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五章 テクサイス帝国編 3 帝都テクサイス
647 種族を超えた恋物語 第四部フェアリー編 終節
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【種族を超えた恋物語 第四部フェアリー編 種族を捨てた果てに 終節 後悔の念に駆られ】
フェアリーだった存在は完全に日が落ちて暗くなるまで建物の陰に隠れ、その後人目を避けながら青年が働く商店に向かった。
小さな町のどの辺りに、外観はどのような、どの程度の大きさなのかは、これまでの会話で何度も聞いていた。
そのため青年が働く商店を見付けるのは、そう難しい事ではなかった。
だが、やはりと言うべきか、商店を見付けるも既に閉店していた。
フェアリーだった存在は商店の裏へと回ると、少しだけ開いた窓を見付け、そこから隙間から中を覗いた。
中を見渡せる範囲は狭く、数人の姿を確認する事は出来たが、そこに青年は含まれていない。
誰かが裏口から出て来ようとしているのに気付き、フェアリーだった存在は近くに置いてあった木箱の後ろに隠れる。
見付からない様にして、開いた裏口からそっと商店内を観察。
そこで窓の隙間からは見えなかった場所に、青年の姿を確認した。
嬉しさのあまり隠れた木箱の後ろから姿を現し、商店内に入って行ってしまいそうになる気持ちを落ち着かせる。
一人また一人と、商店で働く従業員が裏口から出て行く。
青年は支店であるこの商店を任せられているので、ここまま待ち続けても青年は出て来ない。
もう誰も裏口から出てこないと感じ、フェアリーだった存在は隠れていた木箱の後ろから出て、商店の裏口の扉に手を掛けてゆっくりと開ける。
裏口の扉が開いたのに気付き、従業員が忘れ物でもしたのかと思い、声を掛けながら一人の人物がやって来る。
それは商店の店主であり、紛れもなくあの青年だった。
裏口に薄汚れた格好をして、裸足で立つ小柄な女性に、青年は物乞いが来たと思った。
大きな街にある商店の支店であるこの店は、青年が住む小さな町では五本の指に入る有名店。
なので物乞いが来る事は珍しくもないが、一応訪ねて来た理由を青年は聞く。
その問いに、自分は山で会っていたフェアリーだと言い、秘宝のリングを使い人族となって会いに来た事を伝えた。
そんな事あるわけないと思う青年に、フェアリーだった存在は二人にしか分からない事を話す。
それを聞き半信半疑だった青年が、幾つかの質問を投げ掛けた。
出会った頃の事や、会っていた場所や樹洞についてなどを。
数度言葉のやり取りをして、裏口に立つ薄汚れた格好をした裸足の小柄な女性か、あのフェアリーだと青年は確信した。
そこに誰かと話す青年の声を聞きつけて、一人の女性が姿を現す。
フェアリーだった存在の顔が曇り、青年は哀れな物乞いだと説明をして外へと連れ出す。
たまにある事のようで、現れた女性はそれを不審がる様子はなかった。
青年は先程の女性と結婚している、お前のことは嫌いだ、もう二度と来ないでくれとフェアリーだった存在に強く言う。
互いに惹かれ合い、心の内を知った両者が一緒になるんだと、フェアリーだった存在は確信していた。
しかし突き付けられた現実は違った。
理由も話さず突如として別れを告げた青年に、覚悟を決めて秘宝のリングを使い会いに来ると、そこには共に暮らす女性の姿が。
信じられないとフェアリーだった存在は、青年にどうしてこうなったかを捲し立てる。
青年の鼓動は一度大きく打ち、悲しそうな苦しそうな表情を見せる。
しかしそれは一瞬の事で、フェアリーだった存在は混乱して、それに気付いてない。
青年は唇を噛み血を滲ませ、フェアリーだった存在に小袋を握らせて、秘密の抜け穴から小さな町の外に追い出す。
内側から周囲にある物で秘密の抜け穴を塞ぎ、入ってこれないようにする。
外からすすり泣く声が聞こえるも、青年は一度も振り返る事なく商店に戻って行く。
身を震わせて耐え難い苦しみに表情を歪ませ、今にも大声で叫び出しそうになるのをこらえる。
今にも雨が降りそうな雲行きの中を、元居た山へと向かうわけでもなく、フェアリーだった存在は徘徊する。
ただ青年が住む小さな町からは離れるように。
押し付け持たされた小袋から、一枚また一枚と銀貨が落ちる。
そこに酒に酔った大柄の男が落ちている銀貨を見付けて拾い集め、フェアリーだった存在が力なく持つ小袋から落ちているのを見付ける。
