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五章 テクサイス帝国編 3 帝都テクサイス
635 再び資源と潤沢ダンジョンへ
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サイネリアから見せられた依頼書で、ワイバーンが縄張りを争いをしている場所は、カズがフジと再開した場所の付近だと分かり、場所探しに時間を使う事はなかった。
縄張りを争いをしているワイバーンが現れる場所は分かったが、フジが接近しては警戒して現れないかも知れない。
なので10キロ以上離れた場所の荒野に下り、フジは目視でワイバーンが現れるかを見て、カズは【マップ】にモンスター反応が現れるかを注意する。
あと一時間半もすれば昼になるので、取りあえずそれまで様子を見る事にした。
荒野で待つにしても強風で砂ぼこりが舞うので、風避けの石壁を〈ストーンウォール〉で作りフジと暫く待機する。
四十分程待機していると風が弱まり、更に三十分経つと街から街へ移動する行商人や、物資を運搬馬車が通り出した。
フジが大峡谷の方に視線を強めると、カズはストーンウォールで作った石壁を解除して【マップ】の範囲を広める。
大峡谷の北と南から、それぞれ四体のモンスター反応があり、接近して来ているのを確認した。
行き交う者達が襲われる前に、カズはフジと共に大峡谷の街道へと向かう。
先に大峡谷の街道に現れたのは、北から飛んで来た四体のワイバーン。
行商人は背負う荷物を放りだし、御者は馬の尻を叩き全力で走らせる。
二匹の馬で二台連結した移動が遅い荷馬車を狙い、少し小さな二体のワイバーンが動く。
大きな方のもう二体のワイバーンは、数百メートルの所まで接近して来ている、南からのワイバーン四体を牽制。
少し小さな二体のワイバーンが二台連結した荷馬車に爪を掛けようとした瞬間、間近まで接近したフジが風属性魔法〈エアーバースト〉を使用して、大峡谷へと吹き飛ばす。
街道寸前でフジから飛び下りてたカズは、二台連結した荷馬車の馬に〈身体強化〉を使い、それを御者に伝えて急いでこの場を離れさせた。
フジにより小さな二体のワイバーンが吹き飛ばされた事で、他の六体のワイバーンがカズとフジの存在に気付いた。
高原で物足りなさを感じていたフジに、カズは互いのリーダー格の大きな二体のワイバーンを、最初に倒すように指示をする。
それで他のワイバーンが散れば、そこまで。
そうでなければ、残りの六体も倒して構わないと付け加えた。
今のフジならば複数のワイバーンを相手にしても問題ないだろうが、流石に八体ともなると少し厳しいかも知れない。
前回のように不意打ちをしたのは、八体の内二体だけ。
しかも倒したわけではない。
それを承知で、カズは出来るだけフジに任せ、今の実力をここで確かめる事にした。
最初に吹き飛ばした小さな二体のワイバーンが復帰し、縄張り争いをしていたワイバーン達がフジを強いと認識し、徒党を組み雑ながら連携攻撃を仕掛ける。
飛行能力ならフジの方が格上だが、ワイバーンも風属性魔法を使うので、フジの戦い方によっては少し厳しいかも知れない。
状況に応じて、カズが加勢をしなければならない。
しかしそんなカズの心配は無用だった。
八体のワイバーンと戦い始めて十数分でほぼ結果が見えた。
接近して噛み付こうとするも、リーダー格のワイバーン二体はフジのスピードに全く追い付けず、触れる事すらできない。
ならばとワイバーンが風属性魔法を使えば、フジはそれより強力な風属性魔法で掻き消し、完全なワンサイドゲームになった。
「ワイバーンの肉食うか?」
「『不味そうだからいらない』」
