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五章 テクサイス帝国編 3 帝都テクサイス
627 これから予定
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今話す事ではないかも知れないとも思ったが、大事なことなので伝える事に。
カズは避妊魔法の事についてビワに伝えた。
本来する前に話せなければならなかったのだが、緊張していて避妊魔法を使う事を忘れていた、と。
それを聞いたビワはピクリと反応し、カズの発言にがっかりした表情を浮かべた。
「避妊……私との子供は欲しくないんですか?」
「ごめん、言い方が悪かった」
カズは言葉足らずだったと、ビワに謝罪して説明をする。
「昨日アレナリアには話したんだけど、あと一ヶ月くらいしたら帝都を立とうと思ってる。隠し部屋から持って来た本で、ビワの種族が住む場所が分かったんだ。妊娠した状態で旅をするのは大変だから、今はまだ避妊の魔法を、ってことなんだ」
「そういうことでしたか」
カズの説明を聞き、ビワは納得してくれた。
「ビワとの子供だもん。かわいいに決まってる。欲しくない訳ないよ」
「それは、私もです」
嬉しさと先程の謝罪の意味も込め、カズは顔を寄せるとビワは目を閉じ、キスをする。
「さて、アレナリアとレラが起きてくる前に、朝食の用意を終わらせないと。ビワはそのまま休んでて」
ビワの前にあるコップにフルーツミルクを注ぎ休ませる。
カズは壁に埋め込まれている窯で、温める程度に軽くパンを焼き、洗って水切りしてある野菜を木皿に盛り付け、ハチミツとジャムの入ったビンをテーブルに置く。
パンの香ばしい匂いが一階に充満すると、何時ものように匂いに釣られて、寝間着のまま寝惚けた表情のレラが二階から下りて来る。
その三分後にアレナリアが着替えを終えて下りて来たので、四人で朝食にした。
パンの温め具合が何時もと違うので、ビワが体調不良なのかとアレナリアが心配した。
ビワが体調に問題ないのが分かると、アレナリアは昨夜眠気に抵抗しつつ、カズに言った事を思い出す。
「したの?」
この言葉にカズとビワの手が一瞬止まり、動きがぎこちなくなる。
「そう。あとでこれからの事を話しましょう」
「なんの話?」
「あとで分かるわ。とりあえずレラは、それ食べたら着替えてきなさい」
「なんか知らないけど、わかった」
朝食を済ませて後片付けを終わらせ、三人分のミント系のハーブティーと、レラの分のフルーツミルクを用意して、リビングに移動して話し合いを始める。
何も知らないレラに、カズがビワとアレナリアにプロポーズした事を伝えた。
今まで食っちゃ寝だったレラでも、本の街から戻った頃から、時折ビワの様子が少し変だったので、もしやと感じていた。
流石に昨日の今日では、アレナリアにもプロポーズしていたのには気付かなかった。
一年程前に畜産の街グレイジングでの約束を果たしたカズは、ビワの故郷を目指すために、一ヶ月程したら帝国を出ようと思ってるとレラに話した。
アレナリアとビワにも、帝国を出る事について意見を聞く。
「一ヶ月あればヒューケラと父親のコーラルに話して、何かしら頼みがあれば、それまでにしてあげるわね」
「私もレオラ様に話さないと」
「レオラには俺から話すよ。たぶんアイリス様の所にも、旅に出る前に一度顔を出せと言われるだろう。カミーリアから連絡が来れば、後日行くんだけどね」
「私も一緒に付いて行くわ。騎士達の何人かに、私がいなくなってからの訓練方法を教えておかないと。レラもコンルに挨拶しておきなさいよ」
「そだね。でも、この前行った時もいなかったし、なんか忙しいんじゃないんかなぁ」
「同族の事で色々と世話になった事だしな。カミーリアが来たら、コンルに会えるか聞いてみよう」
