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五章 テクサイス帝国編 3 帝都テクサイス
598 図書館巡り 13 隠し部屋への入り方 と 新たな噂
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カズは本のタイトルや内容は伝えず、それとなく書棚から外された本の行方を司書の女性に聞いた。
司書の女性は少し考える素振りを見せてから口を開いた。
「地下一階に集め、そこから更に選別するので、もしかしてらそちらにあるかと思います。現在とても忙しいので、一階の受付の司書にその事を伝えてもらえれば、探す許可が出るかと思います」
「そうですか。わかりました。ありがとうございます。(聞き方は気をつけたつもりだから、変に思われてないはずだ)」
書棚から外された本の行き場が地下一階だと分かり、更にはそこに下りる許可が得られると聞き、カズは下からタイトルの無い本を探して上がって来ている二人を連れて、一階の受付に移動して事情を話す。
短時間ならと許可を得て、三人は地下一階で仕事をするという司書に連れられて、一緒に階段で下りる。
「探すのは三十分だけです。見付からなくてもここから出てもらいますので、ご了承ください。後ほど来ます」
そう言うと一緒に下りて来た司書は、地下二階に下りて行った。
「時間が無いから急いで探そう。俺は一番右の通路から」
「では私は一番左の通路から探します」
「んじゃ、あちしは真ん中ね」
書棚で仕切ってある五本の通路から一本ずつ選び、三人はタイトルの無い本を探す。
一応は階ごとに置かれていた本で分けてはあるようだが、本の大きさや分類もされておらずバラバラだった。
書棚に置ける隙間はあっても、床に重ねて山にしてある本が至る所に。
南区の図書館だけは、慢性的な人手不足らしい。
地下一階全てを見て回る時間はない。
あと各々の直感と運任せ。
探し始めて二十分が経過するが、三人共に見付けられない。
表紙が汚れたり破けたりしているのもあるので、見間違えたりして探すのが困難になっている。
そもそもこの地下一階に、タイトルの無い本があるかどうかも分からない。
間違っている可能性もある。
残り時間が五分を切ったところで、レラが「あった!」と声を上げた。
カズが急いでレラの所に移動する。
するとレラが見付けた本を、書棚から引っ張り出していた。
書棚から落ちそうになる本を、ギリギリでカズが掴み取る。
そこにビワが駆け付ける。
「カズさん!」
「あちしの勝ちだね。ビワ」
「勝負してないだろ。レラが見つけたから、もう探さなくても大丈夫だよ。ビワ」
「あの…私も見つけたんです」
「そうなんだビワも見つけ……た!?」
「これを」
ビワは抱えていた本を差し出し、それをカズは受け取り表紙を見る。
レラが見つけた本と同じく、ビワが差し出した本にもタイトルや著者が書かれてない。
「どういう事だ?」
カズは左右に持ったタイトルの無い本を、交互に見てどちらが正しのかと考える。
困った事に両方の本を比べると、大きさ厚さ共に同じだった。
「時間がないんでしょ、とりあえず見たら」
「私もその方が良いと思います。そろそろ案内してくれた司書の方が戻ってくるはずです」
「そうだね」
先ずはレラが見付けたタイトルの無い本を、続けてビワが見付けた方のタイトルの無い本にも目を通す。
パラパラと見ただけだがカズは違和感を覚え、もう一度目を通した事で、その違和感に気付いた。
「どうしました?」
ビワの質問にカズは静かに答える。
「同じだった」
「同じ…ですか?」
そう、二人が見付けたタイトルの無い本は、内容が全く同じだった。
疑問に思ったが、じっくり考えてる時間はない。
二冊のタイトルの無い本を、元あった書棚に戻そうとした時に変化が起きた。
タイトルの無い本が薄くなり、カズの手元からすり抜けるように手からして落ちる。
そして重なると一冊になり、床に接触する寸前に溶けるよう消失した。
今でま見付けたタイトルの無い本は、書棚に戻すと知らぬ内に無くなっていたので、実際に本が消えるのを目の当たりにして三人は驚く。
続いてカズは、肩掛け鞄からアーティファクトの古書を取り出し、新しい文字が現れたかを開いて確かめる。
白紙だった頁に文字が現れているのを確認したところで、地下二階に行っていた司書が戻り声を掛けてきた。
「時間ですので、上に戻ります」
「わかりました。ありがとうございました」
戻って来た司書にお礼を言い、三人は地下の書庫を出る。
ガスはそのまま二人を連れて四階まで上がり、奥から二番目の書棚の前まで行き、上から三段目、左から四冊目の本を取り出すと同時に、アーティファクトの古書が入ってる肩掛け鞄に吸い込まれるようにして消えた。