「なんか筋張ってそうだもんな。じゃあ全部ギルドに渡すがいいか?」
「『いいよ』」
フジの承諾を得て、四体のワイバーンを【アイテムボックス】に回収した。
大峡谷に落ちて四体のワイバーンは、回収が面倒なので放置した。
おそらく大峡谷の底まで行くと、ワイバーン以外にも他の種族の死骸が多く散乱しているだろうと考えられた。
事故で落ちた者や、ワイバーンや他のモンスターに襲われて落下した者が。
大峡谷の底も気にはなるが、考えた状況になっているとしたら、見に行こうとは思わない。
以前レオラから、大峡谷の底にある遺跡の事を聞いたが、場所がハッキリしてないので、機会があればということにした。
ワイバーンの回収を終えて、大峡谷沿いの街道を南下して、フォース・キャニオンに向かう。
街中にフジを連れては行けないので、街から南に離れた場所で待っていてもらう事にし、カズはフォース・キャニオンの冒険者ギルドに行く。
帝都の冒険者ギルド本部から連絡が入っていたので、カズはギルドカードを提示して、ここフォース・キャニオンの冒険者ギルドが管理する、資源と潤沢のダンジョンに入るための鍵を受け取る。
フォース・キャニオンの街を南に抜けてフジと合流し、軽く昼食を取ってから資源と潤沢のダンジョンに向かう。
入口が狭いのでフジが入る事はできない。
「明後日の夕方には出て来るから、それまでは自由に過ごしてくれ。住み家に戻るならそれでもいいぞ」
「『ならそうする。迎え来る?』」
「そうだな。一応フジと一緒に行動してるって事にしたいから、迎えに来てくれるか」
「『わかったよ。カズ』」
「頼むな。明後日の昼過ぎに来てくれ。だいたいでいいからな」
フジが飛び去るのを見送り、カズはギルドで受け取った鍵を使い、ダンジョンに入って行く。
カズは先ず地下二階層でコロコロ鳥の卵を回収しつつ、下の階に通じる石階段まで移動する。
次に地下三階層の森林地帯に行き、採取に時間が掛かるミルキーウッドの樹液を取る道具とビンを取り付け、以前にも使った一人用のテントを設置した。
その後地下四階層に下りて、二時間程鉱石を採取して戻り、夕食を取り就寝する。
◇◆◇◆◇
早朝起きて先ずは、ミルキーウッドの樹液が入ったビンを回収して、新しいビンに交換する。
一通り終えたら朝食を取り、午前中は地下四階層に下りて鉱石を採掘する。
午後は地下五階層に下りて、モンスターを倒して魔石と呼ばれる魔核を回収していく。
外と違いダンジョン内では魔素が濃ければ、それだけ多くのモンスターが発生するので、絶滅するような事は基本的にない。
またダンジョンを出る時に、多くの魔力を放出していけば問題ないだろうと、フォース・キャニオンの冒険者ギルドで聞いた話から、カズは遠慮せずにモンスターを狩っていく。
フォース・キャニオンの冒険者ギルドで聞いた話というのが、以前資源と潤沢のダンジョンに入った半月程後に、五人組の冒険者パーティーが入り、予想以上の収穫を得たと報告を受け、その話が噂として何処からか広まったのだと。
噂を聞いた大峡谷沿いの街を移動して活動している冒険者が、自分達も資源と潤沢のダンジョンに入れろ、一時的にフォース・キャニオンの冒険者ギルドに押し寄せて騒ぎになったらしい。
しかし誰でも入れるダンジョンでないので、フォース・キャニオンの冒険者ギルドは騒動を収めるのに、ワイバーンを一体でも討伐出来たのなら入場の許可を出すと条件を出した。
予測ではあるがワイバーンが縄張り争いをする事になったのは、多くの冒険者がワイバーン狩りを行なった事だと思われた。
そして五人組の冒険者パーティーが、多くの素材を得た背景にあるのは、カズが資源と潤沢のダンジョンを出る際に放出した魔力が多過ぎる事を意味していた。
カズが狩り過ぎや、素材を採取し過ぎに注意しないのは、この話を聞いたからだ。
