
隣で座るラプフも話の途中から視線が下がり、うつ向いたまま緊張している。
それをカズは部屋の隅に座り様子を見ていた。
「まったく、どんな理由があるかと思えば。ハァ……」
レオラは村長に視線を向け、大きな溜め息を付いた。
理由を聞いていたカズは、ラプフが話したがらない筈だと呆れた。
「あのなぁ、買い食いはするなとか、寝る時間がどうのだとか、子供じゃないんだぞ。街へ買い出しに行かせるのは、自分達で考え、学ばせるためだろ。それを村長のお前が決めてどうする」
最終的な決定権を持つ村長が、買い出しを中断する事になった口喧嘩とは、街での注意事項をラプフが話した際に、買い出しに行く若い村人が人の多さに気圧されないようにと、楽しむことも必要だと話したのが原因。
農作の街ウエスト・ファームの名物になっている、多種多様の果物を使った果汁100%のジュースや、ミルクを合わせたフルーツミルクと大人向けのフルーツミルク酒。
買い出す物を忘れずに、他者に迷惑を掛けなければ、買い食いをして楽しんでくれば良いとラプフが話した。
それに村長が反発し、今回選ばれなかった者や、甘味や娯楽をあまり楽しめてない村人のことを考え、ラプフの言ったようなことは控えるようにと訂正した。
ラプフは物見遊山をさせるという意味で言ったわけではないと反論し、売り言葉に買い言葉が続き現在に至る。
「今まではそんな事を言わなかったろ。なぜ今回に限って言い出したんだ? 村長」
額に浮かぶ汗を拭き、村長はラプフの話に反発した理由を話す。
買い出しに行く村人を選ぶのに、ラプフを参加させたのは今回が初めてだった。
村の外からやって来たラプフなら、きっとためになる事を話してくれるだろうと。
それが話してほしくなかった事を言われてしまい、いつになくムキになって反発してまった。
前回買い出しに選ばれた若い村人が、街で滞在した数日が思いのほか楽しかったのか、羽目を外し過ぎて買う物を忘れて、必要とした半分も持ち帰らなかった。
始めは反省していたが、街での生活と村での質素な生活を比べてしまい、前回買い出しに行った若い村人達全員が街で暮らすと村を出た。
ただ誰が何処に街に暮らすかは言わず、顔を見せに来る様子もない。
そこで次の買い出しに行く若い村人達には、街での行動に制限を付けると、村人と相談せずに独断で考え実行するつもりだった。
ただ一方的に制限を付けても、村の外を見たいと意気込む若い村人達を落胆させる事になると考え、旅をして来たラプフを参加させたが、思っていたようにはいかなかった。
ラプフがどういう経緯で村に住む事になり、旅での辛い記憶を思い出しても、それを話さずにいたのか。
そして買い出しに行く若い村人が、街に興味を持つ事を話したのかは、レオラの考えをラプフが知っていたから。
それを口論があった翌日、冷静になり思い出したが、互いに会うのを避けて今に至った。
三日前に村の女性十人と、村長を除いた男性十人を集めての話し合い。
集められた二十人は、外見から半人半蟲族だと判別しにくい若い村人達。
四人がシックス・タウンから魔導列車で農作の街ウエスト・ファームに行き、村でも育つ果実の苗木や野菜の種を買って来る。
他の四人が本の街キルケ・ライブラリーに行き、村人達から要望があった本を購入してくるという内容。
ラプフが話し合いに参加しているのは、村の外のことを村の中で一番知っているから。
話し合いに参加してほしいという村長の頼みを、村に住んでいるラプフが断る理由はない。
少しずつでも他の種族と交流をするようにと、村長はレオラから言われている事もあり、村で必要な物を買いに行く村人を話し合いで決めていた。
村から出るのを怖がる者も多く、話し合いに呼ばれた者は、村の外に興味を持つ若い村人。
この買い出しが切っ掛けで、村を出て暮らそうとする者もいれば、二度と村から出ないとする者もいる。
これで少しではあるが、街で暮す村人を通して、他の種族との交流が出来るようになって来ている。
話し合いは買う果実の苗木と野菜の種類を決め、農作の街ウエスト・ファームに行く村人を選び、決まると次は本の街キルケ・ライブラリーで購入する本の内容を決め、買い出しに行く四人を選ぶ。
それが決まると、最後に村長とラプフから村の外での注意事項等を話す。
そこで互いの主観、考えの違いから口論になり、ラプフはそれから村長と口をきいてない。
買い出しに出る村人も、買う物が決まっているのに、現在買い出しは行われず中断している状態。
「それでケンカの原因となった、その主観の違いってのは結局なんなの?」
「言いたくない」
「ここまで話として、それはないんじゃないか。村長とこのままなのも、よくないだろ」
「……」
「わかった。ならレオラ様に聞いてもらおう。それならいいだろ」
それからラプフは不貞腐ったのか、無言になってしまった。
レオラは子供達を引き連れて村を回り、村人達の話を聞いて、村の現状を把握していく。
村人達の話を聞いて回っていたレオラは、現在村長宅で村長と二人だけで居る。