ポツポツと降り始める雨を気にもとめず、酔った大柄の男は舌舐めずりしてフェアリーだった存在の腕を引っ張り、草っぱらに押し倒して、力任せに服を引き千切る。
生きる気力を失っていたフェアリーだった存在は、酔った大柄の男に抵抗もせずにされるがまま。
胸を揉みしだき全身を舐め回して、酔った大柄の男はフェアリーだった存在を凌辱する。
そして酔った大柄の男は、股座から大量出血するフェアリーだった存在の首に手をかけて、恍惚の表情を浮かべる。
首を絞められて気管が狭まり、ピュゥと息の漏れる音がした直後、フェアリーだった存在は痙攣を起こす。
息は止まり心臓の鼓動も弱くなり、辛うじて残っていた意識も薄れて消える。
酔った大柄の男は銀貨の入った小袋を持ち、満足気にその場を立ち去る。
翌日青年の商店に、小さな町を警備する衛兵が訪ねて来た。
案件は今朝早くに拘束した男が持っていた物について。
見せられたそれは、昨夜にフェアリーだった存在に渡した小袋。
小袋には青年の働く商店の印が入っていたために、衛兵が盗まれた物ではと確認に来た。
青年の顔はみるみる青ざめ、物乞いの女性に差し上げたと話した。
捕らえた男が拾ったと証言した近くに不自然に倒れた草と、雨で広がったと考えられる血痕が見付かった事を伝えると、青年は焦る気持ちを抑え、衛兵の案内でその場所に向かう。
二人の衛兵が調査をしている姿が、青年の視界に入る。
衛兵同士が言葉を交わし終えると、青年は不自然に草が倒れた血痕がある場所を見るも、死体らしき物はない。
衛兵が確認に来た時にはこの状態だと聞かされ、あったのはこれだけだと青年に指輪が見せられた。
盗まれた物なのか、物乞いの女性の物なのかを衛兵は尋ねる。
青年は嗚咽しそうになるのを耐え、物乞いの女性に小袋の銀貨と共に差し上げたと物だと答え、実際は自分の物ではないが、あのフェアリーの物だと知ってる青年は、衛兵に頼み指輪を受け取った。
数日後酔った大柄の男は、多くの罪を犯している事が分かり縛り首となった。
フェアリーだった存在が人族になって青年を訪ね、秘宝のリングだけを残して消えてから半年後。
雪が溶けて山に入れる季節になり、青年はあの場所へとやって来ていた。
フェアリーが何時も座っていた川縁の石の上に、秘宝と聞いていたリングを置く。
出会ってからの事を思い出し、この場所で身勝手に別れを告げた理由を、後悔の念に駆られながら語りだす。
大きな町に住む豪商の助けた一人娘と半ば強引に結婚する事になり、それをどう伝えればと考え、身勝手な言い分で嫌われようとした。
だが実際に会うと言葉が出ず、最後は一方的に怒鳴って山を下りてしまった。
豪商の一人娘と結婚を断れば、仕事はなくなり町にも住めず路頭に迷う羽目に。
その上、この山に盗賊が潜伏していないか、衛兵に進言して調査をさせる事が出来ると言ってきた。
近隣で盗賊の目撃情報もあった事から、豪商が進言すれば調査が入る可能性は十分にあった。
フェアリーが居る事までは知られていないようだったが、青年が何かと接触しているのを、豪商は感付いていた。
豪商にとって誰と会っていようと、一人娘と結婚して小さな町の支店を継げはそれでよかった。
多少の事なら金銭で揉み消す事が出来るからだ。
青年はフェアリーと他の土地に移り、細々と暮らす事も考えたが、何かあっても守れるような力もなく、不幸にさせるならいっそ別れようと決意した。
しかしその考えは、最悪の結果となってしまった。
地面に膝をつき大粒の涙を流しながら、何度も何度も地面を叩き、謝罪の言葉を何度も口にする。
どれだけ泣こうが謝ろうが、もうあの声を聞くことも、笑顔を見ることも、肌を触れ合わせることもできない。
二人で身を寄せ合い、狭い中で語り合っていた樹洞に入り、持って来たナイフで喉を突き自ら命を絶った。
あの時の死んでいた筈のこの場所で。
何処かで生きているのではと探すも見付からず、諦めてすぐに後を追おうとしたが、店で働く従業員を路頭に迷わせる事はできなかった。
無理矢理でも結婚した豪商の一人娘に別れを告げ、半年の間に身の回りの整理をして、最後は支店を従業員に任せ、自分は全てを捨てて町を出た。
この判断があの時に出来ていればと考えるも、全てが遅い。
こんな事をしても何の報いにもならないのは分かっている。
だけどこのまま生きていくことはできなかった青年故の行動だった。