「よろしくね、カズ」
「とれあえずレオラには、明後日ビワを仕事に送りながら話してくる」
何だか最初は少し重苦しかったが、話をしている内に何時も通りの雰囲気になった。
「また旅に出るなら、プリンの材料を大量に確保しておいてよ!」
「五日に一度はギルドに顔を出してくれと言われてるし、これからの事もあるからな。サイネリアに頼んで、素材が採取できるダンジョンに入れるようにしてもらおう(素材を大量に卸してくれるよう言われるから、あまり行かないようにしてたんだが、まあいいだろ)」
「帝国内は列車で移動すとしても、その先はどうするの? 馬車で移動するにしても、引く馬がいないわよ」
「移動はフジに頼むつもりだ。アイリス様が気球用のバスケットを使って、フジで飛んだろ」
「確かにそれなら速いわね。背中に乗るより安全そうだし」
「今度はフジも連れてかないとならないんだし、馬車だと一緒に行動は難しいだろ」
「乗るバスケットはどうするの?」
「ギルドで売ってる所か、作ってる場所を聞いてみる。それでだ、旅に出る事について問題はある?」
「決めていた事だしね。私は問題ないわ」
「あちしもいいよ」
「私も大丈夫です。レオラ様達と別れるのは淋しいですが、二度と会えなくなるわけではないですものね」
「レオラの事だから、帝国を出てもギルド伝で連絡してくるかも知れない。仕事を頼みたいから早く戻ってこい、とか」
「ありえるわね」
特に問題はなく、一ヶ月後くらいに帝都を離れて、ビワの故郷だと思われる地に向かう事が決まった。
「俺はもう一度本の街の隠し部屋に行って、正確な場所が書かれてる本があるか探してみる」
「なら私も一緒に行くわ。前回、私だけ行けなかったから」
「ビワとレラはどうする?」
「あちしも行く。ビワも行くっしょ(あれがどこにあるか、あの本に詳しく聞かないと)」
レラが珍しく、付いて来てほしそうな表情をビワに向ける。
前回本の街の隠し部屋で、レラが知性ある本にした質問を知っているのはビワだけ。
その事をビワは思い出す。
「みんなが行くのなら、私も一緒に行きます」
「ならレオラに知りたい内容の本があるか聞いてみるか。隠し部屋に行った事が後になって知られたら、文句言ってきそうだからな。ってことで、隠し部屋に行くのはその後だから、来週ビワが休みのとにしよう」
「ちょうどいいわね。それまでに知りたい事を書き出しておくわ」
通常では入室できない隠し部屋に行けると、アレナリアは嬉しそうだった。
家を離れてフジの所に行けば、ピクニック気分で三人共のんびりもできるだろう考え、話し合いも済んだところで、四人でフジの居る静かな林にでも行こうかとカズが提案する。
昼食はカズのアイテムボックスに作り置きしてある物にすれば、今から作る必要がないのですぐに行ける。
レラは自由に飛び回れるので喜ぶ。
断る理由もないので、アレナリアとビワも承諾する。
なら早速行こうか、と、座っていたソファーをから立とうとしたカズに「その前にまだ話す事があるわよね。カズ、ビワ」と言いながら、カズに向くアレナリアの視線が鋭くなる。
昨日アレナリア自身が言ってたのだから、そんなに睨まなくてもとカズは思った。
が、アレナリアの気持ちを考えれば当然かな、とも。
アレナリアがカズを見限り振っても、今までの事を考えると、そうなっていても仕方がない態度を取っていた。
だがそんなカズを、アレナリアは一途に想い付いて来た。(時には病んでるような痛い態度を取っていたが)
恋愛経験の無かったカズは、これ程までに好意を持ってくれているアレナリアに冷たく当った事もあったが、嫌いになったりはしなかった。
見た目は美人というよりは、カズ的にはカワイイ系だったので迫られて嫌な気分にはならない。
言葉に圧がある事も度々あった。
出会った当初の態度は兎も角として、時にはドン引きする様な事もあった。