そこへ小川の上流から戻って来たカズは、村人からレオラの居る場所を聞き、ラプフと共に村長宅に向かう。
幸か不幸かレオラが村長宅に居ると聞いたラプフの表情は渋い。
足取り重く(実際は浮遊しているので、足取りは重くない)村長宅に着く。
外から一声かけると、村長ではなくレオラから「入れ」と声がした。
カズは引き戸を開けて村長宅に入る。
なんだか空気が重く感じられた。
ラプフはそれが分かっていたのか、カズの後ろに隠れるようにして入る。
「ん? ラプフは来てないのか」
「レオラ様に会いたいと言っていたので、一緒に来ました」
カズの後ろから、こそっと顔を出すラプフ。
「そんな所にいないで、こっちに来て座れ」
「…はい」
ラプフは下を向いたまま村長の隣に座り、二人の正面にはレオラが鎮座している。
気不味そうにしていたラプフの表情は強張り、横に座りまだ一言も発してない村長は青ざめていた。
「二人がそろったところで、ラプフから話を聞かせてもらおう。それでどうして街への買い出しが行われてないかを、二人からの話をすり合わせて判断する」
レオラが今回の事態を知ったのは、村を回って話を聞いていた村人の中に、買い出しに行く内の一人が居たからだ。
大きな街を見て回るのを楽しみにしていたのが、ラプフとの口論で村長の機嫌が悪くなり延期になった。
最終的な決定権を持つのは村長なので、選ばれた村人からは何も言えなかった。
そう村人から話を聞いたレオラが村長宅に訪れ、その真偽を確かめるために話を聞いた。
片一方だけの話を聞いただけでは誤った判断をしてしまうと、レオラはラプフの口から話を聞くまで村長には何も言わなかった。
ただレオラが推し進めている外との交流を、村長の個人的な感情で停滞している。
それを村長自身も分かっていたので、レオラから叱責されると考えていた。
ラプフはカズに話したのと同じ内容をレオラに話す。
カズには言いたくないと隠した内容も、レオラに包み隠さず。
「他の種族に接する機会を作り、閉鎖的な環境を変えていく。外の者達に村の半人半蟲族を毛嫌いされなくするには、少数ずつでも街で暮らす必要がある。村長も賛成したろ」
「はい。賛成しました」
「買い出しに行く村人は本人の意識で無理強いはしない。選ばれたのに実行しないと、本人のやる気が薄れるだろ」
「そ、その通りです」
村長は返事をする時も顔を伏せたままで、レオラの顔を見ることができない。
隣で座るラプフも話の途中から視線が下がり、うつ向いたまま緊張している。
それをカズは部屋の隅に座り様子を見ていた。
「まったく、どんな理由があるかと思えば。ハァ……」
レオラは村長に視線を向け、大きな溜め息を付いた。
理由を聞いていたカズは、ラプフが話したがらない筈だと呆れた。
「あのなぁ、買い食いはするなとか、寝る時間がどうのだとか、子供じゃないんだぞ。街へ買い出しに行かせるのは、自分達で考え、学ばせるためだろ。それを村長のお前が決めてどうする」
最終的な決定権を持つ村長が、買い出しを中断する事になった口喧嘩とは、街での注意事項をラプフが話した際に、買い出しに行く若い村人が人の多さに気圧されないようにと、楽しむことも必要だと話したのが原因。
農作の街ウエスト・ファームの名物になっている、多種多様の果物を使った果汁100%のジュースや、ミルクを合わせたフルーツミルクと大人向けのフルーツミルク酒。
買い出す物を忘れずに、他者に迷惑を掛けなければ、買い食いをして楽しんでくれば良いとラプフが話した。
それに村長が反発し、今回選ばれなかった者や、甘味や娯楽をあまり楽しめてない村人のことを考え、ラプフの言ったようなことは控えるようにと訂正した。
ラプフは物見遊山をさせるという意味で言ったわけではないと反論し、売り言葉に買い言葉が続き現在に至る。
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それが話してほしくなかった事を言われてしまい、いつになくムキになって反発してまった。
前回買い出しに選ばれた若い村人が、街で滞在した数日が思いのほか楽しかったのか、羽目を外し過ぎて買う物を忘れて、必要とした半分も持ち帰らなかった。
始めは反省していたが、街での生活と村での質素な生活を比べてしまい、前回買い出しに行った若い村人達全員が街で暮らすと村を出た。
ただ誰が何処に街に暮らすかは言わず、顔を見せに来る様子もない。
そこで次の買い出しに行く若い村人達には、街での行動に制限を付けると、村人と相談せずに独断で考え実行するつもりだった。
ただ一方的に制限を付けても、村の外を見たいと意気込む若い村人達を落胆させる事になると考え、旅をして来たラプフを参加させたが、思っていたようにはいかなかった。
ラプフがどういう経緯で村に住む事になり、旅での辛い記憶を思い出しても、それを話さずにいたのか。
そして買い出しに行く若い村人が、街に興味を持つ事を話したのかは、レオラの考えをラプフが知っていたから。
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