「まただ!」
「カズさん、これは?」
疑問に思う二人にカズは説明する。
「新しい現れた文字が、この場所に来て本を手にするように書いてあったんだ。謎解きじゃなくてね」
「直接的な指示ですか」
「そう」
「だったらまた消えたから、同じ様に次の場所を指定してくるの?」
「かも知れない。確かめてみる」
カズは肩掛け鞄からアーティファクトの古書を出して開く。
そして新しく文字が現れ『隠された部屋への入室が可能となった。汝が使える転移魔法を唱えよ』と、隠し部屋への行き方が記された。
カズが静かに〈空間転移魔法〉と唱えると、文字と同じ頁に、現れていた上下左右四つの点が動きだす。
一定のところで止まると、今度は点を線が繋ぎ始めた。
アーティファクトの古書を覗き込むビワとレラは、勝手に点が動き線がそれを繋げているのを見て、あんぐり口を開き驚く。
点と線が繋がり出来た図形がアーティファクトの古書から飛び出し、カズ達が居る通路の奥に大きく現れる。
すると『入口は開いた。未知なる知識を求めるなば飛び込め』と、飛び出した図形に文字が現れた。
今のところ周囲に他の来館者や司書はいない。
が、何時この通路に来るか分からない。
早急に決断が必要。
「求めるも何も、探しに来たんだ。躊躇はしない。二人はどうする? ここで待っていてもいいが」
「ちょい怖いかも。でもカズと行くよ」
「私も行きます」
「なら手を。あの先がどうなってるか、わからないから」
カズはビワの右手を引き、レラはビワの左腕にしがみつく。
カズを先頭にして、出現した十二芒星の中心に飛び込む。
レラが入る寸前に「やっぱりスゴい怖…」と言い、三人は南区の図書館から姿を消した。
誰にも見られはしなかったが、図書館職員専用のエレベーターから下りてきた司書が、レラの声を聞いて三人の居た通路を確認。
気のせいではなく確かに声を聞いた司書は、四階を見て回り、数人居た来館者に尋ねた。
が、誰も声を出していないと言う。
三人を見た来館者は居たが「通路を横切る際にチラリと見ただけで、どこに行ったかまでは知らない」と答えた。
四階で該当する人物は見付からず、その司書は気になってしまい、五階で働く司書に聞き、来てないと聞くと三階に下りて、そこで働く司書に確認。
背筋を冷たい汗が流れ、その司書は仕事そっちのけで二階一階と下りて行き、該当する人物が来たか調べるが、結局見付かららなかった。
この事で、新たに南区の図書館から来館者が消失したと、おかしな噂が数日で本の街全体に伝わった。
司書の女性は少し考える素振りを見せてから口を開いた。
「地下一階に集め、そこから更に選別するので、もしかしてらそちらにあるかと思います。現在とても忙しいので、一階の受付の司書にその事を伝えてもらえれば、探す許可が出るかと思います」
「そうですか。わかりました。ありがとうございます。(聞き方は気をつけたつもりだから、変に思われてないはずだ)」
書棚から外された本の行き場が地下一階だと分かり、更にはそこに下りる許可が得られると聞き、カズは下からタイトルの無い本を探して上がって来ている二人を連れて、一階の受付に移動して事情を話す。
短時間ならと許可を得て、三人は地下一階で仕事をするという司書に連れられて、一緒に階段で下りる。
「探すのは三十分だけです。見付からなくてもここから出てもらいますので、ご了承ください。後ほど来ます」
そう言うと一緒に下りて来た司書は、地下二階に下りて行った。
「時間が無いから急いで探そう。俺は一番右の通路から」
「では私は一番左の通路から探します」
「んじゃ、あちしは真ん中ね」
書棚で仕切ってある五本の通路から一本ずつ選び、三人はタイトルの無い本を探す。
一応は階ごとに置かれていた本で分けてはあるようだが、本の大きさや分類もされておらずバラバラだった。
書棚に置ける隙間はあっても、床に重ねて山にしてある本が至る所に。
南区の図書館だけは、慢性的な人手不足らしい。
地下一階全てを見て回る時間はない。
あと各々の直感と運任せ。
探し始めて二十分が経過するが、三人共に見付けられない。
表紙が汚れたり破けたりしているのもあるので、見間違えたりして探すのが困難になっている。
そもそもこの地下一階に、タイトルの無い本があるかどうかも分からない。
間違っている可能性もある。
残り時間が五分を切ったところで、レラが「あった!」と声を上げた。
カズが急いでレラの所に移動する。
するとレラが見付けた本を、書棚から引っ張り出していた。
書棚から落ちそうになる本を、ギリギリでカズが掴み取る。
そこにビワが駆け付ける。
「カズさん!」
「あちしの勝ちだね。ビワ」