人族の青年に想いを寄せる一人のフェアリーが、全てを投げ捨てて人族となるも、両想いだった恋は実らず非業の死遂げ、判断を誤った青年が後を追う。
種族という壁が二人を分かつ物語。
フェアリーだった存在は完全に日が落ちて暗くなるまで建物の陰に隠れ、その後人目を避けながら青年が働く商店に向かった。
小さな町のどの辺りに、外観はどのような、どの程度の大きさなのかは、これまでの会話で何度も聞いていた。
そのため青年が働く商店を見付けるのは、そう難しい事ではなかった。
だが、やはりと言うべきか、商店を見付けるも既に閉店していた。
フェアリーだった存在は商店の裏へと回ると、少しだけ開いた窓を見付け、そこから隙間から中を覗いた。
中を見渡せる範囲は狭く、数人の姿を確認する事は出来たが、そこに青年は含まれていない。
誰かが裏口から出て来ようとしているのに気付き、フェアリーだった存在は近くに置いてあった木箱の後ろに隠れる。
見付からない様にして、開いた裏口からそっと商店内を観察。
そこで窓の隙間からは見えなかった場所に、青年の姿を確認した。
嬉しさのあまり隠れた木箱の後ろから姿を現し、商店内に入って行ってしまいそうになる気持ちを落ち着かせる。
一人また一人と、商店で働く従業員が裏口から出て行く。
青年は支店であるこの商店を任せられているので、ここまま待ち続けても青年は出て来ない。
もう誰も裏口から出てこないと感じ、フェアリーだった存在は隠れていた木箱の後ろから出て、商店の裏口の扉に手を掛けてゆっくりと開ける。
裏口の扉が開いたのに気付き、従業員が忘れ物でもしたのかと思い、声を掛けながら一人の人物がやって来る。
それは商店の店主であり、紛れもなくあの青年だった。
裏口に薄汚れた格好をして、裸足で立つ小柄な女性に、青年は物乞いが来たと思った。
大きな街にある商店の支店であるこの店は、青年が住む小さな町では五本の指に入る有名店。
なので物乞いが来る事は珍しくもないが、一応訪ねて来た理由を青年は聞く。
その問いに、自分は山で会っていたフェアリーだと言い、秘宝のリングを使い人族となって会いに来た事を伝えた。
そんな事あるわけないと思う青年に、フェアリーだった存在は二人にしか分からない事を話す。
それを聞き半信半疑だった青年が、幾つかの質問を投げ掛けた。
出会った頃の事や、会っていた場所や樹洞についてなどを。
数度言葉のやり取りをして、裏口に立つ薄汚れた格好をした裸足の小柄な女性か、あのフェアリーだと青年は確信した。
そこに誰かと話す青年の声を聞きつけて、一人の女性が姿を現す。
フェアリーだった存在の顔が曇り、青年は哀れな物乞いだと説明をして外へと連れ出す。
たまにある事のようで、現れた女性はそれを不審がる様子はなかった。
青年は先程の女性と結婚している、お前のことは嫌いだ、もう二度と来ないでくれとフェアリーだった存在に強く言う。
互いに惹かれ合い、心の内を知った両者が一緒になるんだと、フェアリーだった存在は確信していた。
しかし突き付けられた現実は違った。
理由も話さず突如として別れを告げた青年に、覚悟を決めて秘宝のリングを使い会いに来ると、そこには共に暮らす女性の姿が。
信じられないとフェアリーだった存在は、青年にどうしてこうなったかを捲し立てる。
青年の鼓動は一度大きく打ち、悲しそうな苦しそうな表情を見せる。
しかしそれは一瞬の事で、フェアリーだった存在は混乱して、それに気付いてない。
青年は唇を噛み血を滲ませ、フェアリーだった存在に小袋を握らせて、秘密の抜け穴から小さな町の外に追い出す。
内側から周囲にある物で秘密の抜け穴を塞ぎ、入ってこれないようにする。
外からすすり泣く声が聞こえるも、青年は一度も振り返る事なく商店に戻って行く。
身を震わせて耐え難い苦しみに表情を歪ませ、今にも大声で叫び出しそうになるのをこらえる。
今にも雨が降りそうな雲行きの中を、元居た山へと向かうわけでもなく、フェアリーだった存在は徘徊する。
ただ青年が住む小さな町からは離れるように。
押し付け持たされた小袋から、一枚また一枚と銀貨が落ちる。
そこに酒に酔った大柄の男が落ちている銀貨を見付けて拾い集め、フェアリーだった存在が力なく持つ小袋から落ちているのを見付ける。
ポツポツと降り始める雨を気にもとめず、酔った大柄の男は舌舐めずりしてフェアリーだった存在の腕を引っ張り、草っぱらに押し倒して、力任せに服を引き千切る。
生きる気力を失っていたフェアリーだった存在は、酔った大柄の男に抵抗もせずにされるがまま。