そして資源と潤沢のダンジョンに、また魔力を放出すれば、素材が枯渇する事はないと知る。
ただし今回放出する魔力を、前回の半分程にしよう注意する。
縄張りを争いをしているワイバーンが現れる場所は分かったが、フジが接近しては警戒して現れないかも知れない。
なので10キロ以上離れた場所の荒野に下り、フジは目視でワイバーンが現れるかを見て、カズは【マップ】にモンスター反応が現れるかを注意する。
あと一時間半もすれば昼になるので、取りあえずそれまで様子を見る事にした。
荒野で待つにしても強風で砂ぼこりが舞うので、風避けの石壁を〈ストーンウォール〉で作りフジと暫く待機する。
四十分程待機していると風が弱まり、更に三十分経つと街から街へ移動する行商人や、物資を運搬馬車が通り出した。
フジが大峡谷の方に視線を強めると、カズはストーンウォールで作った石壁を解除して【マップ】の範囲を広める。
大峡谷の北と南から、それぞれ四体のモンスター反応があり、接近して来ているのを確認した。
行き交う者達が襲われる前に、カズはフジと共に大峡谷の街道へと向かう。
先に大峡谷の街道に現れたのは、北から飛んで来た四体のワイバーン。
行商人は背負う荷物を放りだし、御者は馬の尻を叩き全力で走らせる。
二匹の馬で二台連結した移動が遅い荷馬車を狙い、少し小さな二体のワイバーンが動く。
大きな方のもう二体のワイバーンは、数百メートルの所まで接近して来ている、南からのワイバーン四体を牽制。
少し小さな二体のワイバーンが二台連結した荷馬車に爪を掛けようとした瞬間、間近まで接近したフジが風属性魔法〈エアーバースト〉を使用して、大峡谷へと吹き飛ばす。
街道寸前でフジから飛び下りてたカズは、二台連結した荷馬車の馬に〈身体強化〉を使い、それを御者に伝えて急いでこの場を離れさせた。
フジにより小さな二体のワイバーンが吹き飛ばされた事で、他の六体のワイバーンがカズとフジの存在に気付いた。
高原で物足りなさを感じていたフジに、カズは互いのリーダー格の大きな二体のワイバーンを、最初に倒すように指示をする。
それで他のワイバーンが散れば、そこまで。
そうでなければ、残りの六体も倒して構わないと付け加えた。
今のフジならば複数のワイバーンを相手にしても問題ないだろうが、流石に八体ともなると少し厳しいかも知れない。
前回のように不意打ちをしたのは、八体の内二体だけ。
しかも倒したわけではない。
それを承知で、カズは出来るだけフジに任せ、今の実力をここで確かめる事にした。
最初に吹き飛ばした小さな二体のワイバーンが復帰し、縄張り争いをしていたワイバーン達がフジを強いと認識し、徒党を組み雑ながら連携攻撃を仕掛ける。
飛行能力ならフジの方が格上だが、ワイバーンも風属性魔法を使うので、フジの戦い方によっては少し厳しいかも知れない。
状況に応じて、カズが加勢をしなければならない。
しかしそんなカズの心配は無用だった。
八体のワイバーンと戦い始めて十数分でほぼ結果が見えた。
接近して噛み付こうとするも、リーダー格のワイバーン二体はフジのスピードに全く追い付けず、触れる事すらできない。
ならばとワイバーンが風属性魔法を使えば、フジはそれより強力な風属性魔法で掻き消し、完全なワンサイドゲームになった。
「ワイバーンの肉食うか?」
「『不味そうだからいらない』」
「なんか筋張ってそうだもんな。じゃあ全部ギルドに渡すがいいか?」
「『いいよ』」
フジの承諾を得て、四体のワイバーンを【アイテムボックス】に回収した。
大峡谷に落ちて四体のワイバーンは、回収が面倒なので放置した。
おそらく大峡谷の底まで行くと、ワイバーン以外にも他の種族の死骸が多く散乱しているだろうと考えられた。