「勝負してないだろ。レラが見つけたから、もう探さなくても大丈夫だよ。ビワ」
「あの…私も見つけたんです」
「そうなんだビワも見つけ……た!?」
「これを」
ビワは抱えていた本を差し出し、それをカズは受け取り表紙を見る。
レラが見つけた本と同じく、ビワが差し出した本にもタイトルや著者が書かれてない。
「どういう事だ?」
カズは左右に持ったタイトルの無い本を、交互に見てどちらが正しのかと考える。
困った事に両方の本を比べると、大きさ厚さ共に同じだった。
「時間がないんでしょ、とりあえず見たら」
「私もその方が良いと思います。そろそろ案内してくれた司書の方が戻ってくるはずです」
「そうだね」
先ずはレラが見付けたタイトルの無い本を、続けてビワが見付けた方のタイトルの無い本にも目を通す。
パラパラと見ただけだがカズは違和感を覚え、もう一度目を通した事で、その違和感に気付いた。
「どうしました?」
ビワの質問にカズは静かに答える。
「同じだった」
「同じ…ですか?」
そう、二人が見付けたタイトルの無い本は、内容が全く同じだった。
疑問に思ったが、じっくり考えてる時間はない。
二冊のタイトルの無い本を、元あった書棚に戻そうとした時に変化が起きた。
タイトルの無い本が薄くなり、カズの手元からすり抜けるように手からして落ちる。
そして重なると一冊になり、床に接触する寸前に溶けるよう消失した。
今でま見付けたタイトルの無い本は、書棚に戻すと知らぬ内に無くなっていたので、実際に本が消えるのを目の当たりにして三人は驚く。
続いてカズは、肩掛け鞄からアーティファクトの古書を取り出し、新しい文字が現れたかを開いて確かめる。
白紙だった頁に文字が現れているのを確認したところで、地下二階に行っていた司書が戻り声を掛けてきた。
「時間ですので、上に戻ります」
「わかりました。ありがとうございました」
戻って来た司書にお礼を言い、三人は地下の書庫を出る。
ガスはそのまま二人を連れて四階まで上がり、奥から二番目の書棚の前まで行き、上から三段目、左から四冊目の本を取り出すと同時に、アーティファクトの古書が入ってる肩掛け鞄に吸い込まれるようにして消えた。
「まただ!」
「カズさん、これは?」
疑問に思う二人にカズは説明する。
「新しい現れた文字が、この場所に来て本を手にするように書いてあったんだ。謎解きじゃなくてね」
「直接的な指示ですか」
「そう」
「だったらまた消えたから、同じ様に次の場所を指定してくるの?」
「かも知れない。確かめてみる」
カズは肩掛け鞄からアーティファクトの古書を出して開く。
そして新しく文字が現れ『隠された部屋への入室が可能となった。汝が使える転移魔法を唱えよ』と、隠し部屋への行き方が記された。
カズが静かに〈空間転移魔法〉と唱えると、文字と同じ頁に、現れていた上下左右四つの点が動きだす。
一定のところで止まると、今度は点を線が繋ぎ始めた。
アーティファクトの古書を覗き込むビワとレラは、勝手に点が動き線がそれを繋げているのを見て、あんぐり口を開き驚く。
点と線が繋がり出来た図形がアーティファクトの古書から飛び出し、カズ達が居る通路の奥に大きく現れる。
すると『入口は開いた。未知なる知識を求めるなば飛び込め』と、飛び出した図形に文字が現れた。
今のところ周囲に他の来館者や司書はいない。
が、何時この通路に来るか分からない。
早急に決断が必要。
「求めるも何も、探しに来たんだ。躊躇はしない。二人はどうする? ここで待っていてもいいが」
「ちょい怖いかも。でもカズと行くよ」
「私も行きます」
「なら手を。あの先がどうなってるか、わからないから」
カズはビワの右手を引き、レラはビワの左腕にしがみつく。
カズを先頭にして、出現した十二芒星の中心に飛び込む。
レラが入る寸前に「やっぱりスゴい怖…」と言い、三人は南区の図書館から姿を消した。
誰にも見られはしなかったが、図書館職員専用のエレベーターから下りてきた司書が、レラの声を聞いて三人の居た通路を確認。
気のせいではなく確かに声を聞いた司書は、四階を見て回り、数人居た来館者に尋ねた。
が、誰も声を出していないと言う。
三人を見た来館者は居たが「通路を横切る際にチラリと見ただけで、どこに行ったかまでは知らない」と答えた。
四階で該当する人物は見付からず、その司書は気になってしまい、五階で働く司書に聞き、来てないと聞くと三階に下りて、そこで働く司書に確認。
背筋を冷たい汗が流れ、その司書は仕事そっちのけで二階一階と下りて行き、該当する人物が来たか調べるが、結局見付かららなかった。
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