胸を揉みしだき全身を舐め回して、酔った大柄の男はフェアリーだった存在を凌辱する。
そして酔った大柄の男は、股座から大量出血するフェアリーだった存在の首に手をかけて、恍惚の表情を浮かべる。
首を絞められて気管が狭まり、ピュゥと息の漏れる音がした直後、フェアリーだった存在は痙攣を起こす。
息は止まり心臓の鼓動も弱くなり、辛うじて残っていた意識も薄れて消える。
酔った大柄の男は銀貨の入った小袋を持ち、満足気にその場を立ち去る。
翌日青年の商店に、小さな町を警備する衛兵が訪ねて来た。
案件は今朝早くに拘束した男が持っていた物について。
見せられたそれは、昨夜にフェアリーだった存在に渡した小袋。
小袋には青年の働く商店の印が入っていたために、衛兵が盗まれた物ではと確認に来た。
青年の顔はみるみる青ざめ、物乞いの女性に差し上げたと話した。
捕らえた男が拾ったと証言した近くに不自然に倒れた草と、雨で広がったと考えられる血痕が見付かった事を伝えると、青年は焦る気持ちを抑え、衛兵の案内でその場所に向かう。
二人の衛兵が調査をしている姿が、青年の視界に入る。
衛兵同士が言葉を交わし終えると、青年は不自然に草が倒れた血痕がある場所を見るも、死体らしき物はない。
衛兵が確認に来た時にはこの状態だと聞かされ、あったのはこれだけだと青年に指輪が見せられた。
盗まれた物なのか、物乞いの女性の物なのかを衛兵は尋ねる。
青年は嗚咽しそうになるのを耐え、物乞いの女性に小袋の銀貨と共に差し上げたと物だと答え、実際は自分の物ではないが、あのフェアリーの物だと知ってる青年は、衛兵に頼み指輪を受け取った。
数日後酔った大柄の男は、多くの罪を犯している事が分かり縛り首となった。
フェアリーだった存在が人族になって青年を訪ね、秘宝のリングだけを残して消えてから半年後。
雪が溶けて山に入れる季節になり、青年はあの場所へとやって来ていた。
フェアリーが何時も座っていた川縁の石の上に、秘宝と聞いていたリングを置く。
出会ってからの事を思い出し、この場所で身勝手に別れを告げた理由を、後悔の念に駆られながら語りだす。
大きな町に住む豪商の助けた一人娘と半ば強引に結婚する事になり、それをどう伝えればと考え、身勝手な言い分で嫌われようとした。
だが実際に会うと言葉が出ず、最後は一方的に怒鳴って山を下りてしまった。
豪商の一人娘と結婚を断れば、仕事はなくなり町にも住めず路頭に迷う羽目に。
その上、この山に盗賊が潜伏していないか、衛兵に進言して調査をさせる事が出来ると言ってきた。
近隣で盗賊の目撃情報もあった事から、豪商が進言すれば調査が入る可能性は十分にあった。
フェアリーが居る事までは知られていないようだったが、青年が何かと接触しているのを、豪商は感付いていた。
豪商にとって誰と会っていようと、一人娘と結婚して小さな町の支店を継げはそれでよかった。
多少の事なら金銭で揉み消す事が出来るからだ。
青年はフェアリーと他の土地に移り、細々と暮らす事も考えたが、何かあっても守れるような力もなく、不幸にさせるならいっそ別れようと決意した。
しかしその考えは、最悪の結果となってしまった。
地面に膝をつき大粒の涙を流しながら、何度も何度も地面を叩き、謝罪の言葉を何度も口にする。
どれだけ泣こうが謝ろうが、もうあの声を聞くことも、笑顔を見ることも、肌を触れ合わせることもできない。
二人で身を寄せ合い、狭い中で語り合っていた樹洞に入り、持って来たナイフで喉を突き自ら命を絶った。
あの時の死んでいた筈のこの場所で。
何処かで生きているのではと探すも見付からず、諦めてすぐに後を追おうとしたが、店で働く従業員を路頭に迷わせる事はできなかった。
無理矢理でも結婚した豪商の一人娘に別れを告げ、半年の間に身の回りの整理をして、最後は支店を従業員に任せ、自分は全てを捨てて町を出た。
この判断があの時に出来ていればと考えるも、全てが遅い。
こんな事をしても何の報いにもならないのは分かっている。
だけどこのまま生きていくことはできなかった青年故の行動だった。
人族の青年に想いを寄せる一人のフェアリーが、全てを投げ捨てて人族となるも、両想いだった恋は実らず非業の死遂げ、判断を誤った青年が後を追う。
種族という壁が二人を分かつ物語。
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