だが結果としてアレナリアの気持ちを受け止めて、生涯一緒に居ようと決めてプロポーズしたのだから、隠さず昨夜ビワを抱いた事を話した。
カズは避妊魔法の事についてビワに伝えた。
本来する前に話せなければならなかったのだが、緊張していて避妊魔法を使う事を忘れていた、と。
それを聞いたビワはピクリと反応し、カズの発言にがっかりした表情を浮かべた。
「避妊……私との子供は欲しくないんですか?」
「ごめん、言い方が悪かった」
カズは言葉足らずだったと、ビワに謝罪して説明をする。
「昨日アレナリアには話したんだけど、あと一ヶ月くらいしたら帝都を立とうと思ってる。隠し部屋から持って来た本で、ビワの種族が住む場所が分かったんだ。妊娠した状態で旅をするのは大変だから、今はまだ避妊の魔法を、ってことなんだ」
「そういうことでしたか」
カズの説明を聞き、ビワは納得してくれた。
「ビワとの子供だもん。かわいいに決まってる。欲しくない訳ないよ」
「それは、私もです」
嬉しさと先程の謝罪の意味も込め、カズは顔を寄せるとビワは目を閉じ、キスをする。
「さて、アレナリアとレラが起きてくる前に、朝食の用意を終わらせないと。ビワはそのまま休んでて」
ビワの前にあるコップにフルーツミルクを注ぎ休ませる。
カズは壁に埋め込まれている窯で、温める程度に軽くパンを焼き、洗って水切りしてある野菜を木皿に盛り付け、ハチミツとジャムの入ったビンをテーブルに置く。
パンの香ばしい匂いが一階に充満すると、何時ものように匂いに釣られて、寝間着のまま寝惚けた表情のレラが二階から下りて来る。
その三分後にアレナリアが着替えを終えて下りて来たので、四人で朝食にした。
パンの温め具合が何時もと違うので、ビワが体調不良なのかとアレナリアが心配した。
ビワが体調に問題ないのが分かると、アレナリアは昨夜眠気に抵抗しつつ、カズに言った事を思い出す。
「したの?」
この言葉にカズとビワの手が一瞬止まり、動きがぎこちなくなる。
「そう。あとでこれからの事を話しましょう」
「なんの話?」
「あとで分かるわ。とりあえずレラは、それ食べたら着替えてきなさい」
「なんか知らないけど、わかった」
朝食を済ませて後片付けを終わらせ、三人分のミント系のハーブティーと、レラの分のフルーツミルクを用意して、リビングに移動して話し合いを始める。
何も知らないレラに、カズがビワとアレナリアにプロポーズした事を伝えた。
今まで食っちゃ寝だったレラでも、本の街から戻った頃から、時折ビワの様子が少し変だったので、もしやと感じていた。
流石に昨日の今日では、アレナリアにもプロポーズしていたのには気付かなかった。
一年程前に畜産の街グレイジングでの約束を果たしたカズは、ビワの故郷を目指すために、一ヶ月程したら帝国を出ようと思ってるとレラに話した。
アレナリアとビワにも、帝国を出る事について意見を聞く。
「一ヶ月あればヒューケラと父親のコーラルに話して、何かしら頼みがあれば、それまでにしてあげるわね」
「私もレオラ様に話さないと」
「レオラには俺から話すよ。たぶんアイリス様の所にも、旅に出る前に一度顔を出せと言われるだろう。カミーリアから連絡が来れば、後日行くんだけどね」
「私も一緒に付いて行くわ。騎士達の何人かに、私がいなくなってからの訓練方法を教えておかないと。レラもコンルに挨拶しておきなさいよ」
「そだね。でも、この前行った時もいなかったし、なんか忙しいんじゃないんかなぁ」
「同族の事で色々と世話になった事だしな。カミーリアが来たら、コンルに会えるか聞いてみよう」
「よろしくね、カズ」
「とれあえずレオラには、明後日ビワを仕事に送りながら話してくる」
何だか最初は少し重苦しかったが、話をしている内に何時も通りの雰囲気になった。
「また旅に出るなら、プリンの材料を大量に確保しておいてよ!」