事故で落ちた者や、ワイバーンや他のモンスターに襲われて落下した者が。
大峡谷の底も気にはなるが、考えた状況になっているとしたら、見に行こうとは思わない。
以前レオラから、大峡谷の底にある遺跡の事を聞いたが、場所がハッキリしてないので、機会があればということにした。
ワイバーンの回収を終えて、大峡谷沿いの街道を南下して、フォース・キャニオンに向かう。
街中にフジを連れては行けないので、街から南に離れた場所で待っていてもらう事にし、カズはフォース・キャニオンの冒険者ギルドに行く。
帝都の冒険者ギルド本部から連絡が入っていたので、カズはギルドカードを提示して、ここフォース・キャニオンの冒険者ギルドが管理する、資源と潤沢のダンジョンに入るための鍵を受け取る。
フォース・キャニオンの街を南に抜けてフジと合流し、軽く昼食を取ってから資源と潤沢のダンジョンに向かう。
入口が狭いのでフジが入る事はできない。
「明後日の夕方には出て来るから、それまでは自由に過ごしてくれ。住み家に戻るならそれでもいいぞ」
「『ならそうする。迎え来る?』」
「そうだな。一応フジと一緒に行動してるって事にしたいから、迎えに来てくれるか」
「『わかったよ。カズ』」
「頼むな。明後日の昼過ぎに来てくれ。だいたいでいいからな」
フジが飛び去るのを見送り、カズはギルドで受け取った鍵を使い、ダンジョンに入って行く。
カズは先ず地下二階層でコロコロ鳥の卵を回収しつつ、下の階に通じる石階段まで移動する。
次に地下三階層の森林地帯に行き、採取に時間が掛かるミルキーウッドの樹液を取る道具とビンを取り付け、以前にも使った一人用のテントを設置した。
その後地下四階層に下りて、二時間程鉱石を採取して戻り、夕食を取り就寝する。
◇◆◇◆◇
早朝起きて先ずは、ミルキーウッドの樹液が入ったビンを回収して、新しいビンに交換する。
一通り終えたら朝食を取り、午前中は地下四階層に下りて鉱石を採掘する。
午後は地下五階層に下りて、モンスターを倒して魔石と呼ばれる魔核を回収していく。
外と違いダンジョン内では魔素が濃ければ、それだけ多くのモンスターが発生するので、絶滅するような事は基本的にない。
またダンジョンを出る時に、多くの魔力を放出していけば問題ないだろうと、フォース・キャニオンの冒険者ギルドで聞いた話から、カズは遠慮せずにモンスターを狩っていく。
フォース・キャニオンの冒険者ギルドで聞いた話というのが、以前資源と潤沢のダンジョンに入った半月程後に、五人組の冒険者パーティーが入り、予想以上の収穫を得たと報告を受け、その話が噂として何処からか広まったのだと。
噂を聞いた大峡谷沿いの街を移動して活動している冒険者が、自分達も資源と潤沢のダンジョンに入れろ、一時的にフォース・キャニオンの冒険者ギルドに押し寄せて騒ぎになったらしい。
しかし誰でも入れるダンジョンでないので、フォース・キャニオンの冒険者ギルドは騒動を収めるのに、ワイバーンを一体でも討伐出来たのなら入場の許可を出すと条件を出した。
予測ではあるがワイバーンが縄張り争いをする事になったのは、多くの冒険者がワイバーン狩りを行なった事だと思われた。
そして五人組の冒険者パーティーが、多くの素材を得た背景にあるのは、カズが資源と潤沢のダンジョンを出る際に放出した魔力が多過ぎる事を意味していた。
カズが狩り過ぎや、素材を採取し過ぎに注意しないのは、この話を聞いたからだ。
そして資源と潤沢のダンジョンに、また魔力を放出すれば、素材が枯渇する事はないと知る。
ただし今回放出する魔力を、前回の半分程にしよう注意する。
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