「五日に一度はギルドに顔を出してくれと言われてるし、これからの事もあるからな。サイネリアに頼んで、素材が採取できるダンジョンに入れるようにしてもらおう(素材を大量に卸してくれるよう言われるから、あまり行かないようにしてたんだが、まあいいだろ)」
「帝国内は列車で移動すとしても、その先はどうするの? 馬車で移動するにしても、引く馬がいないわよ」
「移動はフジに頼むつもりだ。アイリス様が気球用のバスケットを使って、フジで飛んだろ」
「確かにそれなら速いわね。背中に乗るより安全そうだし」
「今度はフジも連れてかないとならないんだし、馬車だと一緒に行動は難しいだろ」
「乗るバスケットはどうするの?」
「ギルドで売ってる所か、作ってる場所を聞いてみる。それでだ、旅に出る事について問題はある?」
「決めていた事だしね。私は問題ないわ」
「あちしもいいよ」
「私も大丈夫です。レオラ様達と別れるのは淋しいですが、二度と会えなくなるわけではないですものね」
「レオラの事だから、帝国を出てもギルド伝で連絡してくるかも知れない。仕事を頼みたいから早く戻ってこい、とか」
「ありえるわね」
特に問題はなく、一ヶ月後くらいに帝都を離れて、ビワの故郷だと思われる地に向かう事が決まった。
「俺はもう一度本の街の隠し部屋に行って、正確な場所が書かれてる本があるか探してみる」
「なら私も一緒に行くわ。前回、私だけ行けなかったから」
「ビワとレラはどうする?」
「あちしも行く。ビワも行くっしょ(あれがどこにあるか、あの本に詳しく聞かないと)」
レラが珍しく、付いて来てほしそうな表情をビワに向ける。
前回本の街の隠し部屋で、レラが知性ある本にした質問を知っているのはビワだけ。
その事をビワは思い出す。
「みんなが行くのなら、私も一緒に行きます」
「ならレオラに知りたい内容の本があるか聞いてみるか。隠し部屋に行った事が後になって知られたら、文句言ってきそうだからな。ってことで、隠し部屋に行くのはその後だから、来週ビワが休みのとにしよう」
「ちょうどいいわね。それまでに知りたい事を書き出しておくわ」
通常では入室できない隠し部屋に行けると、アレナリアは嬉しそうだった。
家を離れてフジの所に行けば、ピクニック気分で三人共のんびりもできるだろう考え、話し合いも済んだところで、四人でフジの居る静かな林にでも行こうかとカズが提案する。
昼食はカズのアイテムボックスに作り置きしてある物にすれば、今から作る必要がないのですぐに行ける。
レラは自由に飛び回れるので喜ぶ。
断る理由もないので、アレナリアとビワも承諾する。
なら早速行こうか、と、座っていたソファーをから立とうとしたカズに「その前にまだ話す事があるわよね。カズ、ビワ」と言いながら、カズに向くアレナリアの視線が鋭くなる。
昨日アレナリア自身が言ってたのだから、そんなに睨まなくてもとカズは思った。
が、アレナリアの気持ちを考えれば当然かな、とも。
アレナリアがカズを見限り振っても、今までの事を考えると、そうなっていても仕方がない態度を取っていた。
だがそんなカズを、アレナリアは一途に想い付いて来た。(時には病んでるような痛い態度を取っていたが)
恋愛経験の無かったカズは、これ程までに好意を持ってくれているアレナリアに冷たく当った事もあったが、嫌いになったりはしなかった。
見た目は美人というよりは、カズ的にはカワイイ系だったので迫られて嫌な気分にはならない。
言葉に圧がある事も度々あった。
出会った当初の態度は兎も角として、時にはドン引きする様な事もあった。
だが結果としてアレナリアの気持ちを受け止めて、生涯一緒に居ようと決めてプロポーズしたのだから、隠さず昨夜ビワを抱いた事を話した。
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